昨年から現在の日程に固定され、ゴールデンウィーク時期に企画された、国立公園としては1か所のみの訪問ですが、広大な領域の3カ所に数泊ずつ分けて訪問する、チョベ国立公園のみのボツワナ・キャンプ・ツアーに今年も同行させていただきました。行程は昨年と全く変わりませんが、大きく異なっていたのは2024年後半から2025年初めの雨季が長引き、雨量が多かったことによる影響です。ここ数年は南部アフリカ全体が雨季の降雨量が少なく、オカバンゴ・デルタが干上がったり、ザンベジ川の水が落ちるビクトリアの滝の水量が異常に少なかったりし、農業や牧畜業に加え、野生動物の生息エリアや数にも大きな影響が出ておりましたが、今期の雨季は数年ぶりに各地で大雨となり、季節的にできる河川が氾濫したりしたこともあり、雨季の例年より長く続いたため、一面がグリーンで天然の水場もまだあちこちに残っているという環境下での野生動物探索となりました。1回だけですが滞在中に降雨を経験することもあり、草丈が高くて野生動物がなかなか見つけにくい中でのサファリではありましたが、期待を大きく裏切ることはなく、それなりのクオリティーをキープして多くの野生動物たちとの出会いを楽しんできました。













空路ジンバブエのビクトリアフォールズに到着した後、国境を越えてチョベ国立公園への玄関口カサネに移動します。その後、ゲートでサファリカーに乗り換え、チョベ国立公園のメインエリア、“リバーフロント地区”へ。まずはここの高台のチークの森の中にあるキャンプサイトに2連泊し、川沿いをメインにサファリをします。昨年の同時期とも比較にならないほど水量は多く、川幅は広がり、水深がありすぎるからか、通常であればリバーフロント地区で頻繁に見ることができるゾウの群れ、バッファローの群れ、水中のカバの群れ、中州で草を食むリーチュエ、ウォーターバックなどは見られず、わずかに小規模なゾウの群れとカバ、群れから離れた老齢のオスのバッファロー達が見られた程度と、7~9月とは大きくかけ離れた光景と出会えました。加えてどこもかしこも緑一色で草の丈も高く、地面近くを移動する生きもの、背の低い野生動物はなかなか目視するのが難しい。ただ、川沿いをテリトリーとして陣取るライオンたちと出会うことはできましたし、ヒョウがちゃんと生息しているという痕跡もあり(ここでは遭遇はできず)、そのあたりは変化がないようでした。珍しい出会いでは道を横切るカメレオンや通常であればもう渡ってしまって見られないミナミベニハチクイなど。


























リバーフロント地区に2泊した後は、内陸を目指して南下、チョベ国立公園で最もネコ科の野生動物との遭遇が期待できる“サブティ地区”へ移動。ここに4連泊と、じっくり腰を据えてサファリを行います。サブティで長期のサファリをするため、結果的にこのスケジュールとなったといってもいいエリアですので、期待は大きかったのですが・・・。まず、ライオンはかなり多かったです。4泊と丸3日間の滞在でおそらく延べ40頭を超える数のライオンに出会いました。昼はあっちこっちで寝転がり、子ライオンたちと戯れるメスのグループとそれに随行する三兄弟の成獣オス、それと距離を置くように2頭だけで行動するこちらも成獣のオスが、昼はダラダラ、夜は私たちのキャンプサイト近くを通過して毎晩パトロールする咆え声が聞けました。強力でかつ構成する個体数の多いプライドが昼夜問わず徘徊しているからか、いつもであればそう難しくないヒョウとは一向に出会えず、チーターやリカオンに至っては足跡も見ませんでした。ハイエナも足跡はあるものの、日中の行動を自粛しているようで、かろうじて夜間にうっすらと声が聞こえるのみという状況で、添乗員もガイドもかなりプレッシャーを感じつつ毎日のサファリをこなしていましたが、明日にはサブティから移動、これがサブティでの最後のサファリというタイミングでやっと別々の2頭のヒョウ(若いメスと比較的若めのオス)に遭遇できました。逆に、おそらくシャコやホロホロチョウ、サケイなどの地面を主な行動エリアとする野鳥たちが一様に雛鳥を引き連れているから、猛禽類だけはやたらと多く、普段はあまり見かけない種にも出会えました。どちらかといいますと、以前からうすうす感じてはいましたが、この時期は野鳥との方に面白い出会いが多い気がします。




今回はいつもの現地スタッフメンバーに若干入れ替わりがあり、まだ若いものの経験豊富なガイドの案内と、こちらも経験は豊富なものの最近現地手配会社に加入したニューカマーのコック&アシスタントチームに同行してもらい、それを現地手配会社の名物社長がスーパーバイズする、というスタッフ構成でしたが、特に新加入のコックのMR.ボンゴはローカルメイドの野外用オーブンを持参し、毎食毎食美味しい手焼きのパンを用意してくれました。スーパーで購入したパンをビニール袋に入れたまま食材ボックスで運ぶと、外気温と袋の中の空気の温度差で結露ができてしまい、どうしても長期保存がきかなかったり、黒カビが発生して廃棄せざるをえなかったりするのですが、今回はランチやディナー用に毎回フレッシュなパンを焼き、残ったら朝トーストとして提供するというスタイルで、全く無駄にするところがありませんでした。長年付き合いのある現地手配会社ですが、今でも少しずつベターチェンジをし、進化していることに驚きです。




チーターやリカオンとは出会えなかったものの、かなり至近でヒョウを見ることができたためか、ご参加者の皆様にはある程度満足していただき、最後のキャンプ地の“ノガツァ地区”へ移動。道が水没している箇所もあり、なかなかの悪路移動でしたが、動物目当てというよりはより人の手が加わっていない自然と、頭上が開けたキャンプ地ならではの星空を堪能するための1泊のトランジット的な宿泊です。そのつもりでいたのですが、夜間ライオンがキャンプからブッシュを一つ隔てた近さまでやってくるというスリリングな最後のキャンプを楽しみました。その後は再びカサネに戻り、最後の仕上げとしてチョベ川でのボートサファリを行い終了です。今回は水位が高く、中州も島も水没していて多くの哺乳類は期待できないため、キャプテンに頼んでとにかく野鳥探しメインでいつもとちょっと違うボートサファリを楽しみました。狙いはオニヤマセミだったのですが、今回も残念ながら遭遇できず、最後のサファリを終えカサネのゲストハウスに宿泊、汗を流してベッドでゆっくり休み、翌日のフライトでビクトリアフォールズ空港からアフリカを後にしました。
雨季の期間の長短や降雨量の多寡は年によって推移しますので、その影響をダイレクトに受けて、毎年同じ時期に企画したとしても大きな違いが味わえるのがゴールデンウィーク時期のこのボツワナ・キャンプかと思います。来年も引き続き企画しますし、例年早めに満席となってしまうツアーですので、ご興味がおありの方は是非お早めにご参加お申込みください!