アフリカ関連の書籍はかなり古いものから新しいものまでたくさん読みましたが、比較的最近のものでお気に入りの1冊をご紹介。
最近といっても出版は2002年で、「アフリカ21世紀~内戦・越境・隔離の果てに~」という少し重いタイトルですが、現地でインタビューを受けた人たちの言葉が非常に興味深かったです。
特にその中の「セネガル・マリ~越境するイスラム」という章は、西アフリカでのイスラムのありのままの姿が取材されていて面白い内容です。
西アフリカでイスラムが浸透した理由、アフリカの伝統と結びついたイスラム、それぞれの国のイスラムの独自のかたちなど。
マリとセネガルは、隣り合い、いずれもイスラム教徒が人口の90%を超えるといわれる国ですが、それぞれ信仰のかたちはかなり違います。
セネガルでは「マーム・バンバ」が開祖のムーリッド教団という独自のイスラムが広く信仰されているのですが、このストーリーを読むと今のセネガルの様子がなるほど、と納得できるでしょう。
余談ですが、私の好きなユッスー・ンドゥールの曲「マーム・バンバ」もまさにバンバのことが唄われています(彼ももちろんムーリッド信者です)。
そしてマリでも宗教的指導者であるマラブーや、語り部であるグリオたちの文化がイスラムと結びついて色濃く残っていますが、同時にをそれを守ろうとする人たちの葛藤についても触れています。
マリのジェンネでモスクに入って写真を撮ろうとする外国人観光客の行為に対する長老そして筆者の一文が印象に残りました。
’村長は言う。
「イスラムでない人がモスクに用事はないでしょう。ただ祈るための場所なんですから」
彼らが守りたいものと西洋が守りたいもの、そこに溝がある’
アフリカのことを勉強したい人にぜひ読んでいただきたい一冊です。
by KQ