アフリカの山に登ろう! recommend 1 ケニア山

19歳でキリマンジャロ登頂以来、アフリカの山々を登ること100回以上!弊誌「ハットリ君の山ガイドPart1」で、「キリマンジャロへの道」をご紹介したハットリ君こと羽鳥健一が、Part2では、キリマンジャロに勝るとも劣らない魅力あふれるアフリカの山々をご紹介します。

アフリカの山の魅力を凝縮した第2の高峰ケニア山

初めての登頂はケニア山!

幼い頃から山歩きに親しみ、なぜか物心ついた時からアフリカに憧れていました。「いつかアフリカに行って、山を登ろう」というのは、私にとってはごく自然な発想だったようです。実現したのは1995年、大学でワンダーフォーゲル部に入部していた19歳の春でした。

20歳の頃のハットリ君

なぜキリマンジャロではなく、ケニア山だったのか?その理由のひとつは、植村直己さんの著書『青春を山に賭けて』に出会ってしまったからです。著書には1960年代に四等船室でアフリカに渡り、ケニアの若者にガイドを頼み、バッファローやヒョウが潜む森(実際今でも登山中に野生動物をよく目にします)を抜け、ケニア山の頂を極めた植村さんの話が綴られています。興味深かったのは、山にたどり着くまでの道中や、準備段階で出会った人々についての記述がとても多かったこと。単独登山にこだわった植村さんだからこそ、周囲で支えてくれた人々への感謝の思いが人一倍あったのかもしれません。「山の頂だけを目指すのではつまらない、山を含めた自然や人の暮らし全てを見るのでなければ山を歩く意味がない」と感じていた当時の私には、ケニアとケニア山がとても魅力的に映りました。ケニア山の見た目が尖っていて恰好が良かったことも、トライした理由かもしれません。
先が尖ったケニア山遠景

雨が創り出した雄大で神秘的な美しさ

植村さん同様、私もナイロビで偶然知り合い、友人となったケニア人(ラッキーなことに正規の資格を持った山岳ガイドでした)と2人でケニア山に向かいました。ナイロビから麓のナニュキまでは、当時あったプジョーと呼ばれる乗り合いタクシーで移動し、ナニュキのマーケットで食材を買い込み、別のガイドからテント、調理器具、登攀器具等を借りてお互いのザックに詰め込み、レンジャーの車をヒッチハイクしてゲートまでたどり着きました。今のツアーではここまで約半日で消化できますが、当時は何もかも自分で調達していたため丸2日かかりました。
今でも「超」のつく雨男の私らしく、肝心の初アフリカ登山は、山に滞在した6日間ずっと雨が降ったり止んだり。テクニカルクライミングで登っていく最高峰バチアンの垂壁登攀時は雪!という散々な天気でした。ところが、5,199mの頂に立った時だけは奇跡的に雲が晴れ、周囲を取り巻く針峰群全てを見下ろす絶景を堪能できました。

最高峰バチアン登攀のベースとなるオーストリアンハット

最高峰バチアンの垂壁

今思えば4月のケニアは雨季ですから、雨に降られたのは当然です。散々雨に苦しめられたのにおかしな話ですが、キリマンジャロにはないケニア山の魅力は、この雨と大いに関係しているのだと思います。氷河が削った雄大なU字谷の底を流れる無数の小さな川、神秘的な美しさを湛える氷河湖の数々、バッファローがうじゃうじゃいる豊かな樹林帯、様々な珍しい固有の植物と花、荒々しい峰々の眺め、そして氷河とその上に積もる雪…。それら全てが雨による大量の水の作用だからです。ケニア山にはアフリカの高峰ならではの魅力の全てが詰まっていると思います。
氷河が形成したケニア山第2のU字谷、ゴ-ジバレー

4,985m、レナナ峰を目指しませんか?

その後、キリマンジャロにも登り、縁あってケニアに移り住み、ケニア・マウンテン・クラブに所属して正規の山岳ガイドとなった後も、ケニア山には幾度となく足を運びました。私にとっては今でもケニア山が「アフリカで最高の山」であることに変わりはありません。
弊社の登山ツアーでは、ネームバリューのあるキリマンジャロが一番人気ですが、キリマンジャロに登頂した方々も含めて、ケニア山の素晴らしさを知っていただきたいという思いで、ツアーを企画し続けています。一般的な登山では、4,985mのレナナ峰が最高到達点となりますが、現行ツアーのコースは私が自信を持っておすすめできる横断コースです。ちなみに、初めて登ったときに同行してくれたケニア人の友人(当時は若者でしたが、今ではお互いにおっさんです)は、今ではケニア山No.1の山岳ガイドとなり、弊社ツアーでもお客様を案内してくれています。
羽鳥

道祖神

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道祖神