2023 北部ケニア添乗レポート

2023 北部ケニア添乗レポート

年末年始に北部ケニアを巡るツアーへ行ってきました。私にとっては、3年ぶりのケニア訪問になりました。今回の参加者の半数以上はアフリカリピーターでした。

目的地はお馴染みのマサイマラ国立保護区ではなく、赤道を挟んで北半球にあたるサンブル国立保護区です。少しマイナーな保護区ですが、私にとっては密かにマサイマラの次に好きな保護区なので、今回サファリができることをかなり楽しみにしていました。

去年(2022)のケニアは、過去40年で最悪の干ばつに見舞われ、地元の報道では約250万頭の動物が死んだというニュースが日本でも流れていました。サンブル周辺は元々乾燥地帯なのでかなり心配しましたが、訪問してみると最近雨が降り始めたようで緑が多く、花も咲き、瑞々しい大地になっていたのでホッとしました。

ロッジからの眺め
ロッジからの眺め

ここには「サンブル・ファイブ」と呼ばれる、ケニア北半球で見られる珍しい動物を観察することができます。グレービーシマウマ、アミメキリン、ゲレヌク、ベイサオリックス、ソマリダチョウです。グレービーシマウマは、過去40年で個体数が8割も激減し、野生はわずか2千頭になってしまいました。さらに今回の旱魃で40頭も死んでしまったそうで、貴重なシマウマを見た気がしました。

大型鳥類のソマリダチョウのオスは、繁殖期になると肌が青くなる特徴があり、繁殖期に肌が赤くなるマサイダチョウと違いが明らかです。このように、マサイマラやアンボセリなどケニア南部で観られる動物たちと同じ仲間でも、種が違うと形態や習性も変わるので、比較するとより楽しい観察ができます。

グレービーシマウマ
グレービーシマウマ
アミメキリン
アミメキリン
ゲレヌク
ゲレヌク
ベイサオリックス
ベイサオリックス
ソマリダチョウのオス
ソマリダチョウのオス

5日間の滞在中、アフリカゾウの群れやライオンの親子など、沢山の野生動物に遭遇しました。特に印象に残っている出来事は、チーターがゲレヌクを仕留めた直後、ヒョウに獲物を奪われてしまった現場に立ち会ったことです。私たちが見たときにはもうヒョウが獲物をくわえて岩山に登ったところだったのですが、そのヒョウを恨めし気に見つめるチーターの顔が忘れられません。チーターはその後、別の獲物を探しに移動していきました。

ライオン親子
ライオン親子
ヒョウに獲物を奪われたチーター
ヒョウに獲物を奪われたチーター
ヒョウが隠れた岩山
ヒョウが隠れた岩山

またサンブル周辺は、野鳥観察ポイントとしてもかなり魅力的なエリアだと思います。ゴマバラワシやダルマワシ、クロワシミミズクのような大型猛禽類や、青羽が美しいフサホロホロチョウ、それにエボシドリやコサイチョウなどユニークな鳥たちが多く、野鳥ファンを魅了しました。

フサホロホロチョウ
フサホロホロチョウ
クロワシミミズク
クロワシミミズク
カンムリヅルのシルエット
カンムリヅルのシルエット

ツアー後半は、ケニア山の麓にあるオルペジェタ保護区を訪問しました。ここはケニアでは珍しい私立の保護区で、特にチンパンジーやサイの保護繁殖に力を入れています。レンジャーガイドの説明によると、ここで生活するチンパンジーたちは、中央アフリカなどから内戦やペット取引によって孤児となり保護された個体で、この保護区で安全なセカンドライフを送っているそうです。

絶滅危惧種のクロサイや、世界であと2頭になってしまったキタシロサイ(亜種)もここで保護されており、研究繁殖が進んでいます。サファリドライブでは多くのシロサイとクロサイが伸び伸びと生活している姿を観察することができました。

また、ここではナイトサファリドライブが実施されており、参加すると野生動物の夜の姿を見ることができます。夜行性のフクロウや、マングースなども観察できました。

盲目のクロサイのバラカにタッチ
盲目のクロサイのバラカにタッチ
ナイトサファリドライブ
ナイトサファリドライブ
ナイトサファリで見たライオン親子
ナイトサファリで見たライオン親子

最後に首都ナイロビに2泊しました。普通のツアーでは時間の制約でなかなか訪れることのできないゾウの孤児院へ訪問することができました。現在は予約制で人数制限をおこなっています。水浴び場にやってきた保護された小象の多さにびっくりしましたが、飼育員からミルクを飲む表情が幸せそうでした。安全に大きくなって、いつか野生へ復帰してほしいと願います。

ナイロビ国立博物館も訪れ、人類化石コレクションや「野生のエルザ」のジョイ・アダムソンさんの絵画を観賞し、ケニアの全鳥類が標本展示されている「鳥ゾーン」では、このツアー中に何を見たのか再確認をすることができました。

寄ってきた小象
寄ってきた小象

このツアーを振り返ると、前半では人の少ない北部の保護区で珍しい野生動物をじっくり観察し、後半では「人と野生動物の共存」をテーマにした学びのある体験ができ、初心者の方もリピーターの方も楽しめる充実したプログラムになったと思っています。また機会があれば、ツアー第2弾を募集したいと考えていますので、その時は是非ご参加ください。

加藤 直邦 .