2023.09.30発 ジャマイカ ラム蒸留所視察の旅 9日間

9月30日から10月8日まで、カリブ海の島国ジャマイカへ、サトウキビを原料として作られる「ラム酒」の蒸留所視察のために特別に企画された手配旅行に同行させていただきました。

こちらは一般的なツアーではなく、日本国内で「ラム酒」の輸入、卸売り、お客様への直接販売(バーなどの飲食店で)に携わる有志の皆さんがご参加者のメインで、担当させていただいた私の、古くからの友人でもある東京銀座でラム酒を専門に扱っているバーのマスター(兼、輸入代理業者)からご依頼をいただき、業界から有志を募って実施された手配旅行です。行き先はアフリカではありませんし、目的もある特定の業界の方々をご案内する視察ツアーと、普段の弊社の業務とはかなりかけ離れたものですが、弊社では各スタッフの個人的な趣味や知識、スキルを活かし、一般的な募集型企画旅行ではありませんが、アフリカ以外の地域へのこういった特殊な内容のツアーの手配や添乗業務も行っています。

カリブ海といえばアメリカ経由が一般的ですが、添乗員予定の私がスーダン、イラク、イラン、イエメン、シリアといった国々への渡航歴があるためアメリカ入国のためのESTAを取得できず、かつビザを取得する時間的余裕もなかったため、添乗員としての日本からの同行ではなく、カナダ経由の別ルートでジャマイカに先行、復路は後発して、現地滞在中同行させていただく現地係員的な役割で同行させていただきました。

アフリカ系黒人が人口の90%を超えるジャマイカですので、空港も何となくアフリカっぽい、英語圏のナイジェリアやケニアのような雰囲気があります。
島の北西部のリゾート、モンテゴベイが前半のベースとなります。カリブ海の夕陽。
最初の訪問地は砂糖工場として開業したのが1753年という、歴史あるハムデン蒸留所。
ウェルカムドリンクと呼ぶには強すぎるぐらいたっぷりラム酒の入ったカクテルでお出迎えされ、見学へ。歴史的にも価値があるだろう古い建屋の中で酒造りが行われていました。
一見して古さがわかる使い込まれた蒸留器。屋根だけの屋外に出されているのはなかなか見ません。
醸造したいわゆるモロミに熱を加えて蒸留するポットスチル。ただでさえ暑いジャマイカの気候の中、凄まじい熱を発して酒造りが進んでいきます。
蒸留後にできたラム酒はホワイトオークのバーボン樽に詰められて、倉庫で熟成されます。
次の訪問は1749年にラム酒づくりを始めた、ジャマイカで最も資本力のあるアップルトン蒸留所。
ビジターセンターも素晴らしく整備され、バーも完備。様々なボトルを試飲でき、その場で購入できます。
ファン垂涎の、年代物のラムが蒸留所の歴史を語る資料として展示されています。
蒸留酒業界で、女性としては世界初のマスターブレンダー(様々な原酒をブレンドして味わいを調整する、ブレンド作業の責任者=メーカーの味づくりの要)となった、業界ではウサイン・ボルト並みに知名度のある有名人のジョイ・スペンス女史のポートレート。
そのスペンス女史直々に「アップルトン・ラム」の歴史や製造過程についてのセミナーと、ブレンドテストを開催していただきました。
4種類の異なる原酒をブレンドして、ある指定されたイメージの味に近づけるブレンディング作業。センスと味覚&嗅覚の鋭さが問われます。
続いて蒸留所見学。ラム酒がサトウキビから砂糖を精製した際に出る廃糖蜜を原料に作られるのを知っている方は多くないかもしれません。
蒸留所の心臓ともいえる銅製の蒸留器。
できたラム酒はそのまま熟成させずにボトルに詰められるものと、樽詰めして熟成させるものとに分けて販売・保管されます。熟成過程では、たまに開けて一口飲み、状態を確認します。
見学後は付属のレストランでローカル料理のジャークチキンとライス&ピーズをいただきました。
モンテゴベイから島の南東に位置する首都キングストン方面へ移動。途中、港町のオチョ・リオスに寄ってシーフードのランチをいただきました。
3軒目の蒸留所訪問は、製造開始が1741年というジャマイカのラム蒸留所で最も歴史あるワーシ―パーク蒸留所。
美しい雨上がりのサトウキビ畑。ワーシ―パークでは、サトウキビの生産から、刈込み、圧搾、砂糖の精製、廃糖蜜を利用したラム酒の製造、樽詰め、ボトリング、出荷と、全ての行程を自社の農園と工場で行っています。
アポイントありの訪問者限定で行われる蒸留所ツアーへ。
まだ銅の色が真新しい蒸留器。1962年に製造がストップされ、2005年に体制を整えてから再開されたため、蒸留所内の設備は全体的に新しめ。
完成したラムを詰めておくアルミ製のタンク。もちろん火気厳禁です。
同蒸留所を代表するラム、「ラム・バー・オーバープルーフ・ホワイト・ラム」アルコール度数63%!
熟成庫にうずたかく積まれた樽。
蒸留所見学後は、ビジターセンターでプレゼンテーションと試飲会です。
歴史から製造過程、製品の特長までじっくり説明していただきます。
試飲用にずらりと並んだシングルカスク(ブレンドをしていない、樽から直で抽出された)熟成ラム。蒸留年、アルコール度数もそれぞれ異なります。
樽の購入を希望する輸入業者やバーのオーナーのお客様は試飲も本気です。無事にそれぞれが購入する樽が決まったようです。
最後の蒸留所の訪問を終え、首都のキングストン到着。ここでは近代的な大型ホテルに宿泊。
滞在中は夕方になると雲行きが怪しくなり、スコールが降ることもありました。
滞在最終日は唯一観光にあてる日となりました。まずはコーヒーの産地として有名なブルー・マウンテンへ。
UCC上島珈琲の『UCCブルーマウンテンコーヒー・クレイトンエステート』、農園開設は1981年。ジャマイカ総督となったイギリスのクレイトン卿が1805年に別邸として建てた豪邸を買い取り事務所としています。建物自体もジャマイカの重要文化財です。
歴史の重みを感じさせる入り口ドア。
重厚な英国スタイルのダイニング。
棚には様々な書籍類とジャマイカ政府からの感謝状が飾られています。
創業者、上島忠雄翁直筆の格言額「忍耐、努力、感謝」。今も変わらない古き良き日本の実業家の風格が漂うようです。
急な斜面を登って、農園にも足を運びました。
よく実ったコーヒーベリーを拝見した後、挽きたての美味しいブルーマウンテン・コーヒーをいただきました。
コーヒーをいただきながら、収穫から口に入るまでのプロセスをレクチャーしていただきました。コーヒー、カカオ、砂糖(⇒ラム酒)は、ともに植民地産業として始まり現在へと続いているため、ラム酒に携わる業界の方にも新鮮だったようです。
苦労の末にジャマイカに初の直営農園を開設した創業者上島忠雄翁の銅像。偉大な昭和の実業家です。
次は山を下って街中にあるボブ・マーリー博物館へ。
キングストンのみならず、ジャマイカを代表する観光地として、常に訪問者で賑わっています。
かつてボブと彼の家族が暮らし、バンドメンバーや支持者、友人たちが集まった邸宅。中にはスタジオもあります。
彼が生涯信仰し続けたエチオピア皇帝ハイレセラシエと彼、彼の息子たちの肖像。
最後にイギリス植民地時代を偲ばせる、旧首都のポートロイヤルに残るチャールズ要塞を訪問。
度々海賊やスペインから攻められたため、大砲で武装して湾内への守りを固めていたようです。
いかにも南国の島らしい雲が昇ったキングストン港とキングストンの街。

ラム酒の蒸留所視察を目的としたツアーは、過去2010年にインド洋のモーリシャスとフランス海外県の島レユニオンを訪問先として行いましたが、今回のジャマイカはその第2弾となります。来年9月には前回のツアーの評判が非常によく、ご参加者から話を聞いた業界の他の方々から多くのリクエストをいただいていることもあり、より掘り下げた、ラム酒の製造・輸入・販売に携わる方ではない一般の方でも楽しめそうな、酒造りを切り口としてその土地の文化の深さに触れられるような内容で、2度目のモーリシャス&レユニオンツアーを企画中です。お酒と切っても切れない関係の『料理』を掘り下げ、レユニオンの一般家庭にお邪魔してレユニオン・クレオール料理の調理実演会を開催したり、地元のマルシェで自作の漬けラム(ラム酒にフルーツなどを漬けて香りや風味を足したラム酒)を販売しているお店のマスターに漬けラム作りのワークショップを開いてもらったり、完全なオーガニックで野生のような状態で栽培・収穫されるバニラ農園の作業を体験してみたり、酒づくりの現場を見ることの他に一般的な観光ツアーではまず体験できないコト・モノも盛り込む予定です。お酒の業界に携わる方々が募集の対象のメインとなることは変わりませんので、ホームページ等に掲載しての一般公募は行いませんが、もしインド洋の島国のクレオール文化とお酒造りにご興味がおありで詳細を知りたいという方は担当までご連絡いただければと思います。

道祖神 羽鳥

道祖神