風まかせ旅まかせ Vol.27 ダーウィンをたずねて

世界各地で内紛やテロが常習化し、ほぼ毎日のように新聞やテレビのニュースで取り上げられている。当然というべきか、海外旅行者数が減り、海外旅行に興味を持たない若者も増えているようだ。業界紙も紙面の半分以上を国内旅行や訪日旅行に割き、同業のヨーロッパ専門店がいつの間にか国内旅行を始めていたりもする。
さて、弊社のようなアフリカやバイクツアー専門店は、どうしたものか。訪日アフリカ人の旅行手配をすることになるのか。外国人ライダーの北海道ツーリングか?! ここ数年、この難問と格闘しているわけだが、わかっていることはただ一つ。時代とともに、変化していくことが必要だということだ。
15年ほど前、貯まったマイレージを使ってイギリスへ2泊4日の小旅行に出かけた。主目的は、チャールズ・ダーウィンが家族とともに40年を過ごしたダウンハウスを訪れることだ。ロンドンで1泊し、翌日は列車とバスで約1時間の郊外へ。バス停から徒歩20分ほどだろうか、住宅地を抜け樹々の多い緩やかな丘陵地帯の森の中に、ダウンハウスはあった。小さな博物館で、他に来館者はいない。女性の解説員が、研究室などを中心に案内してくれる。顕微鏡や様々な標本類、机には当時の手紙やペン、インクなどもそのまま残されている。1階の研究室からは広い芝生の庭が見渡せる。この静かな環境の中で、彼はあの偉業を成し遂げたのだ。
ダーウィンは1831年から1836年まで、5年をかけてビーグル号で地球を一周している。大学を出たばかりのわずか22歳。この航海の23年後、『種の起源』を発行し、進化論とともに一大論争に発展したのは周知のとおりだ。
若きダーウィンを乗せ、ビーグル号が航海した世界の海、大陸、島の数々、カーボヴェルデ、フェゴ、ガラパゴス、セントヘレナなど。少年の頃に読んだ『ビーグル号航海記』は、今思うと、将来自分が旅する目的地への指針でもあったかも知れない。あの頃のワクワクする気持ちは変わっていないが…。
『最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない、唯一生き延びるのは変化できる者だ』  チャールズ・ダーウィン
今もダーウィンから学び続けている。
写真 : ダーウィンがビーグル号の航海の後に住んだダウンハウス

道祖神

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