本誌が発行される5月中旬のケニアは、雨季の真っただ中。サファリでは、まさに恵みの雨だが、ナイロビの街では…。今回は雨季のケニアについて書きたいと思う。

雨季のサファリ

ケニアの雨季は、4月から6月とされている。ここ数年は異常気象の影響か、雨があまり降らなかったり、雨季がずれ込んだりすることも多々あるが、雨季のサファリは大地が一面緑に染まる。茶色のサバンナもいいが、個人的な好みとしては、緑の大地のほうが美しく感じられる。サファリに来ていても、ケニアの紅茶を飲みながらゆっくり景色を堪能するのが楽しみになったりする。
乾季に比べて砂埃が少なく、パソコンやカメラなど精密機器の心配も減る。晴れ間があれば、乾季に比べて遠くまでくっきり見渡すことができ、キリマンジャロも雨季のほうが美しく見える。

こんな場所でのんびりと緑の大地を眺めるのも悪くない

道は多少ぬかるむが、雨季の雨は早朝と夜に降ることがほとんどなので、サファリの時間帯に雨に降られることは少ない。なにより、サファリカーが集中しないのが嬉しい。乾季のハイシーズン中のサファリでは、ライオンやヒョウを見るために渋滞することもあるが、雨季にはそれほど車が集まることはまずない。
せっかくケニアに行くんだから、いい時期を狙いたいというのも十二分に理解できるが、雨季には雨季のサファリの魅力がある。ローシーズンだから悪いということはない。
ナイロビ国立公園も緑に染まってきている

雨季のナイロビ

ナイロビで雨が降るとどうなるのか。まずは交通渋滞がとんでもないことになる。強い雨が集中的に降ることが多いため、長時間の雨にはならないが、道路は冠水し、川のようになってしまう。道路にある大きい穴や凹みが見えないため、車はスピードを出すことができなくなってしまう。オフィスから自宅までは10~15分ほどの距離だが、雨季の渋滞時の最長記録は驚きの3時間!歩いたほうがはるかに早い。
また、雨が降ると停電も多いように思う。どこかでショートしているのだろう。

ナイロビでは雨が降るとあっという間に冠水してしまう

では雨季に雨が降らないとどうなるかというと、水道が止まる。私の自宅は慢性的に水が止まるために地下水をくみ上げている会社から水を買うことになるのだが、水道局とグルになって、あそこのエリアの水を止めたから地下水を売りに行け…なんて商売をしているとの噂まである。
ケニアでは、消費電力の大半を水力発電に頼っているため、ダムの水が少なくなると電力不足にも陥る。地熱発電にも力を入れているが、こちらは日本企業が頑張ってくれている。先日、地熱発電所の修繕・改修工事を日本企業が行うとニュースになっていた。
雨が降れば大渋滞、雨が降らなければ水不足に電力不足と、天候に左右されることが多いナイロビだが、ダムをもう一つ造って排水路をきちんと整備すればいいのに、と素人が考えても現実的に難しいことが多いのだろう。
個人的に最近悩んでいるのは、砂埃を含んだ雨が降ることによって、雨が降る度に車が汚れることだ。せっかく洗車をしても毎晩のように雨が降るので、朝には汚くなってしまう。試しに日本のワックスも使ってみたが、あまり効果はないようだった。毎朝洗車するか、開き直って汚いままにするか、悩ましい問題だ。

道祖神

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