Categories: 北部アフリカ

2018.2.7発 スーダン・ヌビア砂漠の旅 13日間

2月の寒い日本を出発して、暑い砂漠の国『スーダン』へ行って来ました。2016年に南スーダン共和国として、南部が独立し、2つの国に分かれるまでは、アフリカ大陸でもっとも大きな国土を誇っていた国です。国土のほとんどが砂漠に覆われ、大きく広がる砂漠の真ん中をナイル河が南北に流れています。特に今回訪問した北部には、古代エジプト文明を支え、その文化を吸収して築かれたクシュ・メロウェ王国時代の遺跡が点在しています。すぐ隣に歴史大国のエジプトが控えているせいか、あまり注目されることが少ないですが、世界最古の黒人王国ケルマから始まり、エジプト王朝の支配下にあった時代、逆にエジプトをすべて支配下に治めていたヌビア王朝時代、独自の発展を遂げていったメロウェ王朝時代、キリスト教系の王国が乱立した戦国時代からイスラム化へと移り変わっていった近世など、5,000年以上の長きに渡って、常に世界史の曲がり角において重要な関わり方をしてきた国です。

首都ハルツームの国立博物館の大きな地図、スーダンの歴史の移り変わりも良く分かります。
様々な時代の出土品を見ても、スーダン史の厚みを感じます。
エジプトを逆支配していたヌビア王朝時代の出土品。スーダンとエジプトの歴史が密接に絡み合っているのを物語っています。

今回のツアーの行程ですが、そんなスーダン北部の砂漠への旅です。砂漠にテント泊をしながらナイル河沿いに北上、そして車ごとフェリーに乗り込んでナイルの対岸へと渡り、今度は河沿いに南下、ナイルの恵みによって支えられたヌビアの土地に眠る遺跡の数々を訪問してきました。アスファルトの快適な道路と、砂漠の真っ只中の悪路を走って、北部を周遊します。

広大な砂漠を貫くアスファルト道路が続きます。
砂漠を走る車と言えば他にはありません。やはり四駆のランドクルーザーです。
ナイル河の対岸へは、車ごとフェリーに積み込んで渡ります。

さて、まずはツアーの目玉はスーダン北部で訪問してきた遺跡の数々です。特に世界遺産の2カ所、ジュベル・バルカルに代表されるクシュ王国前期の都ナパタの遺跡群。後期メロウェ朝時代のピラミッド群はさすがに有名ですが、それ以外にも貴重な遺跡の数々に出会うことが出来ました。ツアーの行程を追いながら、遺跡の数々を紹介したいと思います。
まずは、ヌビア砂漠を北上して行きます。

紀元前1359~1352年ころの建造されたセディンガ神殿のハトホル柱。
基礎部分を残して崩れてしまったピラミッド。地下の原室への隠し階段が残る。
ナイル河近くのソレブ神殿。約3300年前の建造物ですが、変わらない夕陽です。
ナイル河沿いは、時間帯によっては羽虫が多いのでネットをかぶって見学(注意!)
柱に刻まれた巨大なアメンホテプ三世のカルトゥーシュ。
セシビ神殿。地味ですが貴重な遺跡です。ネフェルティティの夫であるアメンホテプ四世(イクナトゥン)の建造したもので現存するのはここのみ。
セシビ神殿の跡地で佇む地元の子供、突然の来訪者に、ちょっとしかめっ面です。

ここでナイル河を対岸に渡ります。今度は、ナイル河沿いに遡るようにして南下していきます。

車ごとフェリーに乗り込んで、ナイル河を横断。
ナイル河急流の一つ第3カタラクト。かつてエジプトからの侵略を阻んだ自然の要塞です。
ワディ・セブの岩絵。約10,000年前のものです。
ナイルの氾濫期には川となるワディ(乾いた川)に残されています。
古代ケルマ王国の都の遺構跡。熱帯アフリカ地域における最古の黒人王国と言われています。
王宮の中心部に聳え立つ建物。強制的な殉死の習慣が見られる宗教建築デフーファです。
ところどころ修復もされていますが、その威容は健在です。
砂漠も砂丘から岩砂漠まで。様々な景観の中を走り、旅は続きます。
オールド・ドンゴラのスーフィー(回教徒)の指導者のお墓。

そろそろ、旅も中盤。スーダン遺跡の宝庫、カリマの街で2泊して一休みです。この街は、エジプト第25王朝(ヌビア王朝)時代の首都ナパタがあり、1つの街の中に3つの世界遺産があるというスーダンの歴史訪問の旅には欠かせない場所です。

夜は街の屋台へ。走りっぱなしの我らがドライバーさんたちも暫しの休憩です。
屋台飯のローカルフードも美味です。

さてさて、まずは3つの世界遺産の1つ、クル遺跡です。
エジプト第25王朝(ヌビア王朝)時代のファラオの墓やその妃、愛馬の墓(ピラミッド)が並びます。カシュタ、ピィ、シャバカ、シャバタカと、各王のお墓が残りますが、そのうちの1つ、タヌートアメン王の地下の玄室へ入ります。1回の訪問で入る事の出来る玄室は、どれか1ケ所のみです。

ヌビア王朝時代のファラオの墳墓が並びます。その1つクヌートアメン王の玄室へと続く階段。
玄室の中は、約2,700年前当時の壁画が残ります。ファラオの死と再生のストーリーが描かれています。
ちょっと分かりにくいですが、天井には青く塗られた跡がまだ残ります。(空を現しています)
遺跡内では、現在でも発掘作業が続けられています。

カリマの街では、遺跡訪問の合間に、マーケットも訪れて散策しました。ドライバーさんたちの食糧調達に付いて行っただけなのですが、ローカルの人々との触れ合いも楽しかったです。

様々なスパイスを売るお店。
スイカ屋さん。埋もれそうです。
ナツメヤシを売るお店。しわしわで硬いのですがクセになる味です。
果物屋さん。
八百屋さん。皆さんにこやかです。
日用品を売るお店。品物がうず高く積まれております。
白いガラベーヤ(貫頭衣)を仕立てています。

再び遺跡巡りへ。2つ目の世界遺産。このツアーのハイライトの1つでもあります。小高く聳え立つ聖地ジュベル・バルカル。

ヌビア王朝の聖地ジュベル・バルカルとアムン神殿の遺構。
発掘調査中の岩窟神殿の中も見せてもらう事が出来ました。
壁画の保存状態も良く、迫力があります。
壁面に彫り込まれているものもあれば、浮かし彫りのものも。
色合いもはっきり残っています。
少し離れた場所に建つピラミッド群
ジュベル・バルカルの山の上から見たピラミッド。
カリマにある3つの世界遺産の3つ目、ヌリの遺跡です。“ブラック・ファラオ”のタハルカ王を始めとして大型のピラミッドの跡が並びます。
ピラミッドの頭上から太陽が差し込んできました。とにかく暑い!

カリマの街を2日間かけて訪問した後は、再び砂漠の旅へ。ナイルの流れから少し離れ、バユーダ砂漠へと入っていきます。

まだまだ砂漠の旅は続きます。
砂漠のキャンプもすっかり慣れっこです。
毎回の食事を作ってくれるコックさん
いつも食事は豪華です。ありがとうございます!
砂漠のテント泊、何もないことが贅沢です。
旅路の途中、毎回の休憩でお茶屋に立ち寄るのが楽しみでした。
お茶屋はローカルの社交場。地元の人達との会話も楽しみです。
お茶やコーヒーに様々なスパイスを入れて作ってくれます。
かぐわしい香りが漂ってきました。ホッと一息の瞬間です。
お茶屋の主人は女性ばかりなのも特徴。ナイスな笑顔です。

ようやく到着しました。スーダンの歴史を足す寝る旅のメインにして最大のハイライト。後期メロウェ王朝時代のピラミッド群です。ここには、エジプト王朝から離れ、ヌビア王朝時代のエジプト・スタイルを基本にしながらも独自の発展を遂げていった後期メロウェ王朝時代の王(ファラオ)たちの墳墓が残ります。北側のピラミッド群(44基)と南側(20基)を合わせて、世界で最も多くのピラミッドが1ケ所に集まる場所です。

ツアー最大のハイライトです。メロウェ・ピラミッド群。
ラクダに乗って訪問。結構お尻が痛い。
ラクダも見慣れてきましたが、近くで見るとやっぱり大きいですね。
保存状態は様々ですが、やっぱりピラミッド群は見ごたえがあります。
同じくメロウェ王朝時代のナガ神殿の遺跡を見学。迫力あるレリーフ。
ギリシャやローマ、さらにインドまで様々な影響が伺えるのが面白い。
たびたび出てくるアムン神。神々の中の主神ですが、羊の姿でも現されます。
神殿の守り人のお爺さん。年季はいってます。
アムン神の化身である羊。身体が渦巻き模様に表現されるのが後期メロウェ時代の特徴です。

さて、北部スーダンをぐるっと回った遺跡周遊の旅も、このメロウェのピラミッドと神殿を見てひとまず終了です。首都のハルツームへ戻り、長い旅路でしたが、日本へと帰国します。

途中に立ち寄った貿易都市シェンディの街のコットン織りのお爺さん
首都ハルツームの旧市街、オムルドゥマンの市場。
今回の旅を全行程に渡ってサポートしてくれたガイドさん、ドライバーさん、コックさん。ありがとうございました!

スーダンには、5,000年もの長きにわたる歴史的、文化的にも貴重な遺跡の数々が、文字通り殆ど手つかずで転がっています。ほとんどの遺跡が、見て、実際に触れることが出来る状態で残っているのが驚きでした。
そして、スーダンのもう1つの魅力は『人』です。訪れる旅先のどこでも、ニコニコと出迎えてくれ、押しつけがましくない、さりげない親切を感じる場面がとても多かったです。市場の野菜売りのおじさん、お茶屋のお姉さん、イスラム学校へと通う子供たち、街角に佇むお年寄り、皆がひとときの旅行者である私達にも心地良く接してくれて、気持ちの良い時間を共に過ごさせてくれます。変に構えることなく、人との交流を自然に楽しむことが出来るのはスーダンの旅ならではの体験でした。

子供たちはどこでも元気いっぱいでした。
人懐っこい!

個人的に思い出深いのが、道中で何度も食べたスイカです。たいして甘くないのですが、乾燥した暑い砂漠の旅だったからでしょうか、いつもスイカを食べていたような気がします。

忘れられない砂漠のスイカの味わい。

■スーダン ナイル川歴史紀行 13日間
生野

道祖神