椎名 誠/1991年3月/山と渓谷社
先日、ナイロビにある日本人学校で、古本市があり、思わず手に取った一冊。
発刊は1991年だが、旅自体はさらに2年前なので、およそ26年前のケニア、タンザニアの旅の記録。
とは言え、中身はビール、ビール、ビールと飲んでばかりの、いつものシーナ節の旅行記。泣き笑いしながら読んでいるうちに、あっという間にサクサク読み終えてしまう。
高校生の頃にも読んだのを思い出したけれど、あの頃は「ア、アフリカ!なんという凄まじい旅行記だ!」と目を血走らせながら、何かと対峙するように読んでいたような記憶があったのが、15年も経って読み返すと、何とものほほんとした内容で、こっちもビール片手にゲラゲラ笑いながら、寝っ転がって読むのが正しいスタイルのような気がする。
改めて読み返すと、なかなか面白い再発見も多くあり、「マサイマラで宿泊している宿がCotters Campから、Mara Sopaへの連泊とは、渋いチョイスだ。」とか、「おお、ナイロビでは680ホテルに泊まっていたのか。」
「キリマンジャロ登山はマラングルートで、おや、シーナさんはギルマンズポイントまでだったのか…。」
などの、ローカルな視点での楽しみもあった。
しかし、26年も前のナイロビの人々の様子が、現在と殆ど変わらないのがおかしいやら、嬉しいやら。
アフリカの旅行記の傑作というと、ハードな環境に身を投じていく事に重きが置かれ、だんだん著者自身の精神的な独白に、こちらも真剣に向き合って、まさに対峙するように読まざるをえないものが多い気がするけれど、個人的には肩の力を抜いて一緒にのほほんと旅行をしているような気分になれる本作のようなものが好きです。あー、笑った。
ナイロビ駐在所・生野