2019年12月6日発の『ケニア・サファリ・ハイライト 10日間』に同行されたハネムーナーの平阪様ご夫妻からのレポートです。
海外旅行が趣味の友人のMさんに今までの旅先でどこが一番良かったか尋ねたところ、「ケニア!2回行ったけどまた行きたい!」と即答。その瞬間、ケニア行きが決まった。
Mさんから道祖神という旅行会社を教えてもらった。アフリカを中心に様々なツアーを企画しており、どれも楽しそう。ケニア以外のツアーもいいんじゃないか、ケニア+ザンジバルビーチ(タンザニア)でゆっくりするのもいいんじゃないか、などと気の迷いも起きかけたが、Mさんのお勧めだったサファリツアーガッツリのコースに申し込むことにした。道祖神さんが自信をもって勧めるベストセラーのツアーらしいので間違いないだろう。
エミレーツ航空でドバイの空港へ。 エミレーツ航空のフライトアテンダントは中東を意識したコスチュームだった。ヨーロッパとは違う、異国に行く感が出てきた。
ドバイ空港を離陸してから5時間、上空からケニアの大地を見たら、一面緑の陸地が広がっていた。初のアフリカ!ちょっと感動。空港内にある銀行で両替を頼んだところ、かなり細かくしてくれた。銀行のお姉さんありがとう。これは、最後まで支払いやチップを渡す際に助かった。
空港を出たところで他の参加者3名と道祖神の現地スタッフの方と合流。その後、ランクルに乗ったケニア人ドライバーのジョンさんが到着し、ホテルに向けて出発。最近雨が多く道路がぬかるむことがあるので、ランクルを用意したとのこと。ランクルに乗れるとはラッキーだ。
この日の宿はパナリホテルで、なかなか立派で快適なホテルだった。セキュリティもしっかりしていた。
雨の中時間通りにホテルを出発。ジョンさんは時間に正確だった。一つ目の国立公園であるアンボセリまでは車で4時間くらい。ケニア第二の都市で港町であるモンバサからナイロビを通り、タンザニアまで続いているという日本で言う国道1号を行く。ナイロビを出るとすぐに田舎となり、国道1号とは思えない片道1車線の道が延々と続いている。
道中、牛が放牧されているのを良く見たので、ジョンさんに尋ねたところ、マサイ族の牛とのこと。ケニアの牛は自然に生える草を食べて育つので、ビーフの方が(飼料で育てる)チキンより安いとのこと。日本ではビーフは高いので、チキンとポークをよく食べるという話をした。
この日の宿はオルトカイ・ロッジで、ここに2泊する。ロッジに着いたらまず昼食。ケニア料理というよりは、ヨーロッパ風の料理が多く、何でもイケる感じ。ときどきケニアの料理もあるが、それはそれで美味しい。牛肉は安いだけあって大味な感じの味付けが多かった。あまり出なかったが、豚肉の方が丁寧な味付けだった。
昼食後はサファリツアー。サファリカーは屋根が持ち上がるようになっており、屋根を上げると人が立っても頭が当たらないくらい高くなる。ジョンさんが上げるのを見て、2人ともテンションが上がった。
サファリカーには3mくらいの長いアンテナがついており、ケニアはラジオの電波が弱いのかと思っていたが、どうやら他のサファリカーのドライバーと動物の情報を無線でやりとりしているようで、ジョンさん何か情報をつかんだようだ。
少し飛ばして走った先には象の大群がいた。しかも、道路を横断しているところで、すぐ目の前を30頭くらいの群れが歩いていく。象の群れと言っても10頭以下で行動しているものだと思い込んでいたので、まさかこんな大群を見られるとは大感激。大人に混ざって小象も結構いた。みんなゆったり歩いているが、身体が大きいので歩いていても速い。あれよあれよという間に遠ざかっていった。
アンボセリ国立公園は象で有名なところらしいが、こうも上手く見えるとはついている。全体的に草食動物は結構どこにでもいて、行く前に想像していたよりも多かった。
ロッジに戻ってからは夕食。シェフが目の前でパスタを調理して出してくれるサービスがあり、麺だけで普段のパスタの量を食べ、更にビュッフェでいろいろ美味しそうなものを盛ってしまい、デザートも食べと食べすぎてしまった。
夜中、目が覚めるくらいの豪雨が降っていた。雨季が終わっていないのでこんな感じなのかと思う。サファリツアーに影響ないか心配だったが、夜明けごろには雨が止み一安心。この日は朝6時からサファリツアーがあり集合場所に行ったところ、キリマンジャロが見えるとジョンさんが教えてくれた。キリマンジャロはケニアとの国境近くにあり、このロッジからは良く見える。雲に覆われている日も多いようで、山頂までくっきり綺麗に見えたのはラッキーだった。
朝のサファリツアーに出発、すぐ異変に気付いた。昨日は道だったところが夜中の豪雨で冠水しており、道が全部池みたいになっている。道の両側は土が少し盛り上がっており、そこだけ水面に出ているので、土のガードレールの真ん中を走れば進めるようだ。ただ、かなり注意して走らなければならない。
少し行くと、巨大な池のようになっている水たまりの端、遠くにフラミンゴが見えた。この旅ではフラミンゴは見えないと思っていたのでラッキー。ここにはピンクの小フラミンゴと白い大フラミンゴがいた。
朝食後は夕方のサファリツアーまで昼食以外の予定がなかったが、ジョンさんの提案でマサイ族の村を訪問することになった。訪問の最初は村人たちのお出迎え。10名ほどの女性が横一列になって歓迎の唄を歌ってくれた。その後は男性陣が祈り?のジャンプ。なんと私たち2人も参加させてもらうことができた。跳んでいるうちに楽しくなり、跳びまくっていたら相手も喜んでくれて、マサイ族と一体感を感じながら跳びまくる。マサイ族の方がジャンプが高く、跳び方もキレイだった。気に入られたのか、マサイの人が持っている杖を渡された。
実際に住んでいる人の家の中にも案内してもらった。部屋の中は暗く、リビングが2m四方くらいか。天井はかがんで立つくらいの高さ。真ん中の囲炉裏的な場所で生木を焚いていたため、部屋の中は暑くて煙っぽかった。また、明かり取り兼排気口の窓が小さいため、室内はかなり薄暗かった。
建物探訪の後はマサイ族の火おこし実演。用意されたのは火起こし用の木の棒セットと乾燥したロバの糞。触ってみたら乾燥した細かい藁のようでサラサラだった。牛や羊の糞ではダメなのかと尋ねたとところ、ロバの糞だけだと言っていた。
火起こし体験の後はマサイマーケット。小さいレジャーシートくらいの敷物に手作りの雑貨を並べたフリーマーケット的な店が10軒ほど、それが向かい合うようにして計20軒ほど並んでおり、端から順に案内される。気に入ったのを指差すと案内役の人が手に取って次の店に進むというスタイル。
マサイ村到着から2時間くらいしてお別れ、お別れの前に最後のジャンプがあった。ここでも夢中で跳んだところ、左膝を軽く痛めてしまった。跳び疲れてしまったのもあり、脚が動かなかった。マサイ族の案内人にもっと練習が必要だなと言われてしまった。
16時、夕方のサファリツアーに向けて出発。夜中に降った大雨で、ロッジを出たところの湖のように巨大な水たまりが午前中より広がっていた。水が近いおかげで水鳥をいくつか見ることができた。キリマンジャロが上までくっきり見えており、キリマンジャロを背景に動物を撮ったりできてよかった。
この日は2つ目の国立公園、ナクル湖国立公園に向かう。ロッジを出てアンボセリ国立公園のゲートに到着。すると、手に数々のアクセサリーを持った女性や、お土産をもった男性が車を囲む。このとき男性から買ったのが手づくり感のある木彫りの象で、それがまた良さを出している。結局、マサイ族の人から買った、ほしくもないアクセサリーなどの方が帰ってから考えるといい買い物に感じてくる。
夕方頃にナクル湖国立公園の入口に到着。
ナクル湖では、木の上でリラックスして寝ているヒョウを観察。少し距離があったが、ヒョウを見られたのはラッキーとのこと。遠くのサイも見ることができた。暗くなる頃にこの日の宿のライオン・ヒル・ロッジに到着。ここのロッジは内装がオシャレだった。
この日はマサイマラ国立公園に向かう移動日。ナクル湖のロッジを出発。道の脇には大きい鹿のような動物がおり、ジョンさんがウォーターバックだと教えてくれた。なぜ名前にウォーターが付いているのか尋ねたところ、他の動物より身体の水分量が多いとのこと。なるほど、身体に水を蓄えることで干ばつなどに対応する生態なのかと想像する。しかし、ジョンさん曰く、ウォーターバックは水がないところでは生きていけず、干ばつ時には真っ先に死んでいくとのこと。ガゼルなどは2~3日水がなくても耐えられるけど、ウォーターバックは1日水がないと死んでしまうくらい水が重要らしい。あれ?思ってたのと違う。ウォーターバックの生態の生存戦略上のメリットが何かジョンさんに尋ねたが、上手く伝わらなかった。ただ、雑談の中で、ウォーターバックの肉は不味く、ライオンも食べないと言っていたので、ウォーターバックが生き残ってこられたのは、『肉が不味いから』だと自分では理解した。
車はナクル湖国立公園内を走る。と、エランドという牛くらい大きい鹿的な動物を発見。本来2本ある角が1本なくなっていた。かなり迫力ある大きさだが、ジョンさんによると、マサイ族がハントする動物はエランドのみとのこと。なぜエランドのみなのか、聞いておけばよかった。
森を抜け開けた土地に出ると、道の左右に草食動物の群れ、群れ。シマウマ、水牛、グランドガゼル、鳥、それだけでも興奮なのに、水牛の群れに混じってサイの夫婦と子ども1頭、計3頭もいた。シャッターチャンス、倍率を上げて撮りまくる。この旅行のためにカメラを買ってよかった。
これまで、ビッグファイブと呼ばれる、見ておきたい動物のうち、象、水牛、ヒョウ、サイを見ることができた。あとはライオンのみ。更にはチーターが見られれば言うことなし。ちなみに、そこら中にいて特段珍しくもない水牛だが、これが結構好きで、あの重厚で無骨なフォルムがザクのような実用性重視感があっていいと思う。
マサイマラ国立公園のゲート到着。マサイマラ国立公園に入ってすぐ、ジョンさんが車を止めた。国立公園内は未舗装路で、大きい凸凹を避けて走るだけでも注意が必要なのに、それをしながら動物を探しているので、本当にすごい。何がいるかと思いきや、チーター親子!まさかこんなにすぐチーターが見えるとは!母と子らしく、まだ幼い子どもがたくさんいた。木の裏に隠れたりして何頭いるか分からなかったが、よく数えたら子ども7頭!すごい子だくさん、元気に育ってくれよ。ここでは100枚近く写真を撮った。
マサイマラ国立公園は見渡す限りの草原が広がり雄大の一言。ここでのロッジはテント風ロッジで、これまでのロッジよりも一段豪華で、旅の終わりに向けて盛り上げていく道祖神さんのスタイル、やるなと思った。明日はロングドライブで割りとゆっくりできるのが助かる。夜中になると、周囲を動物の気配や鳴き声が包み込み中々迫力があった。
少し走ったところでライオンの群れが寝ているところに到着。オス1頭に雌2~3頭、子どもが5頭くらいいた。大人は寝ているだけだったが、子どもはじゃれ合ったりして可愛かった。子どもは猫より一回り大きいくらいのサイズ感で、遊んでいる様子はまるで猫だったが、身体の割りに手足がしっかりした大きさで、さすがライオンという感じだった。
昼休憩の場所はサバンナに生える1本の木の下。お昼はカリフラワーのサラダ、ライス、チキンのカレー煮で、どれも美味しく、ボリュームがあって大満足。ケニアのライスは細長くてパラパラで少し塩気がする。これはこれで美味しいので、別にジャポニカ米じゃなくても大丈夫だなと思った。
ランチの後はマラ川という川に向かって出発。マラ川ではクロコダイルが見られるとのこと。ライフルをかついだレンジャー的なお姉さんの説明を受けながら川沿いを歩くのが今回の見学ツアー。まず、スタートした橋から遠くに小ワニがいるのをお姉さんが発見。自分も視力には結構自信があるが、ジョンさんやお姉さんは目もいいし、見つけるのが早い。場所を教えてもらって発見。他の参加者4人に場所を説明。
ロッジの近くには小さい集落があり、飼われている牛の群れが道路にいた。ジョンさんにケニアでは牛の鳴き声はどう表現するか尋ねたところ、モウ~という感じの日本と似た鳴き声だった。犬や猫も同じ(ちなみに、ケニアでは犬は番犬、猫はネズミ捕りとして役割付きで飼われている)で、そこに国の違いは感じなかった。しかし、象やライオンは、パオーンやガオーなどではなく、リアル志向の表現で、さすがケニアと言う感じで面白かった。
ついにサファリ最終日がやってきた。サファリツアーに出発。朝食の時、レストランのお姉さんが、昨夜は雨がすごくて目が覚めたと言っていた。前はこんな土砂降りはなかったし、今は小雨季が終わる頃で、本来なら大した雨は降らないはずなのに、大雨季のような雨が降るので最近は気候がおかしくなっているとジョンさんが言っていた。
昼頃チーター5頭を観察。チーターが陸上最速というのは子どもの頃から聞いてきたが、じゃあアフリカで2番目に速い動物は何なのか疑問に思いジョンさんに尋ねたところ、トムソンガゼルという答え。故に、トムソンガゼルを狩れるのはチーターのみとのこと。なるほど。
チーターとは数十m離れていてあまりいいポジションではなかったが、常に道の近くにいるとは限らないので仕方がない。見れただけでも良かったと思って納得していたが、ジョンさんは別の考えがあったらしく、少し移動したところで停車した。と、遠くから先ほどのチーター5頭がこっちに向かって歩いてくる。どうやら、さっきは獲物を探していたようで、今は獲物に向かって歩いているようだ。
どんどん近づいてくる。これまで肉食獣を何回か見たが、どれも休憩中で、動く姿は見ていないのでそれだけで感動もの。歩いているが割とペースが速く、カメラで撮っているうちに目の前まで来ていた。チーター達は車の前後を歩いて通過、こっちには目もくれず数百m離れたところにいるトピに向かって歩き~小走りくらいの感じで近づいていく。これまで、チーターもライオンも同じ肉食獣という認識だったが、ライオンは近くで見ると蚤みたいな虫がそこら中についていたのに対し、チーターはしなやかで身体も美しく、チーターいいなという感想に変わった。
数百m離れた場所からカメラの望遠機能で撮影しながら観察。チーターが数十mまで近づいてもトピは気づいておらず座っていたが、チーター1頭が仕掛けた音で気づいたのか、トピもダッシュで逃げに入る。しかし、加速しているチーターが追いつき、トピの尻にくらいつく。トピも必死に逃げようとしていたが、追ってきた2頭目が襲いかかって上手く仕留めた。遠くから見ても迫力は十分。まさか、この旅でチーターのハンティングを見られるとは思っておらず、それを動画で撮影できたので超ラッキーだった。
これで旅がいよいよ終わると思うと寂しくなる。奥さんと、また来たいなという話をしていた。雨季の青々とした草原もきれいで良かったが、乾季のサバンナやヌーの群れなども気になるところ。
ナイロビに向かってひた走る。行きで見た景色が通り過ぎていく。道端で焼きトウモロコシを売っている人が結構いた。しょう油を塗って焼いた美味しさをケニアの人にも知ってもらいたいと思った。
ナイロビ空港に行く前に土産物屋に寄ってくれるとのこと。お店は品数豊富&最初から値札ありで普通に買い物できる。マサイ族から買ったお土産の方が、クオリティは低くても味があってよかったりする。マサイマーケットで買ったビーズでできた水牛の人形は、思っていたより大分安いことをこの店で知った。ただ、マサイマーケットの水牛の方が、店のよりデザインが良かったので、それもよしとする。買いたい物がたくさんあったので、後ろ髪を引かれつつ退店。
ナイロビ空港から行きと同じエミレーツ航空の飛行機でケニアを飛び立った。
ドバイ空港では久しぶりに日本人を見て日本語が聞こえてきた。日本語を話しているのを見ると少しほっとするが、旅の終わりも感じた。復路は往路より搭乗時間が短いので、寝たりしていたらいつの間にか着いていたと言う感じだった。日本に無事に帰ってこれたので良かった。非常に楽しいケニア旅となった。
事前に思っていた以上に旅の間楽しく過ごすことができた。ケニアに行くまでは不安もあったが、旅の中で出会う現地の人々(運転手のジョンさん、ホテルのスタッフやマサイ族の人など)もフレンドリーで親切な人が多く、私たちも楽しい気分になれた。
今回は異常気象のために大雨に降られてしまったことが想定外で、そのために通常のサファリができなかったりトラブルが発生する場面も多々あったが、雨でサファリが水没しているおかげで見れた美しい光景もあった。またトラブルに見舞われたときも現地の人々同士で助け合い、ポジティブに対応している姿があったので、それも良い意味で印象的な記憶になっている。
帰国した直後にもかかわらず、またサファリに行きたいなと思っている自分がいる。次は行く時期を変えたら違う動物が見られるかもしれないし、野生動物に出会えたときのうれしさは毎回違うものになるだろう。そんなことを考えている。