長年温めてきた「クルーガー国立公園やその周辺の私営保護区以外を訪問し、南アフリカ1国だけで完結するサファリメインのツアーを企画したい」という企画者としての思いを、少し内容は異なってしまいましたが実現させたツアーとして、やっと今年実施することができました。サファリ・デスティネーションとして有名な他の国々とは異なる切り口も同時に求めていたため、南アフリカでは比較的出会いが期待できる、一般的なサファリでは出会えない種類の野生動物や鳥たちに出会うことをメインの目的とした結果、南アフリカのノーザンケープ州を横切って、この地域の国立公園・保護区を訪ね歩くという行程と内容が出来上がりました。ご参加いただいた方にとって特に印象に残るのは、やはり最初と最後に訪問した場所とそこでの出来事、出会った野生動物ということになるだろうことを想定し、ダイヤモンド鉱山の街キンバリーと、その近郊にあってナイトドライブで日中あまり見かけない夜行性の野生動物との高い確率での出会いが期待できるマリック私営保護区を皮切りに、旅の最後にはより多くの野生動物の種と生息数を誇り、サファリの目玉でもある大型ネコ科や他ではあまり見かけない種との出会いが期待できるカラハリ・トランスフロンティア公園で締めくくるという行程です。現地で案内してくれたガイドチームの尽力もあり、結果的にはさほど期待していなかった種の野生動物にも出会え、いつものサファリツアーとは異なる魅力を感じることができ、大成功といえる結果でツアーを終えることができたのではないかと思います。企画後最初のツアーということもあり、粗削りで細部はまだ手を加える余地はあるものの、逆に現場での修正が可能な余地を残しており、その“余白・遊び”の部分がより手作りの旅に近い感覚を味合わせてくれたようにも思います。
前置きが長くなりましたが、以降はツアー中に撮影した写真をご覧いただきながら、大まかな行程のご説明を添えて、添乗員レポートに代えさせていただきます。
ヨハネスブルグを玄関口に、陸の旅は南アフリカのダイヤモンド生産の中心地キンバリーからスタートします。せっかくの訪問ですので、有名な露天掘り鉱床跡ビッグ・ホールとダイヤモンド博物館を見学。ここを見学すると、後のオランダ系入植者とイギリス植民地との間の争いや、初期のダイヤモンド採掘の様子や歴史、南アフリカという国の成り立ちや経済の一端を知ることができ、期待した以上に有益な訪問でした。キンバリーの近郊にはネコ科動物の保護を目的とした施設「フェリダエ・センター」や、私営保護区内で乗馬やハンティングなどのアクティビティを提供しているマリック私営保護区があり、もちろんこれらも訪問。フェリダエ・センターではオオミミギツネとベルベットモンキーの餌付け体験ができましたが、ご参加者お二人がベルベットモンキーに噛まれるというアクシデントが発生(どんな菌やバクテリアを持っているかわからないため、ご帰国後長い間かかっての処置が必要になってしまったのは、企画者・添乗員としては大きな反省材料です)。最後に行ったマリック保護区のナイト・ゲームドライブでは夜行性のアードウルフ、ツチブタ、ヤマアラシを代表に、あまり見られない野生動物にも多く出会えたのは不幸中の幸いでした。
キンバリーとその周辺で観光と夜のサファリを楽しんだ後、西へ向かって出発。道の両側には広大なゲームランチが続き、大きな矛盾をはらんでいるようにも思えますが、ハンティングサファリビジネスのため、あるいは種の保全のために繁殖されている珍しいレイヨウ類をみながらモカラ国立公園に移動。このモカラ国立公園も、種の保全と繁殖を主な目的として2007年に設置された南アフリカで最も新しい国立公園です。規模はそこまで大きくありませんが、公園内の地形と植生は変化に富んでおり、日中のサファリに加えて公園のサファリカーでのガイドの案内でナイト・サファリも楽しみました。
モカラ滞在の後、さらに西へ。ヴァ―ル川、オレンジ川という南アフリカを代表する2つの大河の流域を走り、アピントンにて昼食後、オーグラビーズ・フォールズ国立公園へ。到着後、世界第6位の規模といわれるオーグラビーズ滝を見学。オーグラビーズ・フォールズ国立公園には2泊しましたが、峡谷の絶景や月面のような景観、谷間を飛び交うハヤブサたちや、上空を悠然と飛翔するコシジロイヌワシ、不安定な岩場の上を歩くクリップスプリンガー、キリン、ハートマン・ヤマシマウマなど、ここならではの野生動物や野鳥に出会いました。
オーグラビーズ滞在の後は、来た道をアピントンまで戻って一転北上。ガイドのリーベンベルグ氏が管理するカムスパネン私営保護区へ。この保護区には宿泊施設がないため、幹線道路沿いのロッジにチェックインと荷解きをしてから夕方~深夜にかけて訪問。カラハリ名物の赤い砂丘の上でのサンダウナーと夕食後、保護区内でランドクルーザーピックアップの荷台に乗り込んで非常に粗削りなナイト・ゲームドライブ。途中で大雨に降られはしましたが、アフリカコミミズク、リビアヤマネコ、カラカル(動きが早く、かつ暗いため写真には収められず・・・)などに遭遇しました。
その後は最後の訪問地、多くの野生動物たち、それも大物との出会いがある程度約束されたカラハリ・トランスフロンティア公園へ。弊社ではボツワナ側からアプローチするキャンプのツアーも企画していますが、そちらとは趣とスタイルを変え、南アフリカ側の国立公園のシャレ―に宿泊し、移動にも利用している一般的な四駆車を使っての日中のサファリと、オープンタイプの公園のサファリカーを使って公園のガイドの案内で行うナイト・ゲームドライブを行いました。ノソッブ、ビッターパン、ツーリバーと3か所の滞在地を順に訪問・滞在。目当てだったブラウン・ハイエナこそ出会えませんでしたが、多くのフクロウ&ワシタカ類、ライオン、チーター、そして複数個体のヒョウとの出会い等、最後の訪問地にふさわしい大収穫のサファリを楽しみ、アピントンから国内線でヨハネスブルグを経由、宿泊を挟み日本に帰国しました。
全体的なツアーの狙いとして、一般的なサファリではなかなか見ることのできない種の野生動物、特に夜行性のアードウルフ、ツチブタ、センザンコウ、ヤマアラシ、カラカルなどとの出会いを求めて企画したツアーでしたが、最高難易度のセンザンコウとの出会いこそなかったものの、その他の夜行性の動物はそれなりに見ることができましたし、そこまで重きを置いていなかった3種の大型ネコ科はたっぷりと見ることができ、加えて珍しい種も含めた多くのレイヨウ類、サイ、野鳥との出会いは予想外のものも多く、ご参加の皆様も大いに楽しんでいただけたのではないかと思います。企画者としては、サファリの内容、スタイル、各訪問地の景観・植生が非常に変化に富んでいたことに加え、ロッジのレストラン、ピクニック、街のレストラン、ガイドさんの手料理と、同じく変化に富んだ食事の内容とガイドのスタイルも、昔ながらの南アフリカ&ナミビアスタイルのサファリを久々に味わえた気がして、充実した内容になったと感じています。
日程や内容に若干のマイナーチェンジは加えますが、今後も年1~2本程度企画していきますので、ケニアやタンザニア、ボツワナとはちょっと違ったスタイルのサファリをしてみたいという方は、是非ご参加をご検討いただければと思います。
道祖神 羽鳥