今年も恒例になりましたマサイマラでのキャンプツアーで、サファリ三昧をしてきました。今回は8月と9月の2回をまとめて、写真を使ってダイジェストで語ろうと思います。
毎回お世話になっているオルケリキャンプ。夏といえば観光シーズンですが、ここは貸し切りにしてくれるので、とにかくプライベート感が半端じゃない。特に私たちは5連泊するので、ハードなサファリから静かなキャンプ場に戻ってくると、我が家のような安心感があります。日本人が心配するトイレ・シャワーはしっかりした建物でいつも清潔。しかも、夜は電気もついて安心です。今年はキャンプ場に数頭のゾウが入り込んでしまい、夜間は警備のマサイ族が寝ずの番をしてくれました。敷地の中で動物に会えるのは嬉しいですが、一番大事な安全を提供してくれたスタッフに感謝です。この夏は大きな雨に降られることもなく、夜は焚き火を囲んでお話したり、満天の星を眺めたりできました。
最近のマサイマラで一番有名な「ボラタノ」と呼ばれる5頭のオスチーターに会うことができました。9月はチーターたちがヌーをハンティングする場面に遭遇。仲間でハンティングしようとするチーターを私たちの車も追いかけたので、車の振動で撮影は全くできませんでしたが、ヌーとチーターの興味深い駆け引きを観察することができました。
このシーズンで誰もが観たいのは「ヌーの川渡り」です。私たちのキャンプ場からマラ川までは距離があるのでお弁当を持って一日サファリです。草原にはヌーとシマウマの混軍が点在し、川渡り待ちをするサファリカーも並んでいます。私たちはいくつかの川渡りポイントを巡りながら様子を見ましたが、今年は2回とも川渡りを観察することができませんでした。何年ガイドの仕事をしていても、野生動物の行動を把握するのは難しいものです。
8月の出来事です。夕暮れ、私たちは珍しいサーバルを見かけました。そのすぐ近くで、今度はヒョウに会います。こちらも車を気にすることなく茂みをウロウロしていています。しばらくヒョウを観察していると、身を伏せて目つきが鋭くなりました。その刹那、ヒョウはサーバルめがけて猛ダッシュ。間一髪、サーバルはヒョウの攻撃を回避し逃げていったようですが、同じネコ科の肉食動物同士の関係を垣間見た瞬間でした。
キャンプ場で私たちの帰りを待ちながら料理を作ってくれるのはコックのサミーです。彼とも7年以上の付き合いなので、日本人好みの味付けを理解してくれます。しかも休みの日にはナイロビの料理教室で日本食を勉強する努力家で、毎年料理のレベルがアップしています。参加者はケニアのキャンプ場でこんなに美味しい料理が提供されることに驚き、そして食べ過ぎてしまうので注意が必要です。ツアーの中休みにはケニア料理作りにチャレンジしてもらいます。スタッフとわいわい言いながら作る料理は楽しくて美味しいものです。
いつも警備してくれるマサイ族と一緒に、サバンナを歩きます。キャンプ場は保護区の外ですが、ゾウやライオンが普通に生活している場所なので緊張感もあります。ゾウの糞をサッカーボールのように蹴って転がしながら、マサイ族が普段から利用している薬草などを教えてもらいます。特に私が「スルメアカシア」と呼んでいるアカシアの樹皮がお勧めで、ナイフで幹の中の樹皮を割いてもらい、モグモグ噛みます。すると、じゅわっと何とも言えない甘味とうま味が口に広がります。夕陽の見える丘に登り、日本語とマサイ語を教えあったりしながら、彼らとノンビリした時間を過ごすのも貴重な体験です。
9月のツアーで「変わったシマウマの子供がいる」との情報が入りました。早速、ドライバーは無線で仲間たちと連絡を取り合いながら探しに向かいます。開けた草原の中にヌーとシマウマの大群がいます。その中からようやくそのシマウマを見つけ出すことができました。ぱっと見は黒っぽく、ヌーの子供みたいです。よく見ると、こげ茶色の身体に白い水玉模様が入っています。お尻の方は珍獣オカピのようです。すでにネットでは話題になっていたようで、身体の色素を作るメラニンの突然変異ということでした。このシマウマを最初に見つけたドライバーの名前から「ティラ」と名前もついていました。自然界の中ではこのような不思議が時々起こります。直接観察できたことはラッキーでした。
キャンプ場周辺はアカシア疎開林で覆われており、保護区内の開けた草原とは違った景観になっています。実はここでは、けっこう珍しい野鳥に出会うこともしばしばです。ここでは保護区内よりも至近距離で動物が観察できるので、もともと野鳥愛好家でなくとも、次々出てくる美しい小鳥たちに魅了されてしまいます。ぜひ双眼鏡は持ってきて欲しいです。
キャンプで5連泊した後は、ナイロビに戻ってホテルで1泊します。最終日の午前中はナイロビ国立博物館を訪問することをオススメしています。ここには文化や歴史、自然などの分野に分けて膨大な資料や標本が展示されており、ケニアのことをさらに知ることができます。中でも考古人類学の展示がリニューアルされて分かりやすく、「アフリカ人類発祥説」の舞台となっている東アフリカは、なぜヒトが誕生したのかというルーツを探ることができる興味深い展示になっています。
以上。今年の夏のツアーの想いでは、まだまだ語りつくせません。毎年毎回、サファリは変化し、新しい発見があるように、毎年毎回、新しいお客様が参加します。参加してくれるお客様それぞれの目的を大事にし、長年一緒に働いているドライバーやスタッフと、これからも全力でサポートしていきたいと思っています。