国土の8割を熱帯雨林に覆われ、豊かな自然が残るガボン。ロペ国立公園とアフリカ最後のエデンと呼ばれるロアンゴ国立公園、2つの公園を軸に、列車やボートなど多彩な移動方法を組み込み、まさにツアータイトル通り、ガボンを探索・体験する旅を企画しました。久々にツアーが催行になりましたので、簡単ですがレポートです。
エチオピア航空で首都のリーブルビルへ到着。ガボンはアフリカでも内戦経験のない平和な国で、人々も穏やかで町にはゴミも少なく、整った街並みが続きます。到着日と翌日は、リーブルビル沿いのビーチやサン・ミシェル教会を訪問、リーブルビル最大のモンブエ市場も歩きました。ものに溢れ、活気あるマーケットはやはりアフリカ旅行の楽しみのひとつです。
リーブルビルからロペ国立公園へは、トランス・ガボン鉄道を利用します。出発は20時。市内観光の後、リーブルビル南部のオウェンドにある駅へ向かいました。今回は特別に(?)VIPルームで出発を待ちます。
19時頃、いよいよ列車の搭乗時刻となりました。今回利用の1等席はすべて指定座席となります。しかし、ここはアフリカ。私たちの座席には既にママが陣取っており、もう何があっても動かないからね、といわんばかりに、ちょうど居合わせたポリスのいうことも聞きません。こうなることはなんとなく予想できたので・・・空いている席におとなしく座り待っていると、トランス・ガボン鉄道は汽笛とともになんと定刻通りに出発したのでした。
日本の列車ではまず聞くことのない、車両とレールが擦れあう?賑やかな金属音を車内に響き渡らせながらゆっくりと進みます。トランス・ガボン鉄道はオウェンドとフランスビル約670kmを結ぶ鉄道です。その大きな目的は木材やマンガンなど資源輸送となります。旅客輸送はエクスプレス(特急)とオムニバス(各駅)が1日ずつ交互に走っていますが今日はエクスプレスの日ですので、ロペまでは2駅、距離は約290kmあります。事前の情報では5~6時間ほどの到着予想でしたが・・・遅れたのかこれが定刻なのか、8時間後の早朝4時前にようやくロペ駅へと到着したのでした。駅のプラットホームが短いため、真っ暗な中、直接線路に降りホテルの送迎車を待ちます。
氷河期に形成されたというサバンナと森林の風景が特徴のロペ国立公園訪問の目的は、絶滅危惧種でありオスは個性的な色彩の顔を持つマンドリル・トレッキングです。まずは、ロペ国立公園へのサファリへ。ウォーキング・サファリとサファリカーでのサファリとなります。動物自体は少ないものの、森ではブラックコロブスやダイカーの親子、サバンナではブッシュバックやマルミミゾウを観察できました。
そして、いよいりマンドリル・トレッキングへ。1回のトレッキングは4名までとなるため、午前と午後に分かれてトラッカーの皆さんに案内していただきました。発信機やGPSを駆使して居場所を特定するため、遭遇率は高いです。15分ほど歩いて群れに遭遇しました。数百頭レベルと数は多いですが、次々と森を移動していくため、森を歩ける体力と、写真に収めたい方は超望遠レンズや撮影テクニックを要します。また、顔の色彩が特徴のオスは個体数が少なく、表にあまり顔を出してはくれません。対面から約1時間でトレッキングは終了となります。写真の成果はさておき、参加者皆さんマンドリルとの対面をお楽しみいただけたようです。
ロペ国立公園滞在中は、ホテル近くにやってくるアカスイギュウや野鳥の観察、旧石器時代から暮らす人々の文化を深く知ることのできる博物館訪問も楽しみのひとつです。
日程6日目は移動日となり、ランバレネを目指します。ロペからジョレまでは、かなりの悪路が続きます。赤土のダートは荒れており、さらに、このルートは木材輸送トラックが行き交い、砂埃も激しく、中継地のジョレへ到着した頃には砂まみれになりました・・・。ただ、ジョレのパン屋兼レストランで食べたチキンは絶品!スパイスが利き、かつ、これほど柔らかいチキン料理は、私も過去アフリカでチキンは何度もいただいていますが、ベスト・オブ・チキンです。パンも焼きたてで素晴らしいお味でした。
ランバレネまでは、まだまだ道路の状態が悪く、舗装路ではありますがポットホールが続きました。なんとか夕方到着。ランバレネといえば、この地で医療活動に生涯を捧げたアルベルト・シュバイツァー博士の記念館で知られています。博物館や実際に使われていた診療所などを拝見しました。
日程7日目は、今度はスピードボートに乗り換え、ガボン最長の河川であるオゴウェ川を下ります。豊かな水量をたたえゆっくりと流れ行くオゴウェ川では、人々の生活風景、多くの野鳥に加え、カバにも遭遇しました。オゴウェ川から支流へと入り、最後はラグーンを移動し、半日でオンブエへ。
オンブエからは、密猟やブッシュミート市場で保護されたニシローランド・ゴリラが暮らしている島と、エッフェル塔をデザインしたグスタフ・エッフェルが手掛けたサン・アン教会を訪問しました。ゴリラの保護島は周囲3㎞ほどの島に、オス2頭、メス6頭のニシローランド・ゴリラが自然に暮らしていました。プロジェクトが始まり10年ほどとのことですが、思いがけず自然の中で暮らすニシローランド・ゴリラに出会うことができ、皆さん感激。帰りはボートのエンジン故障でしばしラグーンに浮かんでいましたが、ちょうどよい夕日観賞の時間となりました・・・。
さて、最終目的地のロアンゴ国立公園へ向かいます。悪路を2時間弱走り、イベンゲで入園手続き後、まずは公園北部のンドラ・ロッジへ。洗練されたロッジでの昼食を楽しんだ後、ボートでロッジへ移動します。ロアンゴ国立公園では、季節により宿泊地が異なります。乾季の今は、内陸のアカカ・キャンプがベースとなります。既に国立公園内ですので、ロッジへ向かう途中からサファリ・スタート。アフリカハサミアジサシ、オオヤマセミ、ヒメヤマセミ、ヤシハゲワシ、シロクロサイチョウ、アフリカヘビウなどの野鳥をはじめ、マルミミゾウやアカスイギュウ、スレンダークロコダイルにも出会え、幸先のよいスタートとなりました。
アカカ・キャンプは全6部屋のみのテント・ロッジ。クィーンサイズのベッドに、薪で沸かしてくれるお湯や時間は限られるものの電気もあります。ツアーでロッジは貸切のため、プライベート・ロッジのように、快適に過ごせました。また、サファリはボート・サファリ、または、ウォーキング・サファリとなりますが、付近に他のロッジがないため、ロアンゴ国立公園をほぼ貸し切りのようにサファリできるのも大きな魅力で、野鳥観察においては大きなアドバンテージにもなります。ロッジ滞在中には、レストラン棟から動物・野鳥観察できるのも魅力。非常に贅沢な時間を過ごせます。また、朝日の時間は霧も相まって、幻想的な朝を迎えられました。
さて、サファリの成果はといえば、東部アフリカや南部アフリカでのサファリに比べると派手さはないものの、充実したバードウォッチングができること、また、マルミミゾウをこれほど間近で観察できる場所は、他にはないでしょう。
ウォーキング・サファリではブラウンモンキー、アカカワイノシシの存在は確認できたものの、撮影に至らず。
ボート・サファリでは、セネガルショウビン、カンムリカワセミ、ヒメヤマセミ、ルリハシグロカワセミ、ヒメショウビンなど多くのキングフィッシャーをはじめ、ヤシハゲワシ、アフリカレンカク、オスプレイ、シロガオリュウキュウガモ、ヘビウ、オジロクロツバメ、バライロハイチクイ、アフリカトキコウなどが観察できました。
また、野鳥だけではなく、数えきれないほどのマルミミゾウやカバ、シタトゥンガ、シロエリマンガベイにも出会えました。特にシタトゥンガについては、最終日まではっきりと捉えることができませんでしたが、最後の最後にシタトゥンガのカップルや小さな子供を立て続けに見られ、とても盛り上がりました。
そして、旅の締めくくりはサプライズのサンダウナー。ロッジスタッフや皆さん一緒に、ドリンクを飲みながらロアンゴ国立公園の自然の中でリラックスしたひと時を過ごしたのでした。帰りはポートジャンティルから国内線で再びリーブルビルへ。
サファリだけではなく、多彩な移動方法でガボンを旅するガボン・エクスプローラー13日間。ガボンならでは(?)ののんびりした空気もあり、車両の遅延やトラブルは正直多々ありますが、これもアフリカ旅の醍醐味でしょうか。2026も企画予定ですので、ご興味がございましたらぜひお問い合わせください。
道祖神 佐藤