Categories: 西部アフリカ

2017.8.11発 カメルーン民俗探訪トレッキング 13日間

東部&南部アフリカへのサファリツアーがメインの夏のツアーの中で、唯一毛色の異なる中央部アフリカ、カメルーンへ人々の文化と暮らしを訪ねるツアーに同行させていただきました。3年前にモニターツアーとして企画、一度催行されたものの、その後ボコ・ハラムの活動によって訪問地の一部が危険地帯となってしまったためしばらくお蔵入りしていたこのツアーですが、治安も回復したため再びツアーラインナップに加え、久々に企画&催行となり、古くから変わらぬ暮らしを続ける人々をカメルーンに訪ねることができました。
訪問したのはカメルーン中西部、ナイジェリアとの国境に跨るアランティカ山地で独自の信仰と暮らしを守っている農耕牧畜民コマの人々と、南東部の熱帯雨林の奥深くで狩猟採集に依存した暮らしを続けるバカの人々です。雨季でも主に朝晩雨が降るだけの東アフリカと異なり、カメルーンが位置する中央部アフリカの雨季は凄まじい量の雨が朝から晩まで断続的に降り続くため、雨季にツアーを企画するのは本来御法度なのですが、カメルーンの中でも中央部から北部は雨の量も少なく、かつ緑が非常美しい時期となり、もう一方の訪問地である南東部は短い乾季に当たっているため問題ないと判断し、あえて雨が多少降るこの時期にツアーを設定しました。
それぞれ3年前に訪問したのが、いずれも日本人の団体ツアーとしては初めての村々だったわけですが、それぞれの村の人々が前回のツアーでも添乗員として同行した私のことをよく覚えていてくれ、いずれも大歓迎を受けました。
山中のコマの人々の村では、私が最も会いたかった人物、村の最年長のお婆ちゃんが、3年前に訪問した時より少しだけ老けていましたが、まだご存命で、私たちを出迎えてくれました。

雲がかかった山を目指し、緑の中を歩きます
天然素材だけで建てられたコマ人々の家
珍しい外国人に、子供たちも興味しんしんです
山奥にある集落ほど、より伝統的な形態を残しています
独特なスタイルのコマの女性たち
子供たちにもしっかりと伝統が受け継がれています
外国人に踊りを披露するため、男性陣は楽器の準備中
陶器作りは彼らの宗教にも関わる重要な作業です
村で最年長のお婆ちゃん、パイプタバコが様になります

コマの人々が暮らす山地を歩いた後は、南東部の森を目指して一気に走ります。ボロロやフラニの人々の村に立ち寄りつつ、カメルーンを北から南東部へと縦横断。以前より道も整備され、長距離の陸路移動でしたが随分快適になりました。

道路も舗装化され随分快適になりました
途中立ち寄ったフラニの村の女の子たち
南部に入ると増えてくる木材を運ぶローリー

バカの人々の集落がある森の中へも、車道は通っていませんので歩いて訪れます。幹線道路から森の中を約40分歩いて到着。今回も集落が近づいてくると、歓迎の歌声がかすかに聞こえてきて、懐かしい場所に帰ってきたような感慨に浸れました。ここでも顔見知りの人々と再会することができましたが、さすがに狩猟採集をしつつ森の中を移動する人たちだけあって、全員に再開することはかないませんでした。相変わらず、夜は素晴らしい歌と踊りで楽しませてもらいましたが、今回の滞在ではバカの人々の祖霊にして守護神、森の精霊「ジェンギ」の踊りを初めて見ることができました。村に到着したら、馴染みの村の若い衆が「今、ジェンギが来ているから、今晩は踊りが見られるよ」と。観光客の方々向けの仕込みでも何でもない、古くから続いてきた本物の精霊の踊り。あまりの幸運にご参加者皆さん大喜びでした。

赤土の幹線道路から森の中へ
意外に歩きやすい森の道をたどってバカの村へ
バカの人々は森を歩くときに全く足音をたてません
特徴的な森の蟻塚
森に抱かれるようにある集落
身なりは着の身着のままですが、元気な子供たち
小さい頃から火やナイフに近い暮らしをしています
今日の獲物はダイカーとセンザンコウ
森の精霊、ジェンギの踊り。近づけるのは男性だけ
蜂蜜採取のため、木にスルスルと登っていきます
木の上で作業する仲間を見守る
下ではハチの巣を入れる即席のバスケットを制作中
わずかながらハチミツとハチの子がとれました
ハチミツを携帯する袋もあっという間に製作
高い梢に登るときは斧で足場を作りつつ
女性たちによる掻堀漁。いいサイズの魚とカメを捕獲

前回訪問した際は、見慣れない外国人相手だからか表情が硬かった村の人々や子供たちも、今回は慣れがあってか随分打ち解けて、笑顔を見せてくれました。恒例のハチミツ採集や女性たちによる掻堀漁や家造りを見学させてもらいましたが、前回5月に訪問した時より収穫は多かったようです。小乾季に訪問したのが幸いしてか、森での獲物も川で獲れる魚もたっぷりあり、満足に食べることができている集落の人たちは随分リラックスして暮らしていたような印象を受けました。
カメルーンは熱帯の国らしく、この時期気温も湿度も高く、方や山地を、方や森の中を歩かないとたどり着けない村の訪問、かつ宿泊はテントでしたので、なかなか体力的にもハードな旅になりましたが、ご参加者の皆様にはその苦労の価値あるものをご覧いただき、人々との交流を得てお帰りいただけたのではないかと思います。年とともに徐々に少なくなっていく、非常に古くからの暮らしを守る人々、皆さんも訪ねてみてはいかがですか?
羽鳥
◆ツアー詳細 : カメルーン民俗探訪トレッキング 13日間

道祖神