昨年に引き続き、新型コロナウイルスの流行による状況が、改善の兆しこそ見えますが変化していない中、引き続き企画した「道祖神的日本国内の旅」シリーズ。秋田と青森にまたがり、ユネスコ世界自然遺産でもある“白神山地”を、古くからこの山々を生活の場としてきた青森県西目屋のマタギの方々に案内していただく森歩きツアーに今年も同行させていただきました。秋は紅葉とキノコなどの山の幸が期待できるため人気があり、2週続けての催行となりました。
現地集合・解散、ご参加3名様と添乗員という少人数で、密を避けつつ、体調管理にも気を付けて催行させていただきましたが、首都圏や人口密集地での緊急事態宣言がやっと解除となったタイミングでしたので、地元を離れた旅をし、森を歩くことができるということの爽快感と楽しさを心から味わうことができ、ご参加者の皆様も同じような感想を持たれたことと思います。滞在し、歩いた場所は昨年と変わらず白神山地の一部で、古来より目屋マタギたちが猟場にしていた地域で、世界遺産エリアの外側ではありますが白神山地を知り尽くしたいマタギの方々がお勧めするエリアです。紅葉のピークにはまだ早かったですが、少しずつ色づいていく森を堪能することができました。
ご参加者の中には昨年に引き続き2回目となる方もいらっしゃったため、違うコースを歩くことも検討しましたが、時期が異なるということもあって同じコースでも充分楽しめるであろうということで、昨年とほぼ同じコースを2日間歩きました。今年のキノコはどちらかというと不作に近い状況のようで、超ラッキーだった昨年のように天然舞茸をゲットすることもできず、キノコ自体わずかしか収穫できませんでしたが、それでも予めご用意いただいたものを調理していただき、山菜とともにいただくこともできました。今は津軽ダムの完成により美山湖の底に沈んでしまったかつてのマタギ集落、砂子瀬地区の周辺には縄文時代草創期(約15,000年~11,000年前)から縄文後期(約3,000年前)までの、縄文時代全期間を通じての遺跡が見つかっているそうですが、世界遺産となって狩りや採集が禁止された今でも人々の暮らしを支え続けている白神山地の豊かさを実感できます。
豊かで美しい森を歩くこともそうですが、自然から歴史・文化にまたがるマタギの興味深いお話を、焚火を囲んで飲み食いしながら聞くことができるのがこのツアー最大の楽しみですが、今回もたっぷり味わうことができたのではないかと思います。
道祖神 羽鳥