キリマンジャロへの道・登山講習会 本番・先発隊「マチャメルート」

登山の初心者がキリマンジャロを目指す、2012年にスタートした本企画は3年目の今夏がいよいよ本番。その第一陣が挑戦を終え、無事に帰国しました。
結果、7名中の6名が登頂(うち2名はステラポイント登頂)となりました。

チームペペペ全員集合 at キリマンジャロ

第一陣はマチャメルートでのテント泊、山中7日間。天候は安定し、高度順応もうまく進み、良いコンディションで迎えた頂上へのアタックでしたが、ひと月近く安定していた天候が崩れ、気温の低下と強風にさらされました。ただでさえ過酷な頂上への道のりはより厳しいものとなり、自分の限界をはかりながらのハードな登山になりました。おおらかで朗らかだったはずのキリマンジャロ、突然の荒々しい形相は心に焼き付くものでした。
2年前、はじめての講習会では、本当に自分がキリマンジャロに登れるのだろうかと半信半疑の表情が並んでいました。年齢や体力、旅行経験などはバラバラ。登山はほとんどしたことがないということだけが共通点でした。近郊の低山での実地講習会では歩き方の説明からスタートしました。
白山 2012年7月

山小屋に泊り、雨の山を歩き、山を縦走し、残雪期の山を経験するにつれ、少しずつ体力と自信がついてきましたが、でもやはりまだキリマンジャロは遠い。仲良くなった講習会の参加者と一緒に山へ通うようになり、色々とご自身での工夫と展開があったと思います。久しぶりに一緒に山に行くと、あれっ?と驚くパワーアップを感じることもありました。
八ヶ岳 2013年6月

2年目の集大成として日本第二の高さを誇る北岳への挑戦、そしてボルネオのキナバル山への遠征がありました。確かな自信が生まれている方、でもやはり不安だという方、膝の痛みをかかえる方、忙しくてなかなか山に行けない方、いろいろな心情や事情はあるものの、3年目がやってきました。もう後にはひけない、キリマンジャロに耐える装備を揃えなければ、実地講習会をもっとやって欲しい、高山病の対策は?という具合に忙しくなってきました。7月に富士山に登り、いよいよキリマンジャロへ出発する日がやってきました。すごく緊張していると言う方々の表情は明るく、興奮の間違いでは?と心強く感じました。
キナバル山 2013年8月

飛行機の窓から見えた、雲海に突き出すキリマンジャロ。とてもひとつの山とは思えないスケール感。上からだけでなく、下から見上げてもやはりでかい。尾根を巻き、峰を仰いでは「ほんと、でっかいなぁ!」と呟くばかり。地平まで続く雲海、晴れれば眼下に広がるサバンナ、山からの景色もまたでかい。ガイドやポーターを担うチャガの男達の桁違いのパワー、底抜けの明るさもキリマンジャロの偉大さの一面でした。チャガ語でHAPPYを意味する言葉「PEPEPE」を教わり、今回のチームの名は「チーム・ぺぺぺ」ということになりました。ガイド達やコックの名前はあっという間に憶えてしまい、それぞれのユニークなキャラクターも見抜き、現地のスタッフも楽しそうでした。空き時間に山をスケッチするという楽しみ方も今までになく、チーム・ぺぺぺの面々は遊び上手でした。
いざ出発 at マチャメゲート

快晴で気持ちいい at 標高4,000m付近

冒頭の通り、頂上へのアタックは厳しく、全員が頂上に到達できた訳ではありません。しかし登頂の可否だけでは今回の山旅、これまでの道のり、そして個人の力量は全く語れません。結果はごく一面的な価値です。本企画の最終目標はキリマンジャロへの登頂ではなく、自立した登山者になってもらうことにあります。キリマンジャロはあくまで一つのきっかけです。自分で山を目指し、登り方を考え、リスクを判断して、無事に戻ってくる、その一連をもっともっと展開し、楽しんで、自分の強さを発見していただきたいと願います。帰国後、「人生がかわった」と言ってくださる方もあり、何かに挑戦することが自分の世界に風穴を空けるものだという経験を共有させていただきました。自分も新しい大きな挑戦をしようと心にきめました。どうもありがとうございました。
ジャイアントロべリアの花の蜜を吸うサンバード

霧の中に現れるジャイアントセネシオ at バランコ谷

山焼けと月の出

有冨

道祖神