風まかせ旅まかせ Vol.6 これからも“旅ごころ”を大切に

本号から、誌面を大幅にリニューアルいたしました。
リニューアルにあたり、是非とも“旅ごころ”のわかる作家に、寄稿してもらいたいと考えていました。自分の気持ちの中に何人かの候補者がいたのですが、その筆頭が沢木耕太郎さんでした。幸い沢木さんを良く知る友人がおり、その友人を介して沢木さんに原稿の依頼をすると、快く引き受けていただくことができました。
私自身、沢木さんの本との出会いは30年以上前になります。二十歳前後の頃、「敗れざる者たち」「人の砂漠」それから続く、代表的なノンフィクション作品の一つ「テロルの決算」を読んだときには、自分は生涯この作家の本を読み続けよう…と、人生のささやかな楽しみを見つけた思いでした。その後ベストセラー「深夜特急」へと続きます。実は沢木さんが“深夜特急”を発表した当時、出版社のパーティで立ち話をしたことがあります。私自身も沢木さんより少し後に、逆コースではありますがほぼ同じコースで、同じような期間、ユーラシア大陸を旅した経験があり、文中に出てくる安宿に泊まった話など、大変楽しい時間でした。
その後、写真集「天涯」や「凍」「旅する力」など最近の作品に続きます。何年か前に出されたノンフィクション全集も持っていますので、おそらく代表的な沢木作品の、ほとんどを読んでいるのではないか、と自負しています。
その沢木さんに、本誌のために書いていただきました。感無量です。
人との出会い、縁の不思議を感じます。2011年も、道祖神はアフリカニュースの発信、より魅力的な旅の提案をしてまいります。
これからも応援よろしくお願いいたします。

1977年 イスタンブールにて

道祖神

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道祖神