前のレポートに引き続き、レユニオンのレポートが続きますが、最近レユニオンは弊社でも人気のある行き先の一つになってきました。こちらは一般の観光ツアーとは一味違う、ある意味スタディーツアーのような、酒造りと食文化を切り口に、クレオール文化を訪ね・学ぶツアーです。こちらのツアーでも、レユニオンとモーリシャスの2島を訪問しましたが、いずれの国でも素晴らしい味のラム酒とクレオール料理の数々に出会いました。
ラム酒はサトウキビを原料とした蒸留酒で、キューバ、ジャマイカ、バルバドスなどのカリブ海諸国が産地として有名で、国際的にも高く評価されていますが、サトウキビが栽培でき、蒸留技術があればどこでも作れるということから、南極を除くすべての大陸で作られ、世界中で4万を超える銘柄があると言われています。気候的にサトウキビ栽培に適した場所が多いアフリカ諸国も例外ではなく、各国で様々な銘柄のラム酒が造られていますが、味に関して言えば、一部を除きまだまだ国際的な評価を得るには至っていません。
その中で、国際的にも高い評価を得ているのがモーリシャス、レユニオン、マダガスカル等のインド洋諸国で作られているラム酒です。特に、銘柄が「Dzama(ザマ)」一つしかないマダガスカルはともかく、主な蒸留所だけでもが6カ所あるモーリシャス、4カ所あるレユニオンのものは、日本への輸入は限られているものの、特にヨーロッパで人気があります。
今回のツアーでは、レユニオンで最古(1845年創業)のイゾティエ蒸留所と、島に2カ所しかない製糖工場が併設されたサバンナ蒸留所の2カ所を、モーリシャスでは輸出開始が2000年代初めと後発ながら非常にクオリティーの高いお酒を作っている6カ所の蒸留所を訪問し、両島の砂糖、及び酒造りの歴史から製法までを学びました。
その合間にインド、アフリカ、フランス、アジアが混ざり合った西インド洋地域ならではのクレオール文化と、それが最もわかりやすい形で表れた特徴あるクレオール料理の数々を味わいました。レユニオンとモーリシャス、同じクレオール料理でも、ベースになった文化とそこに混ざり込んだ文化の配合?具合によって、現れ方は異なり、日本では決して味わうことのできない、しかも美味しいものばかりでした。
その他、世界最高峰の品質を誇るバニラ、『ブルボン・バニラ』の農園見学や、
ユニークな産品が揃うマルシェや、特徴的なネオ・コロニアル様式の建築物の見学、もちろん南インド洋ならではのリゾート(ごくごく軽くですが)もを楽しみました。
ツアーの案内役として、オーナーバーテンダーとして東京・銀座のBARのカウンターに立つ傍ら、日本におけるラムの「認知」「普及」「定着」を目指して設立された日本ラム協会の理事を務める中山篤志さんにご同行いただき、お酒造りに詳しくないご参加者の皆様への手ほどきから、料理に使われているスパイスやバニラについて、じっくりとご案内いただきました。
ある意味、少々マニアックな入り口からインド洋の島国を識っていただくツアーでしたが、両島であたたかい歓迎ともてなしをいただき、非常に充実した文化探訪ツアーとなりました。こういう切り口の大人の社会科見学ツアーがあっても良いのではないかと思います。特に酒造りは、年々新しい製法が生み出され、年によって出来栄えも変わってきます。一般的には3年程度が変化の一つの目安だそうですので、今後もチャンスがあればこのような内容のツアーを企画する予定です。お酒や料理にご興味のある皆様、どうぞご期待ください!
羽鳥