何年か前に、とある雑誌の企画で「人に勧めたい本」があり、誰が紹介したかは忘れてしまいましましたが、「ルワンダ中央銀行総裁日記」が載っていました。
それから月日が流れて、道祖神に入社し、社内のコレクションにこの本がありました。
著者の服部正也氏は、日銀、IMF(国際通貨基金)などを経て、1965年より6年間ルワンダのキガリに赴き、ルワンダ中央銀行総裁として勤務した際に体験した内容を本にしています。
当時のルワンダが非常に貧しく、中央銀行内も銀行業務を知らない行員も多く非常に苦労したようですが、次第に銀行の内情、ルワンダ経済を把握していき、通貨の切り下げなどの諸改革を実施していきます。
服部氏は着任時に、ルワンダ人に税が重く、外国人に税が軽いという印象を大統領との夜の会談で、経済改革で意気投合をして、いろいろな困難に立ち向かって経済改革を実施していきます。
経済改革の一環で、首都と地方との交通事情の改善のためにルワンダバス公社を設立して、日本人の整備士を招聘したりしています。
最終的には、中央銀行総裁ポストをルワンダ人に引き渡して、ルワンダを離れます。
当時の服部氏の銀行での苦労、ルワンダなどの近隣国の状況、改革を抵抗する人々のことも手に取るように分かるのですが、一番の読みどころはルワンダの状況に絡めて、経済の初歩が分かるということです。冒頭の雑誌の企画の紹介者の紹介理由が、経済の初歩が分かるという理由からです。
by 虎