セーシェルは、アフリカ大陸から1,300kmほど離れ、モルディブ諸島とのほぼ中間のインド洋に浮かぶ115の島々からなる熱帯の島嶼国で、別名「インド洋の真珠」。115の島々のうち、首都ヴィクトリアのある最大の島マヘ島、世界遺産「ヴァレ・ド・メ自然保護区」のある2番目に大きなプララン島、鬱蒼と茂る森があるラディーグ島の3島が、観光客の主な訪問・滞在地です。
同じインド洋に浮かぶモーリシャス、レユニオン、コモロなどが火山の噴火によってできた火山島なのに対し、セーシェルを構成するのはプレートの作用でソマリアからインド亜大陸とともに分離した大地の一部で、他の島々とは地質が全く異なります。歴史の浅い島々ではないため、サンゴ礁も発達し、花崗岩が林立した特徴的なビーチもあります。
民族移動の歴史により、国民の先祖はアラブ系、インド系、アフリカ系、マレー系、ヨーロッパ(フランス)系、華人と多岐にわたり、さらに各民族集団同士の交流が広く進んだ、多様なクレオールから成り立っており、食をはじめ文化もまた然り。
「大リゾート地」というイメージのあるセーシェルですが、美しいサンゴ礁の海以外の自然や、文化面も面白く、大陸からかなり離れてはいますが、旅程的には大陸のいくつかの国、特にケニアと組み合わせやすく、ハネムーン等でサファリ+ビーチリゾートを楽しむには最適です。逆にビーチリゾートのみに的を絞らず、自然・文化面に目を向ければ、一国でも充分楽しめる旅ができます。
私のおすすめは、4月~9月末のバード島。マヘ島の北約100㎞に位置する島ですので、空路1時間程度かかりますが、周囲6㎢の小さな島にはロッジが一軒あるだけで、滞在はのんびり。ウミガメの泳ぐ穏やかな美しい海や、北から営巣&繁殖にやってくる推定300万羽(!)のセグロアジサシやその他の鳥観察が楽しめます。実はこの島でロッジのゲストより、住人(ほぼすべてがロッジのスタッフですが)より大切にされているのが、アルダブラ・ゾウガメの「エスメラルダ」(オスなのに女性名を持つ、推定200歳以上の長寿カメ)。人々に見守られて、気ままにのんびり、自由に暮らしているのを見かけます。
観光立国ではありますが、「人間の豊かさ」を表す人間開発指数 (HDI) は、アフリカ最高の全国中51位(2005年度調べ)という国ですし、アフリカ本土と比較するとかなりノンビリしていますので、アフリカ諸国の中でも『癒し系の国』といえるでしょう。
「リゾートはちょっと・・・」という方、ユニークなクレオール文化と島の自然を楽しみに行ってみませんか?
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