『エチオピア』、アフリカ大陸54ケ国の中でも、最も“ミステリアス”という言葉が似合う国ではないでしょうか。まず、この国には他のアフリカ大陸の国々と大きく違う点が1つ、各国が一番お祝いをする独立記念日というものがありません。なぜなら、一度も他の国の植民地となったことがないからです。その歴史の長さはおよそ3,000年と古く、いわゆる古代、紀元前まで遡ります。古アクスム王国が1,000年近く続き、その後中世からはエチオピア帝国が1,974年の最後の皇帝ハイレ・セラシエ時代まで続きます。その祖となるのはイスラエルのソロモン王と現在のイエメンのシェバの女王との間に誕生したメネリク一世の血筋と言われ、殆ど神話の領域です。
ラリベラの聖ギオルギス教会 (Bet Giyorgis) 古来より現代へとつながる、人々の祈りの世界 色彩がカラフルなアクスム地方のバスケット 外国人が珍しい?真っすぐ見つめてくる子供たち 魅惑のエチオピア料理。インジェラとシロワット 今回旅行したのは、そんな神秘の国エチオピアの北部。首都アディスアベバより北の地域は、特に3,000年分のエチオピアの歴史建造物が多く残る地域です。そして、エチオピア北部の歴史とは、すなわち『エチオピア正教』と呼ばれる独自発展したエチオピア・キリスト教の歴史とも言えます。長い歴史と古い信仰が刻まれた数々の建造物は世界遺産のオンパレード。教会や修道院、かつての王の居城など、どれもが非常にユニークで中世の面影を今でも残しています。特に教会の多くは、単なる『観光地としての世界遺産』ではなく、2020年のこの現在でも人々の祈りの場となっています。しっかりと今も息づいている世界遺産を訪問することが、このツアーの大きな魅力のひとつです。
ラリベラの岩窟教会群のひとつ、聖マリア教会 (Bet Maryam) 教会の守衛さん。クラシックな制服です。 羊皮紙に描かれた聖ギオルギオス。竜退治の伝説を持つキリスト教の聖人の一人です。 一枚岩を十字架の形に彫り込んだ聖ギオルギス教会。天使たちが7日間で造ったと言われています。 十字架の形をした教会を下から眺めるとこんな感じ。 聖エマニュエル教会 (Bet Amanuel)と修道士 聖アバ・リアノス教会 (Bet Abba Libanos)の前で祈りをささげる巡礼者 浪々と御詠歌が謳われる中で、立派な佇まいの聖職者 祈りを捧げながら、歌が紡がれていきます 岩窟教会内の壁画も見事です。聖ミカエルと聖ガブリエル 古アクスム王国時代の書物。古代ゲーズ語で記されています。 地方のふと立ち寄った街にも、何百年も前からある岩窟教会があります。 有名観光地以外の教会にも、見事な壁画が残っています。 アクスムのオベリスク。紀元4世紀から5世紀にかけて造られたと考えられています 建設途中に倒れてしまったと考えられている最大のオベリスク。高さ約33mもあります。 古代の建築技法が垣間見れる遺物。石切り場のメジャー(測定器)です。 聖櫃(アーク)が収められている修道院 旧・聖マリア教会の羊皮紙の書物。600年ころのものとされています。 16~17世紀頃のファジルゲビ王宮。インド、アラブ建築にバロック建築の影響を受けた「ゴンダール様式」の建物です。 17世紀に建設された「デブレ・ブラハン・セラシエ教会」“光の山”という意味があります。 天井に描かれた天使の壁画。全ての天使と目が合うと言われています。 正面に描かれた、三位一体を表す壁画 歴代のファシリダス皇帝たちの水浴び場。ティムカット祭礼の時は巡礼者が集結します。 エチオピア正教会の御詠歌を歌う際の太鼓 道中の旧い教会にも壁画が残ります。十字架を象った出窓 ユネスコの世界遺産にも登録されているシミエン国立公園。初代管理人のC.W.ニコルさんと固有生物のワリア・アイベックスの剥製 「アフリカの屋根」と呼ばれるシミエン国立公園。 固有種のゲラダヒヒ。現生の猿では、唯一、草を主食とする草原のサルです。 顔立ちは厳めしいのですが、表情は愛らしいです。 歯茎をむき出しにして鋭い歯を見せます。実は求愛のサインでもあります。 「ブルーナイルの滝」と呼ばれるティシサットの滝 いわゆる正統派の『歴史・遺跡・文科系ツアー』なのですが、そこには私たち道祖神なりのこだわりもあります。ツアータイトルにもある通り、見どころは『世界遺産』だけではありません。エチオピアの『大自然と民俗』、それらをたっぷりと味わう為のこだわりが、何よりも“陸路の旅”であるという事です。前述した各地に散らばる歴史遺産の各都市を、飛行機で飛んで渡ってしまえば楽なのですが、あえて地を這うように1台の車で旅します。観光地と観光地の間の、古来より巡礼の人々が歩いたであろう山岳地帯や、美しい緑に彩られた農村風景では中世より変わらない人々の暮らしぶりを垣間見る事が出来ます。人と家畜がともに暮らしている姿、ふらりと立ち寄った食堂で地元の人々と共に土地の料理を食べる、茶屋の軒先でじっくり淹れてくれた一杯のコーヒーを味わう、観光地をポイントで訪問するだけでは見えてこない、その国の「リアル」は、興味を持たなければ見過ごしてしまうような『移動』の行間にこそあります。旅の合間に見える風景や体験こそが、この国の『大自然と民俗』を感じさせてくれます。
街から街へ。訪問地へは山間部を走り旅をします。 道中にふと立ち寄った村で出迎えてくれた村のご家族。 覚醒植物カート売りのおじさん エチオピアはどこに行っても家畜が人々共にいます。 街角で談笑していた放牧のお兄さんたち 家畜のヤギと少年 バティの月曜市の一コマ。家畜市場でのラクダの群れ 家畜の売り買いに集まる人々 立派に育てあげた雄牛。売り手のオジサンも名残惜しそうです。 売られていきます。 ラクダを売る人は、アフロ頭が特徴的なアファールの人々が多い 家畜の皮も売り物です 色鮮やかな野菜市場 コーヒーを淹れる際の素焼きのポット 布屋さん。ここでも仕立ては男の仕事だ ラフィア(ヤシ科の葉っぱ)を編むおばさんたち すべて手編みで立派なバスケットに生まれ変わります。 市場の片隅に佇んでいたオロモの女性。胸のコイン飾りはイタリア進駐軍が残していったものだそうです。 市が立つ日は、地元の人々にとっての交流の場所でもあります。 中国製のサンダルを売る兄ちゃんたち。日常生活品は中国製のものが増えています。 市場の片隅でコーヒーを淹れてくれました。 エチオピア名物のチマキ。絶品のフルーツシェイクです。 こちらもエチオピア名物。生肉のたたき。「クトゥフォ」ご注意を! 道中立ち寄った村で家庭料理をご馳走になります。 この円形のかまどは、インジェラを焼くためのものです。 インジェラと豆のソース、シロです。クセになる味わいです。 豪華版。インジェラはテフと呼ばれる極小の穀物から作られます。 エチオピアはビール天国。10種類以上もの銘柄があります。私のお勧めは右端のハラール・ビール すれ違いざまのトラック。荷台に人がぎっしりです。 どこへ行っても子供は可愛いですね。 人懐っこい子供が多くて楽しくなります。 全部で15日間という、長丁場のツアーではありますが、何年も続けている、道祖神のこだわりが詰まった『エチオピアの旅』です。同じ場所に行って、同じ建築物を見に行くのでも、『観光地を訪問する』事と『その国を旅する』事には大きな違いがあります。是非その違いを感じて欲しいと思います。目に映る景色、聞こえてくる生活の音、漂う人々の匂い、そして自分の舌の味わい、全身で『エチオピア』を感じることの出来る旅です。是非、ご参加お待ちしております。
旅の楽しみのひとつが、何度となく立ち寄るお茶屋さん。 一杯のコーヒーが、旅のさなかにホッと一息をつかせてくれます。 ■エチオピアの大自然と民俗、世界遺産、ゆったり・たっぷり 15日間
by 生野