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2019.9.9発 密林の大河 コンゴ川の舟旅 24日間

コンゴ川、もしくはザイール川という単語は、アフリカ好きやアフリカを旅行した方には心に格別に響いてくる単語ではないでしょうか。かつては、この川にはオナトラ船と呼ばれるオナトラ社が運航する平底船がキンシャとキサンガニを行き来し、バックパッカーは数週間をかけてここを移動していたと聞きます。私自身は往時を知りませんが、アフリカを旅した一人として、コンゴ川は憧れの場所であり、一度は行ってみたい場所のひとつでした。
2019年のスペシャルツアーとして『密林の大河コンゴ川の舟旅24日間』を企画。幸運にもご参加者に恵まれ、添乗員として同行させていただくことができました。言うまでもなく、残念ながら写真と文章ではコンゴ川やコンゴ民主共和国という国の魅力を十分感じていただくのはとても難しいことですが、ツアーレポートとさせていただきます。

人々の“生活”を載せた巨大な平底船が昔と変わらず、行き交います

源流のチャンベジ川から河口まで4,700km、アフリカ大陸ではナイル川に次いで長いコンゴ川は、①源流からキサンガニ上流のスタンレーフォールズ、②キサンガニからキンシャサ、そして③キンシャサから河口までの大きく3つのパートに分けられます。①③には急流や滝が存在し、スタンレーをはじめとする探検家たちを大きく苦しめました。もちろん今でもこの区間は船の航行はできず、列車や道路を使うことになります。②のキサンガニからキンシャサまでの1,730kmは、流れが安定しており高低差は40m(所説あり)しかありません。そのため、船が容易に行き来できます。また、コンゴ民主共和国はそのほとんどを豊かな熱帯林に覆われているため、道路網の整備が追い付かず、コンゴ川のキサンガニとキンシャサ間は国の東西を結ぶ物資輸送の大動脈として、多くの船が行き交っています。今回のツアーではこのキサンガニ~キンシャサ間を専用舟で旅しました。その舟は、全長約18m、幅約3ⅿ。2つの船外機を装備しテーブルやイスはもちろん、キッチン、冷蔵庫、冷凍庫、発電機、(バケツ)シャワールーム、(便座なし)トイレが供えられます。そして、ガイドやコック、アシスタントなど、総勢9名のスタッフが旅をサポートしてくれます。
今回のツアーで使用した木造船

ガイド、コック、セキュリティなど、総勢9名のスタッフがサポート

すべてを飲み込むように、ゆったりと流れていくコンゴ川

食事は同行のコックが作ってくれます。コンゴ風トマト味がメインです。冷凍庫がありますので牛肉や豚肉のストックもありますが、コンゴ川で取れた新鮮な魚がやはり一番の御馳走です。ボトやマンガンザという鯉に似たような魚やナマズや肺魚をメインに、イモ(サツマイモかキャッサバ)のフライ、ナスやビテクテクというほうれん草のような葉を使った料理など、バラエティ溢れる美味しい食事がテーブルを彩ります。デザートにでるバナナやパイナップルは世界一!と言える美味しさ。もちろん、(やや)冷えたビールやコーラも積んでいます。
コンゴ川の新鮮な魚。ボトという鯉のような魚や肺魚が一番の美味!?

コックの趣向を凝らした料理。終盤にはコンゴ風ピザも作ってくれました

たまにローカルのイモムシも味見程度?にだしてくれました。味はなかなか…

大量のプリムス・ビールも積んでいます

宿泊はすべてキャンプです。夕方になると適度な大きさの村をみつけ、宿泊交渉。泊まる場所は決まっていませんので、どこのどんな村に泊まるかはその日次第です。テントは4人用をお一人で使えます。晴れた日は21時頃まではやや暑いですが、そこから徐々に気温が下がり、朝方には1枚かけるものが必要です。曇った日はかなり快適に眠れます。気になる蚊ですが、乾季ということもあったのか、いることはいますが、他のアフリカエリアを旅行するのとほぼ同様のケア(長袖長ズボンの着用と蚊よけスプレー)で十分でした。村滞在中は村人たちとの交流が楽しみ。釣り好きのかたは、釣りもできます。が、今回の釣果は想定外の、小物ばかりでした。。。天候に恵まれた日には、きれいな星空も楽しみました。
村の広場やサッカー場にテントを張らせていただきます

キャンプ地到着後は釣りも楽しみ。釣果は?

素朴な村からやや大きめの村まで様々

村人が魚を売りに来ることも

さて、出発日は台風15号の影響もあり飛行機に乗れないというトラブルからスタートした今回のツアー。キサンガニへ直接入る予定が、キンシャサへまず入国し、そこから国内線でキサンガニへ向かう日程に変更となりました。滅多に乗ることのできないコンゴ・エアウェイズでキサンガニへ2日遅れで到着となりました。
コンゴ・エアウェイズでキサンガニへ

キサンガニでは近郊のボヨマ滝で櫓のような足場を組む独特な伝統漁をいとなむワゲニアへ。この時期は水量が少ないため本格的な漁はやっていませんでしたが、デモンストレーションを拝見させていただきました。そして、いよいよ舟やクルーとご対面。出航となりました。
ワゲニアの伝統漁のデモンストレーション

コンゴ最大といわれるキサンガニのモスクと小学校にて

キサンガニのスタンレー像

これから16日間お世話になる木造船

コンゴ川の風景動画をお楽しみください

キサンガニからキンシャサまでの移動の間、観光地はありません。強いて言うならヤンガンベの植物研究所跡、リサラのモブツ邸廃墟、各地にあるパームオイル工場、ムバンダカの赤道碑ぐらいでしょうか。
ヤンガンベ。ベルギー植民地時代から大規模な植物研究所があり、その集落の一部

コンゴでは炭が調理には欠かせません。伐採も多いためアカシアを植林しているそうです

ロクトゥのパームオイル工場にて。日本人技師もいるようですが訪問時は不在

モブツ大統領の故郷リサラの高台にはコンゴ川を見渡せる立派な邸宅の廃墟が。今は学校です

ムバンダカのマーケットにて

スタンレーの赤道碑ですが、実際GPSでは2kmほどずれています

しかし、この旅の魅力はコンゴ川そのものであり、そこにある自然であり、そこに暮らす人々との出会いです。 例えば、今はオナトラ船自体は存在しませんが、似たようにたくさんの荷物を積んだ大迫力の平底船や荷物や人を満載した船と1日に1、2隻とすれ違います。手を振ってくれる人、カメラに怒ってどなる人、積み上げられた大量の荷物、そこで暮らすように過ごしている人々……何度すれ違っても飽きない光景です。
村に平底船が近づくとピローグが集まりだします

平底船は荷物や人はもちろん、まさに生活を運んでいます

こんな巨大な木造船も

こちらはロケレという水上生活を営む人々

こちらは森の巨木をキンシャサまで運び売るのだそう……

炭を運ぶ舟

キンシャサ近くになると川幅が狭く谷になります。風を利用するセーリングピローグも

じっと我々を見つめる地元の人々

笑顔でひとなっつこい子供たち

また、コンゴ川沿いには大小様々な村が点在し、我々の舟や平底船が近づくと小さなピローグを必死に漕ぎ、舟に近づきくっつくと、魚や野菜を売ってきたり、単純に楽に移動するためコバンザメのようにくっついてきます。村は素朴で笑顔で手を振ってくれたり、何かよこせとジェスチャーしたり、子供たちは手を振ってくれ、キャンプ地に到着すれば大騒ぎとなります。舟に乗っていても飽きることはない川沿いの村の風景も楽しみのひとつ。
ピローグを必死に漕いで、我々の舟に近づいてきます

このように舟にくっつくと……

魚を売りにきます。地元の方々には重要な現金収入となります

元気な村の子供たち

女の子もピローグを自在に操ります

こちらも手をいっぱい振り替えしたくなります

行き交うピローグからも手を振ってくれました

コンゴ川でのひとこま。動画をお楽しみください

コンゴ川を1,730㎞移動すると、景色も少しずつ変化します。
キサンガニ~ムバンダカは、両側に熱帯の森が広がり最も”コンゴ川らしい”風景といえるかもしれません。 ムバンダカ~チュンブリ間は、ウバンギ川と合流し、川幅が広くなり、海か巨大な湖を進んでいるような景色に。対岸のコンゴ共和国の景色も見られます。その後、チュンブリ~キサンガニ間は、急に川幅が狭くなり、緩やかなサバンナの丘が形成する谷になります。これまで川幅が広かった分、深さは最大で140mにもなるといいます。また、谷で風が強くなるため、このあたりのピローグは帆をはる、セーリングピローグを多くみかけました。その後、キンシャサ手前でスタンレープールとなり、広い湖のような景色が広がりました。
旅の序盤。太陽に西に傾く時間はゆったり佇みたくなります

雨が降った後にはきれいな虹も

怪しい雲は嵐がやってくる兆候、すぐさま避難が無難。

中洲が入り組み、狭い水路を進むことも

コンゴ川でも晴れれば意外ときれいな星空がみらえます。蛍もちらほら

空を映し出す鏡のように輝くコンゴ川

わかりにくいですが、ウバンギ川との合流地点

その後は、広い海のような景色に変わります

対岸はコンゴ共和国。そして、コンゴ共和国の平底船

チュンブリからは川幅が狭まり、サバンナの風景に

もうすぐキンシャサ。旅の終わりです

人、もの、生活、そのすべてを運ぶ大河コンゴ川は、私たちの生活から見ればまさに非日常の世界。この舟旅は、コンゴ川の日常を垣間見、体験し、圧倒的なスケールに包まれる日々です。観光地はありません、景色はあまり大きくは変わりません、特別やることはありません。でも、コンゴ川そのものや、そこに暮らす人々との交流など、毎日が刺激的です! 次回は2021年頃(?)に再度企画予定です。ご興味のある方はぜひお問い合わせください!

道祖神