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小さな島国カーボベルデのラム酒

今日は休日ですので、ちょっと長めのお話を。

突然ですが、皆さんは「ラム」をいうお酒をご存知ですか?カリブ海を舞台にした海賊ものの映画などにも登場しますが、サトウキビを原料にした蒸留酒です。名産地として知られるカリブ海・中南米諸国以外に、モーリシャスやセイシェル、マダガスカルなどアフリカの国々でも作られており、つい先日ツアーを催行したカーボベルデでも同様です。
ラムにはインダストリアルとアグリコールという2種類の製法があります。インダストリアルは、サトウキビから砂糖を精製する際の副産物であるモラセス(廃糖蜜)を原料とし、一方のアグリコールはサトウキビの搾り汁から砂糖を精製せずに、搾り汁を直接原料として製造したもの。発酵させてできた醸造酒を蒸留してエタノールの濃度を高め、さらに熟成させる過程はいずれも同じ。
主目的を製糖に置いてその残滓を使った前者より、純粋にラム酒の製造を目的にした後者の方が味わいが良く、高級ですが、サトウキビは刈り取った瞬間から加水分解やバクテリア発酵が始まるので、必然的に栽培地の近くでないとこの製法は採用できず、サトウキビの収穫時期以外だと製造が行えません。カーボベルデのラムは、もちろんアグリコール、そして今では機械化したところも多くありますが、サトウキビを絞る際に牛を使って搾り機を回転させる、最古の「トラピチェ式(歯車を意味するトラピチョの訛り)」と呼ばれる方法で搾った搾り汁を使って作られています。
カーボベルデの地元の方々は「パンチ」と呼ばれる、フルーツジュース割りや、フルーツ漬けラム(ちょうど梅酒のような感じで作ります)、もしくは熟成前の無色透明なホワイトラムと呼ばれるものを好みます。琥珀色やより深い茶色の液体にするためには、樽で熟成させる必要があります。その分高価になるので、熟成ものは輸出用が多くなります。
ラムの熟成には、フレンチオーク樽、シェリー樽、スコッチ樽、バーボン樽などがあり、各国の植民地だったカリブ・中南米諸国それぞれが、本国の酒の風味が加わってそれぞれ別の味わいを持っています。ハイチ、マルティニークなどはフランス(ブランデー樽等)、ドミニカ、キューバ、グアテマラ、パナマ、コロンビアなどはスペイン(シェリー樽等)、ジャマイカ、バルバドス、ガイアナなどはイギリス(スコッチ樽等)などなど。
カーボベルデは様々な国の支配を代わる代わる受けてきたため、色々な国の文化の名残があり、味わいは本場カリブにも引けをとりません。行かれた際には、是非ローカルのラム酒(カーボベルデでは古風にグロッグと呼びます)をご賞味ください!

東京本社 羽鳥
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道祖神