2011年夏、南部アフリカのツアーへ添乗に行ってきました。南部アフリカと言えば、2010年にはW杯も開催された南アフリカ共和国や、世界三大瀑布の1つビクトリアの滝を擁するジンバブエといった国々がある、アフリカ大陸の中でも、わりとメジャーな観光地として有名な地域です。治安も良く、インフラの設備も整っているので、アフリカ大陸の中でも非常に旅行しやすい地域です。弊社のお客様の中にも、アフリカ大陸への旅行の“入門編”として、これらの国々を訪れた事のある方も多いかと思います。しかし、アフリカ専門店として、単なる観光地巡りのツアーへ行くわけにはいきません。道祖神の真骨頂でもあります『オーバーランド』ツアーへ行ってきました。『オーバーランド』とは、国と国を跨いで旅をしていくスタイルの事を言います。南アフリカの南端・喜望峰からビクトリアの滝まで、全行程5,000kmを陸路にて旅する、「南部アフリカ4ヶ国オーバーランド」の旅でした。長い行程の旅行でしたので、見所も多岐に渡りますが、テンポよく振り返ってみたいと思います。
旅の始まりは南アフリカのケープタウン、この時期は雨が続いているそうですが、喜望峰を含めたケープ半島の滞在時間中のみ晴れ間が広がってくれたのはありがたかったです。大西洋からインド洋にかけての目の覚めるようなブルー、海沿いを走るドライブウェイも、冬に向かう南アフリカの風が気持ち良く、旅のスタートを切るには、とても気持ちの良い日でした。ただ、猛暑の日本からやって来た我々には、初冬の寒さは少し応えました。フリースやヤッケは、この旅の前半ではマストアイテムです。
旅はこのケープタウンより北上していき、ビクトリアの滝までを目指します。次なる目的地はナマクアランドの玄関口、スプリングボック。ナマクアランドといえば、この時期には、600種を越える花が咲くことで有名ですが、事前の情報では開化にはまだ1週間ほど早いかもしれない、ということでした。現地を案内してくれるガイドさんからもそう聞かされていたので、殆ど期待せずに行ったのですが、よほど誰かの日頃の行いが良いのか、あたり一面の花畑でした。実際には、まだまだ五分咲きだとの話でしたが、それにしても見渡す限りオレンジ一色に染まった様は何とも壮観でした。実は、この日の朝に数日分の食糧を買出しに行っていたのですが、その際に、しっかりと南アフリカ産ワインの紙パックも赤/白ともに2~3箱ずつを仕入れ済みでした。一面の花畑の中で、オープンランチと共に南アフリカワインを味わう至福のひとときを過ごしてから出発。旅路はまだ2日目です。
さて、翌日も旅はどんどん進みます。数日間だけの短い滞在でしたが、南アフリカに別れを告げて、国境を越えて次なるナミビアへと向かいます。陸路の国境越えと言えば、アフリカ数ヶ国を旅した事がある方なら、面倒な思いをされた方も多い事でしょうが、南アフリカ⇒ナミビアの国境はとってもスムーズ。逆回りで、今から喜望峰を目指すであろうアフリカ縦断組の旅行者にも何人かすれ違いました。ナミビア初日は、国境からさほど遠くないオレンジリバーの河沿いにあるキャンプサイトで1泊です。我々が寝泊まりするのコテージ型の部屋ですが、敷地内には沢山のキャンパー達の車やテントが張ってあります。このオレンジリバーでは、流れもゆるやかで景色も良いので、半日のカヌー・トリップも楽しむ事が出来ます。
オレンジリバーを発った後は、いよいよナミビアの旅が本格的にスタートです。今回の旅程の約半分の11日間を費やすナミビアは、この旅のメインステージと言っても過言ではありません。ケープタウンからは、完璧な舗装道路をすいすいとやってきましたが、ここからは未舗装道路を北上する事になります。…と言ってもご安心を。とてもフラットな道なので激しく揺れるような事はありません。ですが、跳ねられた小石で窓ガラスが傷つくのを避けるため、後ろの窓には段ボールとガムテープでカバーをします。いよいよオーバーランドの旅らしくなってきました。
さて、ナミビアの旅で皆さんが一番見たいと仰られるのは、何を置いてもナミブ砂漠ですが、まずは本日の目的地フィッシュリバー・キャニオンへと向かいます。あまり知られていないマイナーな場所ですが、世界第二位の規模の渓谷なのです。ちなみに世界一位は勿論アメリカのグランド・キャニオン、世界三位は南アフリカのブライデリバー・キャニオンという事らしいです。あまりに大き過ぎると、そこに立っていても何だか現実感がなかったのですが、雄大なサンセットには何とか間に合いました。道中にはシマウマの姿も。この峡谷は温泉が出る事でも有名なので、近隣で宿泊するロッジにはホットSPAが併設されている事も多いです。皆様、水着のご用意もお忘れなく!
翌日は移動日。広大なナミビアの大地を1日かけて走り続けます。途中、後輪がパンクしてしまい立ち往生してしまうトラブルもありましたが、急ぐ旅でもありません。こんな時の備えだけは万全にしてあります。休憩がてらにタイヤ交換を済ませ、再び走ります。日もくれた頃、ようやく本日の宿に到着。部屋もロビーも石造りのなんとも重厚な雰囲気のロッジでした。翌朝は早朝の出発になりますので、早めのご就寝。いよいよ前半のハイライト、ナミブ砂漠です。
その2へつづく
生野