毎年この時期になると、ヌーの群れはどの辺りにいるのだろうか、そろそろ川渡りを始めただろうかと、何となく気になってしまいます。例年、ヌーが川渡りをするであろうこの時期に、マサイ・マラの選りすぐりのロッジに滞在し、サファリに臨むこのツアー。今年はどんな光景が待っているのでしょうか?
エレメンタイタ湖からマラへ
今回のツアーはエレメンタイタ湖訪問からスタート。湖畔に位置するだけあって、ロッジには沢山の鳥たちが訪問してきました。ロッジでのんびりしていたいのも山々ですが、マサイ・マラへの移動があるので、ロッジを早朝に出発し、短時間のゲームドライブに集中です。限られた時間でしたが、それでも、ウォーターバックやインパラ等のレイヨウ類、湖ではアフリカヘラサギ、アフリカトキコウ、クロシロゲリ、エジプトガン、そして念願のフラミンゴを観察することができました。マサイ・マラでは見られないので、皆さんご満足の様子でした。


マサイ・マラへの長距離移動の後、保護区に入ってからは、ゲームドライブをしながらロッジに向かいます。シマウマ、ゾウ、トピ、ハーテビースト、エランド、ダルマワシ等がこの日はお出迎えをしてくれました。そして、マサイ・マラの奥深く、タンザニアとの国境に近づくと、ついに遭遇しました。今回のサファリの主役である、ヌーの群れです。大群とまでは言えませんが、数百頭のヌーの群れを見ることができました。また、ライオンについても、オス・メス含め複数のグループと遭遇しました。初日から大成功と言えるでしょう。



マラ川でのサファリとヌーの川渡り
マサイ・マラでの本格的なサファリが始まりました。この日のターゲットは何と言ってもヌー。昨日のヌーの動きから、川の方に群れが来ている可能性が高く、真っ先に川に向かいます。到着すると、まさに川渡りが始まったタイミングでした。ガイドは何とかポジションを確保しようとするも、他の車に遮られ、綺麗に見られる位置を確保することができません。しばらくすると、水の中にいたカバが川渡りを嫌がったのか、ヌーの邪魔をし始め、川渡りは終わってしまいました。この場所にはクロコダイルもおり、死んだヌーを捕食している個体もいました。


後続のグループもいたので、ポジションを取り直し、次の川渡りの瞬間に備え待機します。しかし、カバやクロコダイルの存在を気にしてか、この場所で川渡りが始まることはありませんでした。残念ながら、ここは諦め、昼食に向かいます。昼食はサバンナでのランチボックス。近くにヌーが佇んでいました。


午後はまた別のポイントに向かいます。ここでもヌーが川岸にまとまり、川渡りはいつ始まってもおかしくありません。少し離れた所で待機し、固唾をのんで見守ります。すると、何頭かが下に行ったと思いきや、まるでスイッチが入ったかのように、大きな土埃を巻き上げながらヌーの群れが一気に駆け出し、川に飛び込んでいきます。ヌーとシマウマ、成獣も幼獣も、命を懸けた川渡りです。本当に凄い迫力で、数十分間続きました。幸い、周囲にカバやクロコダイルはおらず、無事に全頭渡っていきました。



ゾウの大群、ヌーの大群
この日も早朝はマラ川に向かい、ヌーの川渡りのチャンスをうかがいます。しかし、ヌーの移動も一段落してしまったのでしょうか、川岸にヌーの姿はありませんでした。ここでターゲットを変え、北部エリアを中心にサファリをします。すると、合計で50頭以上にもなろうかというゾウの大群と遭遇しました。子ゾウも沢山見ることができました。




午後は一転、南部エリアでサファリを行います。そこでは、数日前に川を渡ってやってきたであろう、巨大なヌーの群れでサバンナが溢れかえっていました。なお、ハンティングシーンを見ることはできませんでしたが、狩りを終えた直後でしょう、獲物のヌーにかぶりつくライオンの親子とも遭遇しました。



ライオン、ヒョウ、チーター。そしてまたチーター。
この日はこれまで滞在していたマサイ・マラ西部を出て、東部に移動します。マサイ・マラ中部の平原エリアを中心にサファリ。早速、綺麗なたてがみをしたオスのライオンと遭遇。そして、別々の場所で、単独のチーターを2頭観察することができました。しかし、残念ながら、距離があり、写真には上手く残すことができませんでした。この日はさらに、サファリの大物のヒョウまで登場してくれました。幸運な事に、起き上がったと思ったら、こちらに歩いてきてくれるではありませんか。至近距離から観察することができました。



午後は、再度中部の平原エリアに向かい、午前中に遠くからしか観察できなかったチーターを至近距離から狙います。ヌーやシマウマを横目にサバンナを進むと、お目当てのチーターとの遭遇です。そして、今度は至近距離から撮影することができました。


再びの川渡りとチーター
この日は早朝に朝食ボックスを持ってサファリに出発。ライオンやヒョウを狙って中部エリアに向かいます。ところが、ヌーの大群がこちらに向かって走ってきます。そのまま川の方に向かっていくので、急遽予定を変更し、川沿いへ向かいます。すると、期待通り、川を渡り始めました。少し遠くからの観察でしたが、ヌーが元気に川を渡る様子を全景で見ることができました。



朝食はサバンナでのボックスランチ。アフリカハゲコウやツキノワテリムクがそろりそろりと近寄ってきて、おこぼれを狙ってきます。当然、保護区内なので餌付けは厳禁です。


午後も川沿いのサファリからスタートし、短時間でしたが、川渡りを観察することができました。また、獲物にかぶりつくチーターの姿も。1日の最後は、美しい夕日で締めくくりです。



最後の川渡り
最終日はランチボックスを持ってサファリに出発です。マラ川沿いで待機するも、集まっていたヌーは川渡りをせず行ってしまいました。続いて、サンド川に移動し、セレンゲティからマサイ・マラにやってくるヌーの群れを観察しました。セレンゲティとの境界周辺では、この他、オスの2頭のライオンとも遭遇しました。



旅の最後に、再度マラ川に向かい、レンジャーを伴いウォーキング。カバやクロコダイルを間近に見ることができました。帰りがけ、マラ川付近を走るも、ヌーの姿はなく、辺りは静けさに包まれていました。午前中はヌーで溢れていたので、最後にもう一度見られるかと思っていましたが、難しいものです。もちろん、それが自然であり、野生動物であり、サファリというものなのかと思います。私達の旅は、ここで終わりますが、ヌーとシマウマの旅は、マラ川の先へと続いていきます。良い旅を!


