ナイロビは音楽に溢れた街。
毎夜にぎわうナイトクラブ、
大きなレストランや酒場ではバンドの生演奏がつきもの、
マタトゥ(乗合バス)の中、日用品を買うスーパーの中、
果ては銀行の中まで音楽のない空間はない。
街を歩けば何かしら音楽の溢れる愉快なナイロビ生活を
満喫している今日この頃です。

アフリカ・ポップス

ナイロビの街で生活していると、否が応でも様々な音楽が耳に飛び込んでくる。最も耳にする機会が多いのは、東西アフリカ各国のポップスだ。近年大流行のガーナのダンスミュージック「アゾント」や、ナイジェリアン・ヒップホップ、ちょっと年齢層が高めの酒場に行くと流れるのは、キンシャサ発コンゴのリンガラ・ポップス。なかでも、ナイロビの人々の心を掴んでいるのは、隣国タンザニアのスワヒリポップス、通称「BONGO FLAVA」。それぞれに特徴があり、コンゴのリンガラ・ポップス(現地ではルンバと呼ばれる)は、歴史が古く1950年代からある音楽。美しいコーラスに聴き入っていると、突如みんなが躍り出すダンスパートが入り、それが交互に繰り返される。まさに酒場で過ごしながら体感するのにぴったり。

明るい外見だが歌う内容はシリアスなBONGO FLAVA

隣国タンザニアのポップス「BONGO FLAVA」は、一聴して欧米のヒップホップ・ラップに影響を受けているのがわかる。ダルエスサラームが発祥の地とされ、歌詞は殆どが東アフリカの共通語であるスワヒリ語のラップで歌われているが、よく聞きこんでいくと後ろに流れる音楽には、伝統音楽であるターラブや太鼓(ンゴマ)のリズムが血肉となって生きている。また特徴として、歌われる内容が欧米のヒップホップと少し異なり、単純なラブソングや享楽的な内容の歌詞はあまり見かけない。明るくノリの良い音楽に合わせて、タンザニアの貧困の問題や政治家の汚職、マラリアやHIVの予防など、社会的、経済的な問題に対する批評性をテーマとした歌詞が歌われる。そこには、人々が楽しむポピュラー・ミュージックがEdutainment(娯楽でありながら教育としての機能を持つ)として完成している。ちなみに、「BONGO」という言葉は、スワヒリ語で「脳」を意味する「NBONGO」という単語から来ている。
ここケニアのポップスも明るく楽しいものは多いが、私達のような外国人の目から見ると、欧米のヒットチャートの焼き直しみたいなものが多く、残念ながら隣国のタンザニアン・ポップスが持つメッセージ性に比べると少し物足りない気がしてしまう。

REGGAE MUSIC (レゲエ・ミュージック)

各国のアフリカ・ポップスと同じくらいナイロビの音楽ライフを席巻しているのはジャマイカの「REGGAE MUSIC」だ。ラジオを適当に廻せば、必ずと言っていいほど、REGGAEを流す番組にあたり、街かどのCD、カセット屋には古典から最新までズラリとREGGAEが並ぶ。
遠い外国の音楽ではあるはずなのだが、ナイロビでは老いも若きもREGGAE一直線。首都キングストンとナイロビの街が似ているのだろうか、人々はREGGAEの中で歌われる日々の生活、社会の問題など、メッセージを自分の事として受け止め、REGGAEを自分たちのものとして消化しているように見える。

週末の街かどでは、REGGAE BANDが演奏する

ライブ!

ナイロビで音楽を楽しむ醍醐味は何と言っても生ライブだ。前述した各国のアフリカ・ポップスやジャマイカからREGGAEのミュージシャンが来訪する機会も多く、さすが東アフリカの玄関口だけあって、なかなかの大物が来ることも多い。素晴らしいのは観客たちの楽しみっぷりだ。そこはさすがアフリカ、観客のノリが違う。皆で歌って踊って大熱狂。演奏する側も、その熱気に呼応して、どんな規模の会場でも一体となった迫力のステージが体感できる。ナイロビに滞在する機会のある方がいたら、ぜひ一度はどんな規模のライブでもいいから体験してみることをお奨めしたい。

大物の来訪も多い。セネガルの国民的歌手バーバ・マール

生ライブこそ、ナイロビで音楽を楽しむ醍醐味

最後に、今回は触れることができなかったが、ケニアには50以上もの民族が持つ素晴らしい「伝統音楽」の世界がある。その音楽世界はとても深く、個人的にまだまだ勉強中だが、いつかまたこの場をお借りして、紹介する機会を設けられたらと思う。
生野

道祖神

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道祖神