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2010.09.12発 南部エチオピア オモ・マゴ探索隊15日間 その2

さて、ここからが本当のスタートです。スーダン、ケニア国境付近を目指し、更に南西奥深く入って行きます。最初に目指すのは、「ジンカ」という町。
ジンカの手前でもいくつかの民族や面白い風景を見かけますが、最初に出迎えてくれたのは、『デラシェ』という民族。彼らは一見地味な感じです。ソルガムで作られた栄養ドリンク入りのヒョウタンを棒の先端にぶら下げ、畑へ行く道すがら出会った人々は皆、深緑の服を着用し、農耕民族という言葉がぴったりと当てはまるように思いました。一つ気になった特徴を挙げると、女性の髪形が“サザエさん”風。

そして、このあたりでは、木の枝にくくりつけられた、横に長い筒状のものを頻繁に見かけます。
「これはいったい、なーんだ?」

答えは「人工の蜂の巣」です。
エチオピアでは、このハチミツから“タッジ”という甘みの強いワインを作ります。品質により飲むことを勧めない場合もありますが、機会があったら、是非、試してみてください。
道中、人々や風景の写真を撮りつつ、コンソという大きな町を通過し、ジンカ手前の「カヤファ」へ。
カヤファを拠点としているのは『ツァマイ』と『ベンナ』族。最初に訪れたのは、ここにあるツァマイの村の一つです。
比較的フレンドリーな人々。鮮やかなビーズの装飾が、彼らの褐色の肌に本当に良く映えます。皆、スラッとした体躯で、八頭身がいたるところに...
ツァマイ、ベンナから始まる今回訪れたオモ谷のさまざまな民族は、元来、牧畜で生計を立ててきましたが、現在は農耕を兼業としていることが多いのです。雨を求め、草を求めて移動するある種博打的な当たりハズレのある生活から、この異常気象の環境下、民族を繁栄させ続けるために、安定感のある着地型の農耕へシフトしているのです。エチオピア政府もそれを推奨しており、彼らにトウモロコシやソルガムの作り方を教えています。

そして、こちらはカヤファの木曜市。主にツァマイとベンナの人々が集います。市=マーケットに広げられているのは、トウモロコシやソルガムの粉、その他食料、香辛料、コーヒー、装飾品から布類、さまざまな日用品、民芸品までいろいろ。

そこで、こんな彼らに出会いました。スカートの裾がすぼんでいるのは、ベンナの特徴。

鶏も生きたままマーケットに並んでいます。これは他のアフリカ諸国でも良く目にする光景ですね。

そして、ようやくジンカに到着。ジンカはマゴ国立公園の入り口で、『アリ』と『ムルシ』という民族の拠点地です。アリは現在、キリスト教がかなり普及しており、肌の露出を恥ずかしがる傾向があるため、Tシャツにジーンズやスカートといういでたち。彼らは勤勉、そして一つ特徴的なこととして、インジェラを焼くプレートを土から造る技術を持っています。エチオピアのインジェラは彼らが造ったプレートで焼き上げられることが多いのです。今回、そのプレートの製作現場を見せてもらうことが出来ました。土の塊をキレイに丸くまとめ上げていきます。このおばあちゃんは達人ですね。

と、ここで、たびたび登場するインジェラとはどんな食べ物なのでしょう。一言でいうと、日本人にとっての白いお米。毎日、さまざまなおかずと共に口にする主食がインジェラです。“その1”で紹介したインジェラの原料、テフはお米よりも小さい粒ですが、これを挽いて粉にし、水でこね、2~3日発酵させた後に、そのタネを薄いクレープ状に焼き上げます。この時使うプレートが、アリが造るこちらのプレートなのです。
このインジェラ、一見、原宿などで売っているクレープのようですが、発酵させているがゆえに酸味があります。これだけで食べても美味しいと感じないかもしれませんが、鶏肉、牛肉や、野菜、豆のシチューと合わせると、なんにでも合う主食になるのです。観光用のレストランで食べることができるのは、インジェラの上にさまざまな具が乗った写真↓のようなものです。主食とおかずが別々で見栄えが良いタイプ。地元の人々は、インジェラを細かく刻んで、スパイスの効いた肉のソースと和えたものを食べたりもします。こちらは混ぜご飯風ですね。

その3へつづく
今野

道祖神