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WILD AFRICA 28 ロッジの中でサファリを楽しむ

サファリの楽しみは、やはりゲームドライブにある。楽しいことこの上ないし、そのためにアフリカまで行くと言っても過言ではない。しかし、ゲームドライブは非常に能動的な行為であり、体力も消耗する。また、音のうるさい車に乗って相手に向かって行くため、それを許容してくれる動物や鳥にしか出会えないし、小型哺乳類や爬虫類、昆虫といった、ブッシュの小さな住人たちを観察・撮影するのはとても難しい。
そこで、時にはちょっと趣向を変え、相手からやってきてくれるのを心静かに待ってみてはどうだろう。アフリカ南部ではほとんどのサファリ・ロッジに、水場や川辺を見渡しながらくつろげるウッドデッキがある。風に吹かれながらうつらうつらしているうちに、辺りが静かになったのを見計らって色々な動物や鳥たちがやってくるに違いない。どうせ昼食後、夕方のゲームドライブまでは自由時間だ。部屋に戻って昼寝するのも悪くないが、壁に囲まれた室内では周囲の音や気配を感じられなくなってしまう。せっかくなら、サバンナの空気に包まれながら寛いだほうが、何かが見られる可能性もあって楽しいだろうというのが私の意見だ。
それに、ロッジの敷地内もサバンナの生態系の一部であることを忘れてはならない。植物が花をつけていれば極彩色のタイヨウチョウが蜜を吸いにきているかもしれない。身じろぎせずにいれば、トカゲがすぐそばまでやってくることもある。ただそこにいるだけで、アフリカの自然はその懐の深さを見せてくれる。一見何もいないように見える風景の中にも、常に多くの生き物たちが潜んでいる。それらは、“いない”のではなく、我々に見えていないだけなのだ。
写真はボツワナ、マシャトゥ動物保護区のロッジで撮影したスポッテッド・ブッシュ・スネーク。とてもスレンダーなヘビで、性格は大人しく無毒。主にトカゲなどを捕らえる。日中でもよく動き回るが、人気が多い時には姿を見せない。昼過ぎ、周囲からロッジのスタッフもお客さんもいなくなった時間帯、デッキチェアで横になっていたら現れた。のんびり過ごしている時でも、常にカメラを傍らに置いておくと、このようなチャンスをものにできる。
撮影データ:ニコンP900、1/250秒  f5  ISO125  -0.7EV
スポッテッド・ブッシュ・スネーク
英名:Spotted Bush Snake
学名:Philothamnus semivariegatus
写真・文  山形 豪さん

やまがた ごう 1974年、群馬県生まれ。幼少期から中学にかけて、グアテマラやブルキナファソ、トーゴなどで過ごす。高校卒業後、タンザニアで2年半を過ごし、野生動物写真を撮り始める。英イーストアングリア大学開発学部卒業後、帰国しフリーの写真家に。南部アフリカを頻繁に訪れ、大自然の姿を写真に収め続けている。www.goyamagata.com
道祖神

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