ハリッサ(Harissa)とは、唐辛子を元に作られるペースト状で辛口の調味料。マグレブ諸国、特にチュニジアで多く作られ、使われています。缶詰や瓶詰、チューブ入りなどで市販されているほか手作りも可能で、各家庭の味があるとも言われています。チュニジア版「おふくろの味」と言ったところでしょうか?
マグレブ料理店では自家製のハリッサを置いている店も多く、主にクスクスに添えるほか、タジン鍋やケバブなどにも用いられます。好きな方は、前菜で供されるパンにつけて食べる方も。
作り方は、生の赤唐辛子を蒸してペースト状に溶かしたものを基本に、最も単純な味付けでは塩を添加、あるいは塩とニンニクを足しただけのものが安価で手に入ります。自家製や味の良さを謳う多くの瓶詰では、それに加えてコリアンダー、クミン、キャラウェイ、オリーブオイルなども混ぜます。特にチュニジアはオリーブの世界一の生産地でもありますので(表向きはイタリアですが、イタリアで売っているオリーブの多くはチュニジア産です)、オリーブを混ぜて辛さをおさえ、まろやかさを出すのがチュニジア流。味は各家庭、料理店、販売元によって千差万別、変わらないのはとても辛いこと。ですが、市販品の種類によっては辛味のほかに若干の苦味もあり、また質のよい物は独特のコクがあったりもします。見た目は豆板醤、コチュジャンなどの他の辛味調味料と似ていますが、味は別物。
ツアーでも、個人旅行でフラッと入ったレストランでも、必ずテーブルにのぼるので(もちろんチューブや瓶ごとではなく皿に載せて)、長く滞在した方ならこのハリッサの味を恋しく思う方も多いはず。