世界で最も暑い土地のひとつと言われる、エチオピアのダナキル砂漠へ行ってきました。
ダナキル砂漠へはエチオピアの首都アディスアベバから車では丸々2日間、または国内線で北部の街メケレへ飛び、そこからほぼ1日の行程。
弊社のツアーでも行きはメケレからドライブ。標高2000メートルを越えるメケレから一気に海抜ゼロの世界へ駆け抜けます。涼しく快適だった空気は、1時間もしないうちに、熱く乾燥した空気に変わり、埃で前の車が見えないほどに。薄茶色の世界の中に見えてきたのは、ぽつぽつと生える潅木と、この地域に住むティグレの人たちの石造りの家でした。
この場所に来た最初の印象は、私が知っているこれまでのどのエチオピアとも違い、とても乾いた、厳しいものでした。砂漠に入ると、遠くまで見渡しても平坦で、時々見える蜃気楼以外は、他に目に入るものもない、ひたすら変化のない景色が続くだけのように感じてしまうのですが、ダナキル砂漠は違います。
キャンプ地のあるアーメド・エラからは15分ほども走ると、アッサル湖(塩湖)があり、さらにそこから10数分で、火山・ダロールがあります。
塩湖と言ってもほとんどは水が干上がった状態なので、一見地面は茶色ですが、そのすぐ下には地下数キロにわたって塩の層が地表を覆っているそうです。そして日中40℃を越えるこの塩湖で、アファールの人たちが塩を採掘していました。人々が作業をしている傍らで、ラクダやロバたちは休んでいましたが、夕刻になると塩の板は、動物たちの背中に積まれ、キャラバンがゆっくりと進み始めます。キャラバンは延々と続き、しばらく目の前を通るキャラバンを見守っていましたが、結局途切れることはありませんでした。このキャラバンは、私達が車でほぼ1日かけてやってきたメケレの町へ数日かけて向かいますが、これが毎日のように続けられるというのが驚きです。
翌日の夕方には、ツアーのハイライト、エルタ・アレ火山のふもと、ドドムに到着。すでにここに到着するまでの悪路、そして暑さで、疲れ気味の方もいらっしゃいましたが夕方の涼しくなる時間までしばし休憩です。そして荷物を運んでくれるラクダが到着して、いよいよトレッキングスタート。4~5時間の行程と聞いていましたが、3時間半で火山の外輪に到着しました。
火山の中にある2つの火口のうち、現在活発なのが南の火口で、遠くからでも赤い炎で、空が明るく見えます。円形の火口を覗くと、黒くどろどろとした溶岩がうねり、その様子は川の濁流のよう。ところどころで爆発が断続的に起こり、赤い炎が上がっているので、目の前に広がるのは赤と黒の激しい動きです。1時間弱見学している最中、溶岩湖の真ん中あたりで、大きな爆発があり、火花が散りました。ガイドの話では、もうひとつある、北の火口も、つい最近になって活動が見れるようになってきたとのこと、翌朝行ってみましたが、確かに黒い塊の中、一部から赤い炎が顔を覗かせていました。1年前の同時期にはそれも見られなかったそうですから、数年後にはこの火口でも、激しい活動が見れるようになるかもしれませんね。
過酷ともいえるこの地を訪れて感じたのは、地球の凄さと、人や動物の生命力。人もラクダもロバも地球でさえも、毎日同じように、でも確実な営みを続けて生きているんだということを感じさせてくれる旅でした。
紙田