Categories: 北部アフリカ

2013.02.08発 エチオピア ダナキル砂漠訪問ダイジェスト10日間 後編

こちらも塩一面の世界ですが、アッサル湖という湖の一部です。
まるで雪原のように思えてきませんか?
なので、ここではちょっとしたトリック写真を撮ることができます。
人間が塩の大地に整列して座り、カメラを斜めに構えシャッターを切ると・・・

こんな写真になります。
雪山を滑っているようですね。とっても楽しそう。
写真では分かりませんが、気温45℃の世界。
さて、ここからはツアーのハイライトであるエルタ・アレ火山のトレッキングです。
まずエルタ・アレの麓であるドドムを目指しますが、この移動はかなりハードな凸凹道となります。しばらく土漠を走り続けた後、今度は月面のような溶岩大地を越えていきます。

お昼過ぎにドドムに到着したら、しばらく休憩です。日中のトレッキングは非常に暑く過酷だからです。夕方まで簡易小屋で横になり体力を温存したり、荷物を整えたりしてゆったり過ごします。手持ちのリュックサックには必要不可欠な水、カメラ、ストックなどをお忘れなく。また、山頂で1泊となりますが、その際、必要な荷物(例えば、寝袋や水、頂上での食事など)はラクダが運んでくれます。よって、ここでしっかりと荷物の仕分けをしておきます。

そして、陽が傾き始めた頃、いよいよ出発です。

エルタ・アレ火山の標高は613m。個人差はありますが、1時間毎に10~15分の休憩をはさみながら登頂まで4時間程でしょうか。途中、マグマが流れ固まった跡が至るところで見られます。まるで何かの模様のようにある場所では縄状、ある場所では波状、または塊であったり・・・。温度差が作り出す自然の芸術です。

しかし、それゆえ、足場も固く安定性を欠くことから、靴はハイカットのトレッキングシューズがお勧めです。
ダナキル砂漠の中で最も活動的、かつ観光客が唯一その火口を見学できるのがこのエルタ・アレ山です。粘性の低い溶岩から成る楯状火山なので勾配は緩やかですが、山頂へ行くほど若干きつくなっていきます。徐々に頂上に近づき陽が落ちると、トレッキング中でも、活発なマグマが火口から噴き上がり、山頂を赤く染めている様子が確認できます。中はいったいどんな風になっているのだろう。疲労困憊した身体に再びエネルギーが漲ってくる瞬間です。

頂上はクレーター状になっており、その内側には、北火口、南火口の2つの火口があります。現在、活発に動いているのは南火口。百聞は一見にしかず・・・ということで、南火口の写真をいくつかご覧いただきましょう。

地を這う怪物のようなマグマの動き、地鳴りのような地中の轟きと鼻をつく強烈な臭いに、荒々しくむき出しの地球の鼓動を感じます。この活動が雲を生み出し、雨を降らせ、海を造り、緑の大地を育み、そして生物が誕生し、人類誕生へ至ったことを思うと、地球創設期の姿を垣間見たような気持になります。
クレーターの見学は、夜と朝の2回。頂上の外輪に沿って簡易小屋が設置されており、ここで仮眠を取りながら、漆黒の闇の中、赤々と浮かび上がる溶岩と、朝日が差し込む中、ハッキリ動きが分かる溶岩を見学します。

地球の鼓動をたっぷり感じた後は、塩田が盛んなアフデラ湖畔の温泉で汗を流します。こちらも火山活動による地球の産物。塩分が多く、40℃ほどのちょっと熱めの天然温泉が、疲れた身体に染み入ります。

どんな言葉や写真を並べたところで、伝えきれない地球の迫力と壮絶さがダナキル砂漠にはあります。周囲を一変させる巨大な爆発を繰り返し、その度に変貌を遂げてきたこの地は、地中の溢れんばかりのパワーを五感で感じられる地上で数少ない場所の一つです。
厳しい自然環境は人間にとって安住の地とは言いがたいですが、それでも遥か昔から人々の営みがあり、地球の恵みを授かり続けている。延々と続くラクダのキャラバンに人間のたくましさを感じ、生きている地球の息吹を目の当たりにすると、そこには、壮大な地球のロマンがあるように思います。
今野

道祖神