およそ8,000万年前に誕生し、世界最古の砂漠とも言われるナミブ砂漠。最深部のソーサスフライでは、高さ300mを超える巨大な砂丘が観光客を待ち構えます。ナミビアのキャンピングツアーでは、そういったナミブ砂漠訪問を皮切りに、でこぼこの悪路をバンとトレーラーで駆け抜け、オットセイのコロニーや世界遺産の岩絵の見学、ヒンバの人々の訪問、そして最後はナミビアが誇るエトーシャ国立公園を目指します。
ナミビア到着は、首都ウィントフック。早速、かつては平和の教会として知られ、現在は街のシンボル的な存在となっているクリストゥス教会へ。帝国主義時代に地元の人々が受けた悲惨な出来事は、ナミビアが決して忘れることのない過去なのでしょう。美しい教会の背後に、悲しい歴史を見た気がします。その後、隕石のモニュメントへ。数万年前、時には数百万年前とも言われる時代に宇宙より飛来した隕石の一部が展示されています。嘘か本当か、鉄器が使われるより以前、地元の人々はこれらの破片を道具や武器に利用していたとのこと。興味深いです。
ホテル近くのスーパーで買い出しを行い、いよいよナミブ砂漠へ出発です。地元の人も利用するスーパーで買い物をしたりするのも、キャンピングツアーならではの楽しみです。ウィントフックのあるホマス高原を離れ、途中、南部アフリカ大断崖を超え、いよいよナミブ砂漠へ。到着すると、すぐにキャンプの設営です。参加者の皆さんで協力しながら、テントを建てて行きます。そして、夕方、夕日を求めてキャンプサイト近くの砂丘へ。砂丘を一目散に登る人、夕日に向かって一直線に歩く人、皆さん思い思いの方角に向かって行きました。なお、夕食時にはジャッカルの来訪もありました。
早朝、まだ暗いうちにキャンプサイトを出発します。今回はまず、デューン45へ。皆さんどんどんと砂丘を登っていきます。結構高さがあるので、高所が苦手な方は少し怖いかもしれません。デューン45を満喫した後は、ついにナミブ砂漠の主人公とも言うべき、デッドフライへ。600年~700年前に枯れた木々が、そのままの姿で立ち尽くしています。また、奥にあるビッグダディは300m超の高さを誇る砂丘で、かなり大変かと思いますが、登る価値はありそう。
そして、午後はセスリエム渓谷へ。数百年かけて水の流れで削られたという渓谷を歩きます。こういった所を歩いていると、目の前に広がる景色に注意が行きがちですが、足元にも目を向けると、興味深いものも…。砂漠に暮らすゴミムシダマシを発見。背中のデコボコで霧に含まれる細かい水滴を集めるのだとか。なお、この日は、砂漠観光の際に、軽い熱中症にかかってしまった方がいらっしゃいました。ナミブ砂漠訪問をご検討中の方は、是非熱中症対策をしていただけたらと思います。そして、無理は禁物です。
早朝、キャンプを撤収し、セスリエムを後にします。この日は、砂漠でのアクティビティで有名なスワコプムントまでの移動日で、350㎞程度の距離をひた走ります。途中、アップルパイで有名なソリテイルでの休憩や、南回帰線とキュイセップ渓谷での記念撮影等を間に挟みつつ、進んで行きます。しかし、今回の旅全体で言えることですが、未舗装路の道路整備が通常よりできておらず、ガイドもびっくりするくらいの悪路が続いていました。そして、車へのダメージが蓄積され、遂に道中でトレーラーが故障してしまうというトラブルがありました。何とか修理をすることはできましたが、悪路は続くので、不安は残ります。
朝、スワコプムントを出発。ガイドが簡単に市内ツアーをしてくれました。公園では、日本でいえば鳩の様な感じでしょうか、ホロホロチョウがちょこちょこと歩いていました。海沿いを走り、スケルトン・コーストでは、異様な雰囲気で佇む座礁船を見学。そのまま北上し、ケープ・オットセイの一大生息地として名高いケープクロスへ。皆さん野生のオットセイの観察を楽しみにしていましたが、11月~12月が繁殖期ということもあり、オットセイの赤ちゃんの死骸が多く目につきました。自然の過酷さを痛感する訪問でした。
午後はヒンバの人々の暮らすカルチュラル・ビレッジへ。女性や子供たちの歓迎を受けつつ、ガイドがヒンバの人々の文化や伝統、暮らしを説明してくれました。ダンスの披露や家の内部に入ったりすることもできます。
そして、近くのキャンプサイトへ。ナミビア滞在中、殆ど毎晩、綺麗な星を見ながら過ごしていましたが、ここの空が一番澄んでいた気がします。写真だと伝わり辛いかもしれませんが、まさに、降り注ぐような星空でした。
この日は朝キャンプを撤収し、サン人が残したとされる岩石線画群、トゥウェイフルフォンテーンに向かいました。前日の悪路で後輪がパンクしていたので、修理をしてからの出発です。しかし、トゥウェイフルフォンテーンまで間もなくというところで、ガタンという鋭い衝撃が車体から伝わってきました。ガイドが確認すると、タイヤの方向を制御するアームが分断してしまっているとのこと。そして、もうこの車は走れない、ということが分かりました。
参加者の皆さんには、予定通りトゥウェイフルフォンテーンに向かっていただきました。サイやゾウ、キリンといった動物の線画に始まり、水源を表す地図として機能していたという線画、そして、サン人が遠くに行った時に見てきた動物を描いたというアザラシやペンギン。ですが、ハイライトはやはり、ライオンに化身した呪術医を描いたとするライオンマンでしょう。いつも見ても、ひとつ不思議な魅力を解き放っています。
この日、本当はエトーシャ国立公園まで移動し、夕方サファリをする予定となっていました。しかし、車両の故障により代車を待つこととなり、最終的にエトーシャへは翌未明に出発し、午前中のみサファリをすることとなりました。参加者の皆様にはご迷惑をおかけし、またご期待に沿うことができず、大変申し訳ございませんでした。この場を借りて、改めてお詫び申し上げます。
午前3時に起床し、キャンプサイトを出発。エトーシャに向かいます。エトーシャでは最近雨が続いていると事前に言われていた通り、保護区のあちこちで雨の形跡が見られました。しかしそれでも、オリックス、スプリングボック、インパラ、レッドハーテビースト、キリン、シマウマ、ヌー等の哺乳類、そしてアフリカオオノガン、ダルマワシ、シロクロゲリ等の鳥類を見ることができました。さらに、少し遠かったのですが、数百メートル先にシロサイを見つけることもできました。ただ、望遠鏡を使っても見るのがぎりぎりで、写真に収められた方は殆どいらっしゃらなかったと思います。また、残念ながら、ライオンやヒョウといった肉食獣を目にする機会はありませんでした。そして、最後の最後にキャンプサイトのウォーター・ホールを訪問しましたが、水場がポツンと残るのみで、動物の姿はありません。少し寂しい景色ですが、「また来なよ」、とまるでエトーシャが語っている様に感じられました。
こうして、『ナミブ砂漠訪問 ナミビア・キャンプの旅 10日間』も終わりを告げることとなります。ハプニングが続きましたが、一方で、アフリカらしい旅だったと言えるのかもしれません。上でお伝えした様に、参加者の方々には多大なご迷惑をおかけしてしまいました。重ねてお詫び申し上げます。担当者、現地エージェント、添乗員、すべての関係者がこの教訓を生かし、今後より良いツアー造りに誠心誠意努力して参ります。