ボツワナからナミビアにかけては、ほとんど毎日がブッシュ・キャンプになった。夕方、東の空から冬の星座、オリオン座が上がってくる。暑いから意識していなかったけど、日本ではもう冬になっているんだな。ただ、オリオンが「逆立ち状態」でのぼってくることに驚いた。日本では牡牛座を追いかけるように、仰向け状態で東の空から出てきたはずだ。南アフリカに進むにしたがって、オリオンの角度が日々、少しずつ変わっていく気がする。大陸を、地球を縦に旅しているのだ、と星座を見て思う。
ナミビアではハイウェイを走らず、あえてナミブ砂漠に向かうダートロードを選んだ。果てしなく続く地平線の中、ときどき小さな町が現れる。ガソリンスタンドを見つけるとほっとする。そこは食品雑貨屋でもあり、カフェ・バーでもあり、地元の人々にとっていこいの場でもある。人々はいつも、何気なくガソリンスタンドに集まってくる。ただ、ガソリンスタンドで炭火をおこしてステーキ屋台を営業していたのはキケンな気がするのだが…。
日々の食事は缶詰がメインになった。こんな場所で生野菜を見つけるのは難しい。パスタ用のトマトソース缶をそのままゴクゴクと飲み、野菜ジュースの代わりにした。麺が入ったパスタやカレーライスのような、炭水化物の缶詰も売られており、食べ物に困ることはなかった。そして、ケープタウンまであと少し。長い旅のゴールが見えてきた。