アフリカ絵日記その5 国境を越えて考えたこと

アフリカ絵日記その5 国境を越えて考えたこと

国境を越えてもほとんど何も変わらないこともあれば、ガラッと文化が変わることもあります。今回はそんな話。自転車の旅はブルキナファソからガーナへ入国しました。この辺りのティエベレやシルグといった小さな村では、土壁に幾何学模様が描かれた住居が点在し、なんともメルヘンチックなエリアです。
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しかし、今回の旅で衝撃的だったのは、フランス語圏から英語圏に入ったこと。ブルキナを出るときは「ボンボヤージュ」なのに、ガーナの入国審査では「ハロー」なのです。モロッコに入国してから約4カ月。ずっとフランス語圏だったので、英語がとても懐かしい気がしました。
さらに驚いたことがありました。町の露店で売られているパンが、フランスパンから食パンに変わっていたのです。モーリタニアからブルキナまで、毎朝おいしく食べていたフランスパンは国境を越えたとたんに姿を消し、代わりに四角い食パンがお店に並ぶようになりました。この瞬間、アフリカの歴史を感じました。
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少年の作ってくれた卵サンドを食べながらアフリカ大陸の地図を頭に思い浮かべ、「ああ、あのおいしいフランスパンはもう食べられないのか…」とちょっと寂しく感じた国境越えでした。
文・画 吉岡健一