1960年生まれのフランス生まれの女性クライマー。カトリーヌ・デスティヴェルさん。
「ロッククライミングの女王」と呼ばれ、若い頃からヨーロッパの山岳界をリードしてきました。
ヨーロッパの屋根アルプス山脈の中で、もっとも険しい4つの岩壁(アイガー、マッターホルン、グランドジョラスの各北壁とドリュウー西壁)を単独のフリークライミングで制覇した超一流の女性クライマーです。
さて、このカトリーヌさんですが、西アフリカのマリ共和国でも、非常におもしろいことを成し遂げています。
詳しくは動画をご覧いただきたいのですが、マリ共和国にあるバンディアガラの断崖をロープ無使わずフリークライミングで登攀しています。
バンディアガラ断崖とは、高低差500m、幅150kmに及び、仮面ダンスで有名なドゴンの人々が住む土地です。
その凄まじい自然環境とドゴン文化が保持されていることから、ユネスコの世界遺産にも登録されています。
現在も居住するドゴンの人々は約25万人、1300年頃に起こった周辺地域のイスラム化の波から逃れ、崖に移り住んできたと言われています。
以来、約700年間、この壮観な崖の中で独自の文化と暮らしを育んできました。動画の中でも、カトリーヌさんのクライミングの合間にドゴンの人々の暮らしぶり、マーケットの様子、仮面ダンスなどの映像が出てきますが、カトリーヌさんの登攀を心配そうに見守る村の皆さんの真剣な眼差しと、最後に彼女が登り切って、ドゴンの人々と一緒になって喜び、踊りを楽しむ様子などを見ていると、人情に溢れたマリの人々を思い出さずにはいられません。
現在は旅行の難しい状態が続いてしまっていますが、1日でも早くまたマリに平和が戻り、あの暖かな笑顔の人々に会いに行きたいものです。
by 生野