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2025.07.12発 【特別企画】北部ケニア・ブラックパンサー・サファリ 10日間

『クロヒョウ』、遺伝子の異常(欠落?)が原因で生まれる、正常体では黄色の体毛に斑点模様が特徴のヒョウの「黒変種」のことですが、ヒョウが生息している場所であればどこでも、いつでも出現の可能性はあり、有名なのはインドやスリランカで、植生が密で太陽光が遮られることの多い、どちらかというと薄暗い自然環境、いわゆる森林や密林の環境で発生率が高くなると考えられているようで、サバンナや比較的ひらけた疎林帯の多いアフリカでは非常に稀なケースでした。
ケニア中央部のやや北寄りに位置するライキピアで、このクロヒョウの出現が確認されたのが2019年、当時からケニア国内のみならず、野生動物が好きでそちら方面にアンテナを張っている世界中の人々の間では大きなニュースとして取り上げられていました。ただ、色々と調べてみると、当然クロヒョウの生息個体の数は少なく(当時は1頭ないしは2頭といわれていました)、テリトリーを強固に保持するヒョウの生態特性上、チーターやリカオンのようにあちこち縦横無尽に動き回ることはなく、ライキピアの中の限られたエリアに留まっているであろうことは予想できましたが、それでも広大なエリアの中で1~2頭という希少なクロヒョウを探して、観察し、撮影するなんていうことをメインの目的に据えて、果たしてツアー化できるだろうか?という点が大いに疑問で、ツアー化することはなく、しばらく様子見ということで静観していました。
風向きが変わったのは2023年頃、ツアー担当の私のサファリガイド時代の個人的友人や当地のロッジのスタッフ自身からの情報提供により、どうやら同エリアには最低でも6頭、最大で8頭のクロヒョウが生息しており、そのうち1頭は人間やサファリカーにかなり慣れており、サファリカーのエンジン音を聞いて逃げることもなく、人前に姿をさらすことに対してもあまり神経質ではなく、遭遇できる可能性はかなり高いらしいという情報を得て徐々に真剣にツアー化を考えるようになりました。ケニアといえば弊社の創業当時からサファリツアーを手掛け、最も多くのお客様をお送りし、現地事務所を置いているアフリカでの本拠地であることから、パイオニアを自負している身としては、やはりツアー化すべきという考えの元、2025年の特別企画として企画したのがこのツアーです。

ライキピアという場所自体、有名なマサイマラ国立保護区やアンボセリ国立公園と比較して圧倒的に知名度も低く、日本からのお客様が多く訪れる場所ではありませんが、昔から野生動物の生息密度が高いことは知られており、エリア内には個人や自然保護団体が所有する私営保護区が点在し、南アフリカのクルーガ-国立公園周辺の私営保護区やボツワナでと同じようなスタイルの、最低限のオフロード走行やナイトサファリを含むサファリが可能なことは知られていました。今から30年近く前に何度か足を運んだことはありましたが、日本からのパッケージツアーの行き先として選択するという考えは長い間頭に浮かばず、クロヒョウの出現をきっかけとしてこのライキピアに加えて、赤道以北に位置するサンブル国立保護区を組み合わせてツアー化できたのは、弊社としても大きな収穫でした。
さすがにケニアを代表するマサイマラ国立保護区と比較しますと、野生動物の生息数や種類の多さは劣りますが、それでも印象的には僅かなもので、代わりによく知られた野生動物の別種、赤道以北に生息している種の個体がいくつも見られ、サファリカーですごく混雑しているということもなく、比較的ゆっくりと野生動物観察を楽しむことができる地域です。標高が低いため、暑さと乾燥、ホコリっぽさが最大の敵といったところでしょうか。
初めてのツアー企画でしたが、結果的にライキピアではGIZA MUREMBO(スワヒリ語で「美しき黒」という意味)と名付けられたメスのクロヒョウとは何度も遭遇、闇夜のハンティングを複数回目撃し、今年生まれた2頭の子ヒョウたちにも出会えました。それにとどまらず、ケニアでは滅多に遭遇することのなくなったリカオンの群れ、陽の光の元では滅多に遭遇できないシマハイエナ、クロヒョウ以外のオス・メスの普通の色と柄のヒョウ数頭、ライオン、グレービーシマウマ、アミメキリン、長大な牙を持ったゾウとその群れとの遭遇など、非常に大きな収穫でした。せっかく赤道以北に足を伸ばすのであればと組み合わせたサンブル国立保護区では、ライキピアで見ることのなかったチーター、オリックス、ゲレヌク、また両地域を通じて数多くの美しい鳥たちも観察・撮影でき、私自身ケニアを訪問するのは2018年以来7年ぶりでしたが、訪問前の期待をいい意味で思い切り裏切る、非常に実りの多いサファリとなったと思います。

前置きが長くなりましたが、以降はツアー中に撮影した写真をご覧いただいて、添乗員レポートに代えさせていただきたいと思います。
行程はナイロビから軽飛行機でケニア山の西の麓のナニュキへ空路移動、そこから陸路ライキピア(正確にはオルドイニョ・レンボロ)のロッジに移動。ここではクロヒョウ探索をメインに4泊して私営保護区でのサファリを楽しみ、その後再び陸路ナニュキへ移動。ナニュキでナイロビからのサファリカーに乗り換えて北上し、サンブル国立保護区のロッジに移動し2泊、最後は陸路で一気にナイロビへ戻る、という行程です。

まずは、まだあまり日本からの観光客に走られていないライキピアのオルドイニョ・レンボロから。

ナイロビから空路ナニュキへ45分、ナニュキから陸路3時間で到着するライキピア北部のオルドイニョ・レンボロ
域内は概ね疎林帯で、丘陵あり岩山あり、加えて2本の川が流れ、野生動物にとっては素晴らしい生息環境が広がっています
岩山を背にその麓に位置するメイン・キャンプ、大型テントが6張りのテント式ロッジです
サファリはオープンカー、ドライバーを兼任するガイドと運転席の屋根上に座って動物を探すスポッターのコンビでゲームドライブを主導します
朝の軽食はキャンプでですが、ランチ、ディナーは域内の指定場所でもとることができます
この日は域内にいくつかあるダム(貯水池兼水場)を見下ろすハイドでランチ
なんと到着後1回目のサファリでクロヒョウに遭遇、メスで名前はGIZA
今年生まれたという2頭の子供を連れていた
親はクロヒョウ、子供は普通のヒョウという、ちょっと神秘的な光景
その後、発信機を取り付けてある個体のいるリカオンのパックにも遭遇
6頭で動いているが、夕方気温が下がってくると盛んに動き、なかなか1か所にはとどまってくれない
もちろんブチハイエナも生息しているが、若干おとなしく控えめな印象、数も多くはなさそう
保護区内にいくつもあるダムの一つでくつろぐゾウの群れ、ランチをとったハイドから見える景観
キャンプのエサ台に現れたセグロコサイチョウのメス
ミナミメンガタハタオリ
羽のグラデーションが美しい、シロハラミドリカッコー
アフリカサンコウチョウのメス
数多く見かけた、アフリカオナシアゲハ
赤道以北に生息するフサホロホロチョウ
アカハシコサイチョウのオス
ダイニングの花瓶に飛来したヒガシニシキタイヨウチョウ
ヒョウの捕食対象となるインパラも群れで生息しています
チャガシラニシブッポウソウ
アフリカワシミミズク
午前のサファリの休憩場所近くにいたライオンのメスが夜は活発に動いていました
短時間のナイトサファリで出会ったGIZA、1頭目はスクラブ・ヘアーを仕留める
2頭目の獲物は目の前でディクディクをゲット
距離にして約5~7mまで近づいてくれてやっとブレずに撮影できました
メスの割になかなか凄みのきいた表情
15分間程度で仕留めた3つ目の獲物、このディクディクは自分用らしく、樹上に運んですぐに食べ始めました
珍しく真昼間にコールしながら歩き回っていた大きなオスのヒョウ、KISIWA(川の中州でよく見られていたので、「島」という意味の名前)
オスのヒョウはシャイの個体が多いのですが、堂々とゆったりと歩くKISIWA
結局20~30分撮影させてくれ、川床に消えていきました
群れで、比較的キャンプの近くに留まってくれていたおかげで何度も見かけたリカオン
クロヒゲゲラ
セグロコサイチョウのオス
キタカンムリショウノガン
ゴマフオナガゴシキドリ
クロワシミミズク
何度か見かけたのですが、結局正面から顔を撮影できなかったシマハイエナ
おそらく父親のKISIWAが獲って木の上に置いた獲物の残りを食す、KISIWAの息子のKINYU
三夜連続、この日もハンティングモードのGIZA
ストレスを与えず、仮の邪魔にはならないように、最低限の明かりでスポットします
目の前にいたメスのジャッカルを一撃で捕らえて放置
即死状態かと思われたジャッカルですが、この後フラフラと立ち上がってよろめきながらブッシュに消えていきました
赤道以北に生息するグレービーゼブラ
ヒガシコシジロウタオオタカ
遠目で見て、珍しいコシジロイヌワシかと思い狂喜したのですが、脚や尾羽の色をよく確認すると、さらに珍しいヨゲンノスリの黒変種でした
ケニアの中~北部では珍しい、長大な牙を持ったオスのゾウ
全体的に大きな体、細かい縞、白いお腹、大きな耳と茶色いマズルが特徴のグレービーゼブラ
サバンナシマウマと異なり、オスは自らのテリトリーを持ち、そこに入ってくるメスと交配します
あちこちにある岩場で見られたロックハイラックス
こちらは遺伝子異常のない正規の色のヨゲンノスリ
滞在最終日についに夕立につかまり、サファリは中断。雨上がりにはヒョウモンリクガメがあちこちに
最後の夜のサファリでGIZAの代わりに彼女のテリトリーに現れたオスヒョウのKOVU(スワヒリ語で「傷」の意味、顔面に大きな傷跡がある)
約5時間の陸路移動を経てサンブル国立保護区へ

オルドイニョ・レンボロの絵私営保護区でたっぷりサファリを楽しんだ後は、サンブル国立保護区へ移動。ここでの目当てはオルドイニョ・レンボロではほぼ見られないチーターです。

カラーリングが美しいノドジロハチクイ
探していたホオアカオナガゴシキドリをやっと目視しました
ベイサオリックスもサンブルならではの大型哺乳動物
首や脚など露出している部分の肌がブルーグレーのソマリダチョウ
常に水のあるエワソニイロ川が保護区の南を流れているので、水辺を好むウォーターバック(こちらはコモン)も生息しています
ハイガシラショウビン
ブッシュの枝の高い位置に留まり、けたたましくアラームコールを響かせるハゲノドシャコ
気温の上がる午後、水を求めて川へ向かうゾウの群れ
ちょっと遠いですが、サンブルではポピュラーなレイヨウ、ゲレヌク
赤&青のド派手なオスに対して地味で渋い色合いのヒガシアフリカアガマトカゲ
トロピカルハウスヤモリ
African Striped Skink、和名はないのかもしれませんが、名づけるならアフリカシマトカゲ
先日より少しはっきり見ることができたゲレヌク。後ろ足で器用に立ち上がって高い位置の草を食みます
立派な体格のゴマバラワシ
ここまで写真を1枚も挙げていませんでしたが、ライキピアでもサンブルでも見られたアミメキリン
サンブルでもライオンは見られましたが、ここでもメスのみでした
ハネムーン中のチーターカップル。サンブル2泊、滞在1日で3個体を見ました
夜、ロッジの部屋の前に現れた、エサを探すジネット
最後の日の朝はヘビクイワシを近距離で

弊社が長年手掛けているケニアを目的地にしたものでは、珍しく初めての試みとなったツアーでしたが、結果的にサファリの内容としては大成功となったのではないかと思います。ライキピアのキャンプ(テント式ロッジ)はクロヒョウを一目見ようと世界中から訪問客が殺到している状況で、かつ雨季はクローズしますので比較的狭き門となっています。来年も同時期にツアーを企画しており、既にキャンプのお部屋は押さえていますが、現段階で残室1となっています。
2027年の予定はまだありませんので、クロヒョウに限らずケニアでボツワナのようなサファリがしてみたかった、赤道以北のちょっと珍しい亜種も見てみたい、という方はぜひこちらのツアーへのご参加をご検討ください。

道祖神 羽鳥

■【特別企画】北部ケニア・ブラックパンサー・サファリ 10日間

道祖神