サント・アンタン島は今回のツアーのハイライト。
つまり、この島に滞在し、島で’ウォーキング’をするのです。
サント・アンタン島を始めとしたカーボ・ヴェルデのいくつかの島は火山島。地形は山がちで、必然的に歩くコースも’登る’か’下る’のが多くなります。ツアーご参加の皆さんから「これはウォーキングではなく、トレッキングでしょ」とのお声の通り、山道をひたすら登ったり、下ったりがなかなか長い道のりです。それでも4日間歩いたうち、1日は海岸線(ここにもアップダウンが多いですが)を歩いて、海風に当たることもありました。大西洋です。
雨の降らないカーボヴェルデの島々では、水は貴重です。山の斜面に段々畑が広がり、所々に小さな貯水プールがあり、斜面の下のほうまで引かれた水路を伝わって畑に水が供給されるようになっています。そして段々畑は、水や栄養が流されないように、きっちりと石の枠によって整地され、さらに人や家畜が通る山の斜面はずっと石畳が敷き詰められているのです。もちろんこの石積みの作業はすべて人の手によるもの。決して恵まれていないこの土地で、人々が生きていくための地道な努力が感じられます。石積みを見るだけでもその丁寧な仕事ぶりがわかり、カーボ・ヴェルデの人の真面目さが伝わってくるのです。
それにしてもカーボ・ヴェルデの人たちの穏やかさと温かさ。彼らの表情がいいので、時々写真を撮らせてもらうのですが、誰もが「オブリガード(ありがとう)」と言って相変わらずニコニコ。何を要求するわけでもなく、こちらのわがままを受け入れてくれるようなおおらかさがあるのです。
カーボ・ヴェルデは、実は音楽も多彩で魅力的です。’裸足の歌姫’と呼ばれるセザリア・エヴォラを代表する、ちょっと物悲しさ漂うモルナ、ダンスミュージックのコラデラ、アップテンポのサンジョンなどたくさんのジャンルがあり、生活の中に音楽が生きています。
サンヴィセンテ島滞在の日は祝日(メー・デー)で、街のいたるところで音楽イベントが催され、私たちもコンサートへ行ってみました。ちょっとだけびっくりしたのは、時間の正確さと観客の反応。アフリカのいくつかの国でコンサートやライブへ行ったことがありましたが、たいてい開演予定時間よりは1時間、下手すると2時間以上遅れるのが当たり前です。そして観客が座っているのは最初のうちだけで、あとは皆立ちあがって踊りだすというのがお決まりパターンですが、なんとここでは開演予定時間に始まり、そして観客は最後まで着席のままで終了。こんなところでも大陸のアフリカとはちょっと違うカーボ・ヴェルデの文化の違いにふれた気分でした。
紙田