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2023.03.05発 ボツワナ・キャンプ特別編 オカバンゴからビクトリアの滝へ 13日間

新型コロナウイルスの流行により、弊社のアフリカツアー実施がストップしたのが2020年4月。ですのでコロナ禍の旅行制限は約3年続いたことになります。その3年の間、弊社スタッフ一同、国内ツアーやイベント等を細々と行ってきましたが、常に考えていたのは「コロナ禍が落ち着いたら、こんなツアーをやってみよう」ということばかり。そんな原案の一つを形にしたのが、今までは実施を控えていた、雨季終わりの3月に行うボツワナ・キャンプツアーです。南部アフリカの雨季は東部アフリカと異なり、降水量も多く降り方も激しいため、弊社だけではなく業界的にもキャンプツアーの実施はほぼありません。ですので担当者の私も、現地のガイドも、あまり経験のない中での手探り状態でしたが、お客様にもご参加いただき、無事に催行することができました。

緑の中、生き生きして見えるリーチュエ
泥と水を浴び、さっぱりした感じで食事をするイボイノ
心なしか白黒の縞もビビッドなシマウマの群れ
ピカピカで健康状態も良さそうなキリンの群れ
食料となる木の新芽を食べまくっていたオスのクドゥ

ツアーの内容的には例年夏に企画している弊社1番人気のツアーの一つ、「ボツワナ・キャンプ オカバンゴからチョベへ11日間」ほぼそのまま。オカバンゴ・デルタの南に位置する街マウンをスタートし、モレミ野生動物保護区、チョベ国立公園の南西部サブティ地区、そしてチョベ川に面したリバーフロント地区と北上しながら順に訪問、キャンプ泊でサファリをし、本来はボツワナのカサネでゴールとなるところ、最後は国境を越えてジンバブエのビクトリア・フォールズでゴール。雨季明け3月ということでピーク一歩手前まで膨れ上がった水量が期待できたため、通常は旅程に含まれていないビクトリア・フォールズ訪問も加えました。

狩りを始めるか、諦めるか、迷っているかのようなリカオンたち
ハンティングモーションに入るリカオンのパック
緑に包まれたキャンプ
樹皮の間から主を見つけて、エサを加えながら飛ぶミドリモリヤツガシラ
緑と水が豊富でエサとなる虫が多くアクティブなヒメハチクイ
仕留めたシマウマにかじりつくプライドのエースハンターたち
脚を一本くすねて独り占め狙い
藪に隠れてこちらを伺うライオンの子供たち

結果から言いますと、期待できるほとんどの野生動物たちにも、この時期にしか出会えない多くの渡り鳥達にも出会え、どこもかしこも緑が美しく、見たこともないくらい水位が上がったチョベ川、デルタのラグーンや水路は大いに目と心を潤してくれ、大成功のサファリとなりました。が、サファリカーの運転席&助手席に座って動物を探す側の現地ガイドと添乗員の私の立場からすると苦労の連続。草丈はサファリカーの車体を隠すほど高い場所もあって動物を目視しにくい、いつもは剥き出しの地面を草が覆って動物たちの足跡を隠す、乾季にはわずかに残るだけの水場がブッシュのあちこちにあるため動物たちが散ってしまう、そんな難しい状況でしたが、毎日粘り強く探していると不思議と後半に進むにしたがっていいシーンに出会う頻度が高くなっていきました。ご参加の皆さんからも「こんな視界不良でどうやって動物を見つけているんですか?」と度々尋ねられましたので、わずかに残された足跡、排泄物、木の幹や棘にこびりついた体毛、臭い、草食獣の動きや視線、アラームコール(警告音)など、様々な情報を頼りに糸を手繰っていくようなものです、とご説明すると、皆さんもそれら注意深く観察し、聞き、嗅いで、野生動物たちの思考を読んでみるという、難易度が高かったからこそ、もう一歩踏み込んだサファリの面白さへの気づきにつながったかと思います。どのキャンプ地も私たちが今年初めての利用者という訪問客の少なさで、サファリをしていてもすれ違う車はなく、夜明け頃につけられた足跡が午後遅くまで道に残っており、すれ違う他のサファリカーのガイドから情報が得られないという状況を補ってくれました。

水がたっぷりあるため、いつものオス同士の激しい争いは起こりません
食料も豊富なのか毛艶の良いシママングース
サブティのオスライオン5兄弟のうちの1頭はハネムーン中
サブティプライドを率いる5兄弟中、最もハンサムな1頭
早朝に出会ったため、アクティブなオスライオン

夕方から夜にかけては夕立ちやにわか雨も想定していましたが、わずかに降られたのは最初の数日くらいで、星が広がる夜空を眺めることもできましたし、日中の雲間からのぞく青空は素晴らしくクリアで、サファリとキャンプの日々を彩ることはあってもトラブルの元にはなりませんでした。いつもとは異なる背景というのもなかなか絵になるもので、稲妻が光る黒い雲を背景に1頭のオスのヌーと11頭のリカオンの群れが対峙する様は、さながらドキュメンタリー映像のワンシーンのようでしたし、豊富な水と新鮮な草を味わうゾウたちや背中まで水に浸かってゆったりと川を渡るバッファローの群れは心なしかリラックスして見え、乾燥して埃のベールがかかったような景色も雨季を経るとここまでビビッドな色に塗り替えられるのかと感心させられました。何度もこの地域に足を運んでサファリをした経験のある私ですらそうだったのですから、ご参加者の皆様の驚きや感動はいかほどだったかと想像できます。

仕留めたインパラを食事中のメスのヒョウ
あまりにも長居しすぎたので、少し怒られました
5頭で仕留めたインパラを分け合うリカオンたち
渡り鳥で、5月にはボツワナを去ってしまうセネガルショウビン
スタックはせずとも泥だらけのサファリカー

サファリの最後を中州が水面下に沈むほど水位のあがったチョベ川でのボート・サファリで締めくり、最終目的地のビクトリア・フォールズへ。ここではオプショナルツアーへの参加を予定して、滝の見学後もう1日滞在日に余裕を持たせていましたが、体力に自信のある男性ばかりのご参加者の皆さんは、雨季で水量が増し、ギリギリ安全性が確保できている状態(ラフティング・ガイド談)というハードなザンベジ川でのラフティングを楽しまれていました。滝の水量がピークになるのは5~6月ですが、それに向かっていく3月中旬の水量もすさまじく、おなじみの滝の遊歩道から滝そのものを見ることは困難で、水滴が雨のように降り注ぎ、レインウェアなしでは数秒で全身びしょ濡れになります。びしょ濡れになりながら何とか撮影に適した場所を探すと、そこがリビングストンの銅像が立っている場所だったのは感慨深かったです。

水たっぷりで、心なしかうれしそうなゾウ
たっぷりと花に水を含んで飲み干すゾウ
増水したチョベ川にはゾウの好物の水草もたっぷり
水量の多い時期ならではのバッファローの川渡り
中州が沈むくらいの水量を湛えたチョベ川
オレンジ色がビビッドなミナミキンランチョウ
幼鳥からほぼ徐々成鳥となり、胸のピンク色も濃くになってきたベニハチクイ
夕暮れの陽の中、土煙をあげて陸地深くに移動していくバッファローの群れ
夜は焚火をおこして、昼間のサファリの感想を語ります

3月はお休みがとりにくい時期ですし、ガイドのスキルが高くなければ充実したサファリにすることが難しいため、雨季明けの時期に再度ツアーを企画するかはわかりませんが、ひと月後のゴールデンウィークにはいつもの土色の光景に戻っていたあの緑の濃さも捨てがたく、今後は何年後かの再度の実施を目指して様々な場所でアピールしていこうと考えています。

道祖神