2日目、3日目も早朝から張り切ってトラ探しに出発。
私自身が前回このバンダウガルを訪問したのは2008年の5月だったのですが、その間いろいろとルール変更があり、前回行うことができたゾウに乗ってトラに近づくこと(エレファント・ショー)も、今回は1日貸切でなければならないらしく、その料金も非常に高く断念。
AからDまであるサファリのコースも限定され、1回に45台のサファリカーしか入園を許可されないという厳しいものになっていました。おかげでトラが増えている、と言えるのかもしれませんが。
以前より多少なりともやりずらくなったサファリに比べて、ロッジのタイガーズ・デンは、年々徐々にレベルアップしており、同じような内容のカレーだけだったものが、非常にバリエーション豊富になり(とはいえカレーはカレーなので、ちょっとつらい部分もあります)、スイートルームが増築され、プールができ、今回はアーユルベーダのスパまでできていました。
現場でころころ状況が変わることもあり、実際朝は5時45分から、夕方は15時45分からだったサファリの時間も、2日目のから15分早まった30分からのスタートに変更されたりもしました。
サファリは日を追うごとに収穫を増し、子連れの母トラ、公園ナンバー2のオストラ、4頭の親子連れが水を飲む光景などなど。私の隣のドライバーもかなり興奮気味で、カメラを貸すとゆうに50枚は撮っていたのが印象的でした。実は彼が一番喜んでいたのかもしれません。
私とは別の車に乗っていた方々は、ヒョウも目にしたそうです。ヒョウはトラよりも生息数が多いらしいのですが、アフリカの個体よりも、インドのものはさらに徹底した夜行性らしく、非常に見ることが難しい動物です。私の車の方も、同レベルに難しいナマケグマをあと数分の差で見逃したりもしました。
※上記4枚の写真は松本貴行様よりご提供頂きました。ありがとうございました。
トラは非常に厳しく自分のテリトリーを守っているため、気温が上がる時間帯にはテリトリー内の水場に必ず現れるようです。ですが、毎日微妙に時間帯は違うので、頼るはドライバーの勘と経験です。我々のドライバーも非常に優秀で勘の当たり外れは仕方ないものの、かなりの確率でトラを見せてくれました。
圧巻だったのはシカとサルのアラームコール(警戒の呼び掛け)がかすかに聞こえるのを聞きわけ、「15分だけ待ってくれ」と私たちに頼んだと思ったら、ほぼ15分後にトラが姿を現したことです。
初日はどうなる事かと不安だったものの、最終的には非常に大きな収穫のある、充実したサファリを終え、例年通りのインド国鉄「ゴンドワナ・エクスプレス」でデリーに戻ります。
列車は例年通りでしたが、お客様も思った以上に楽しみ、ゆっくりお休みになれたようです。2等エアコン寝台車で、ベッドシーツも配られます。さすがにインドらしい駅のホームの光景には唖然とされていた方もいらっしゃいましたが。
デリー到着後は駅近くのファーストフード店で朝食を済ませ、まだ暑さがピークに達していない午前中に市内観光に出発しました。
デリーでの見学先は、フマ―ユーン廟、クットゥブ・ミナール、ラージ・ガートの3か所。同じムガール帝国の王が作った有名な「タージ・マハール」のモデルになった、フマ―ユーン廟は変わらず美しかったです。
デリーの時間をかけると見所が多いのですが時間的には正味1日しかありませんので、この2か所の世界遺産と建国の父ガンジーにちなんだ場所がやはり定番です。15年前のインド貧乏旅行のきっかけが、映画「ガンジー」だった私には、ガンジーを火葬にした「ラージ・ガート」は何度行っても感動させてもらえる場所でした。厳粛さもなく記念写真を撮りまくるインド人家族には、ちょっと疑問でしたが。感じ方は違うのかもしれません。
観光後は、お土産屋さんに立ち寄り買い物。2年前にちょっと大きな買い物をした私を、売り子のおばさんはしっかり覚えていました。恐るべし、インド商人!
夜のフライトまでの短い間ですが、ホテルにチェックインして汗を流し、しばしのんびり。前回は8時間の遅れがあったインド航空ですが、今回は時間通りきっちりフライトし、時間より早く日本に到着。今回の移動手段は全てほぼスケジュール通り、安定していてスムーズに日程をこなすことができました。
ベストシーズンの3月~5月の3ヶ月間でピンポイントにトラを見に行くツアーですが、今回も最も暑い5月、サファリ自体は非常に収穫が多かったのですが、カレーばかりの食事と、お客様の健康管理には多少改善点があるような気がしました。その点に関してはインドは手強い国なので、仕方ないといえば仕方ないような気がするのですが。
この後、モンスーンが始まると、バンダウガルはクローズします。ドライバーが、「来年を寝て待つよ」と言っていましたが、来年の3月~5月まで、しばしトラとはお別れです。
羽鳥