東山動植物園のラーテルを撮ってみた

『世界一怖い物知らずの動物』として、ギネスブックにも登録されているラーテルは、アフリカや中近東などに生息する動物で、蜂蜜が好物。背中にはライオンの牙や爪も通さない弾力性のある分厚い装甲を持ち、気性の荒さと相まってライオンなどの大型動物にも立ち向かいます。また、毒蛇の神経毒にも強い耐性を持ち、噛まれてもしばらくすると回復して動けるようになります。更にスカンクと同じように、危機が迫ると肛門腺から強い臭いのする液体を放出して敵を撃退します。そんなラーテルを、国内で唯一飼育している東山動植物園で撮影してみました。

東山動植物園のラーテル1
東山動植物園のラーテル1
東山動植物園のラーテル2
東山動植物園のラーテル2

東山動植物園にいるラーテルはオスのザビーとメスのフラン。撮影している間、いつも2匹でじゃれあっている(フランが一方的にじゃれている?)ようでした。撮影はフルサイズの100-400mmズーム1本でカバーできる距離ですが、手前の鉄格子が厄介。自分と鉄格子の間に少し距離があるので、ぼかしても完全に消すのは困難でした。400mm F2.8などの大口径レンズなら、もっときれいに消せるのかもしれません。

東山動植物園のラーテル3
東山動植物園のラーテル3
東山動植物園のラーテル4
東山動植物園のラーテル4

撮影はなかなか難しい環境ですが、日本でラーテルに会える動物園はここだけですので、ぜひ皆さんも行ってみてください。
by 斎藤

道祖神機関誌「DODO WORLD NEWS」設置店紹介 東京・中目黒の『Queen Sheba』

1990年創業、エチオピア出身ソロモンさんが営む老舗エチオピア料理店。エチオピア音楽が流れる店内は、味のある装飾品が飾られており、ずらりと並ぶCD、DVDコーナーはエチオピア音楽・レゲエ好きにはたまらない一角も。
エチオピア料理は馴染みが無いという方には、インジェラと数種類のシチューを楽しめるシチューセットがお勧めです。
少し酸味のあるエチオピアの代表主食インジェラと程よくスパイスの聞いたシチューのコンビネーションは美味しいかつ、とてもヘルシー。

味もしかりですが、店主ソロモンさんの人柄からか、落ち着いて長居したくなる空間です。花見がてらにぜひ立ち寄ってみてください。

https://tabelog.com/tokyo/A1317/A131701/13003457/

僕は見習いナチュラリスト

道祖神でも人気サファリガイド加藤直邦さんの著書『僕は見習いナチュラリスト』をご紹介いたします。
こちらは加藤さんが実際マサイ・マラでガイドをしていた時のお話で、毎日サバンナを見ているからこそ分かる動物観察記のような内容になっています。動物たちの不思議な行動が「こう考えているのかな?」「こういう理由なら面白いな」など加藤さんならではの発想で紹介されています。また、野生動物や保護区のレンジャー、周辺に住むマサイの人々との関係など、ツアーだけでは分からないリアルな現実も描かれています。
登場人物(動物)に感情移入して、わくわくしたりしんみりしたり。肩ひじ張らず気軽にすいすい読める本なので、サファリに行く前の予習として、野生動物やそれを取り巻く人々に思いを馳せてみてはいかがでしょうか?
参加者募集中・加藤直邦さんツアー
サファリガイド加藤直邦さんと行くベストシーズンのマサイ・マラ 10日間
by 矢口

2019.2.8発 チュニジア ラクダと歩く砂漠旅 10日間

2018-2019シーズンから久々に復活した、「チュニジア ラクダと歩く砂漠旅 10日間」、スペシャル版としてチュニス近郊の観光も加えた、2月8日出発のツアーに同行させていただきました。チュニジアといえば『アラブの春』の口火を切ったジャスミン革命、そしてバルドー博物館のテロ事件等、国内の治安状況が不安定な時期が続いていましたが、2017年末にそろそろ落ち着いてきた、という現地からの情報を得て、やっと今期復活させることができた、道祖神らしい内容のツアーです。

「砂漠の船」とも呼ばれるラクダ、この不思議な家畜とともに砂漠を歩きます
「砂漠の船」とも呼ばれるラクダ、この不思議な家畜とともに砂漠を歩きます
歩くペースは早め、最初は先行するのですが、すぐにラクダに置いて行かれます
歩くペースは早め、最初は先行するのですが、すぐにラクダに置いて行かれます
午前中に1日の行程の3分の2を歩いてランチ休憩
午前中に1日の行程の3分の2を歩いてランチ休憩
ランチはサラダ&パン。見た目は普通ですが、抜群に美味しく、大好評でした
ランチはサラダ&パン。見た目は普通ですが、抜群に美味しく、大好評でした

内容は至ってシンプル。首都チュニスから、ホメロスの『オデュッセイア』にロートファゴイ(ハス食い人)の島として登場するジェルバ島まで空路で移動し、そこからさらに陸路でチュニジア南部の砂漠観光の拠点の一つドゥーズまで移動、このドゥーズからグラン・エルグ・オリエンタル(東方大砂丘群)の砂漠約100kmを、もう一方の砂漠観光の拠点クサール・ギレンまで、かつてのキャラバンのようにラクダとともに歩き、同じルートでジェルバ島、チュニスと帰路に就く、というもの。

人とともにラクダも休憩をとります
人とともにラクダも休憩をとります
夕方早くキャンプ地に到着、テント設営
夕方早くキャンプ地に到着、テント設営
テントはワンタッチ式、撤収にコツが要りますが扱いは簡単です
テントはワンタッチ式、撤収にコツが要りますが扱いは簡単です

「砂漠を何日間もラクダと歩いて、何が面白いんですか?」と、ネガティブ寄りの質問をいただくこともありますが、実は添乗員として同行した私にもよくわかりません。ただ、旅を終えて帰ってくると、「ああ、面白い旅だったな・・・」とジワーっと実感がわくという、不思議なツアーです。ご参加された皆様も同様にお感じになられたようでした。砂漠とはいえ2月のチュニジアは夕方から朝にかけてかなり冷え込み、日中も気温はさほど上がらず、といっても日差しは強烈で、日焼け止めを塗らないとひどく日に焼けます。砂地は足をとられて歩きにくく、砂が入らないように対策していても、細かい砂が靴の中に入り込み、歩きづらさを倍増させます。それでも、1頭が200kgを超える荷物を背に載せ、文句(を言っている)とも受け取れる鳴き声を上げつつ黙々と歩く砂漠の船ラクダの後をついて一歩一歩、歩みを進めていくと、頭が空っぽになって、青い空と褐色の砂漠と少しだけの緑が目の前に広がり、感じるのは吹き抜けていく風だけ、という何とも言えないシンプルな世界に没頭できます。

ベドウィンパンの調理中
ベドウィンパンの調理中
こねたパンを熱した砂の上に広げます
こねたパンを熱した砂の上に広げます
そして、炭をかぶせて待つこと15分で完成
そして、炭をかぶせて待つこと15分で完成
ラクダとともに眺めるサンセット
ラクダとともに眺めるサンセット
砂漠でこれほど絵になる動物は他にはいません
砂漠でこれほど絵になる動物は他にはいません

1日の行程を終え、テントを張り、ラクダ使い達におこしてもらった火を囲んでシンプルな食事をいただき、温かいお茶をすすった後は、砂漠の男たちの歌声と太鼓の音が鳴り響く、静かな砂漠。見上げれば満天の星。こういうとひどくロマンチックですが、実際そこまで素敵で、格好いいものでもなく、汗まみれ砂まみれ、疲れてくたくたになってぐっすり眠る、という毎日なのですが、砂漠トレッキング最終日に眼前にオアシスと砂丘の風景が広がるさまを見た時の達成感は、この100km歩き通した人でなければ分からないと思います。

草のまばらに生えたエリアの他、もちろん砂丘地帯もあります
草のまばらに生えたエリアの他、もちろん砂丘地帯もあります
砂丘地帯を歩くのはしんどいですが、テンションは上がります
砂丘地帯を歩くのはしんどいですが、テンションは上がります
空の蒼と砂のベージュだけの世界
空の蒼と砂のベージュだけの世界
ゴールが近づいてくると、砂漠の一軒家ならぬ、カフェにも出会います
ゴールが近づいてくると、砂漠の一軒家ならぬ、カフェにも出会います
ローマ時代の遺跡が残る、クサール・ギレンが砂漠旅のゴール
ローマ時代の遺跡が残る、クサール・ギレンが砂漠旅のゴール

最終日に復路のジェルバ島からチュニスへの国内線フライトがキャンセルとなり、南部から首都への長い陸路での移動に急遽差し替え、というアクシデントが発生。特別版ツアーたる所以だった、シディ・ブ・サイドとカルタゴの観光は、簡単に車窓から済ませることになってしまいましたが、思いがけず南部の海・山岳風景から中部の豊かな穀倉地帯を経て、人口密集地の首都チュニスへという、小さい国ながらもはっきりわかる自然環境と人々の暮らしの変化も見ることができました。
2019-2020シーズンも引き続き企画しますので、ちょっと変わった砂漠のツアーに参加してみたい、登山は苦手だけど達成感を味わえるツアーに参加してみたい、そんな方にお勧めのこのツアー。ぜひ参加をご検討ください!
◆チュニジア ラクダと歩く砂漠旅 10日間
羽鳥

『アメリカーナ』チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ著 / くぼたのぞみ=訳 / 河出書房新社

仕事柄、アフリカ関連の書籍を読む機会が多くあります。ほとんどは、年代を問わず旅行記、現地のルポタージュものが多く、やっぱりアフリカの現状のハードさに焦点を当てたようなものを手に取ってしまう事が多いのですが、この本は『小説』、しかも『恋愛小説』です。
主人公は、ナイジェリア人の女性イファメル。彼女がディアスポラ(=移民)として、ナイジェリアからアメリカに移り住み10数年、いつものように自分の縮れたアフリカンヘアーを結いに、隣町までセネガル人の女性が経営するサロンに行くところから物語は始まります。
『アメリカーナ』という言葉は、レゴス(ナイジェリアの経済首都)の街に暮らすアメリカ帰りのナイジェリア人の事を『アメリカかぶれ』の意味を含めてこう呼ぶそうです。
やたらとアメリカ的な英語表現を使ったり、レゴスのレストランで、いちいちポテトが有機栽培のものかどうか確認したり、細かい描写にニヤリとします。
全体の物語構成はいたってシンプル。イファメルがアメリカで『アフリカ人』として過ごした日々、そしてナイジェリアに戻り、かつての恋人と再会する、随分王道なラブストーリーですが、とにかく面白い。現代に生きる自分たちと同世代のナイジェリアの人達の欧米での暮らし、その中で当たり前のように生活し、当たり前のように恋愛し、日々を生きる中で否応なく意識させられる『人種』の問題。アメリカで生きる中で、主人公イファメルはこの『人種』に関して『人種の歯、あるいは非アメリカ黒人によるアメリカ黒人についてのさまざまな考察』と題したブログを書き、注目されていきます。
イファメルはアメリカの抱える『人種』の問題に対して、批判的な目を向けるのではなく、ちょっと毒を含んだ『考察』を綴ります。
またかつての恋人オビンゼは、同じようにイギリスで移民として暮らし、こちらはこちらではっきりと『敵意』に満ちた差別に直面し苦悩します。
こう書くと、センシティブな問題なだけに構えてしまいそうですが、この本の魅力は、あえて『』付きで言わせてもらいますが、『アフリカ人』である彼・彼女らが、様々な問題を抱えるこの現代社会の中で繰り広げられる圧倒的なラブストーリーにあります。とにかく登場人物の『キャラ立ち』が半端ない。同時代に生きる同世代の彼・彼女らをとにかく応援したくなります。物語の端々に散りばめられたディテール、セリフ回しに、ドキッとしたり共感を感じたり、528ページもある分厚い本ですが夢中で読み進んでしまいます。
読み終えた後、きっと誰かとこの本について語り合いたくなると思います。
私は30代の男性ですが、同年代の女性が読んだらもっと共感するような場面が多いかも。
「ナイジェリアからアメリカへ渡ったイフェメルは、初めて自分が『黒人』なのだと知った。アフリカには『ブラック』は存在しないから。」
「なんでいっつも人種のことを話さなければいけないんですか? われわれはただの人間ってことになれないんですか?」と、白人の恋人が問いかける。
主人公は「それがまさに白人特権階級なのよ、そういえることが。人種があなたにとって現実に存在しないのは、それが障害になったことがないからよ。黒人にとって選択肢はないの」と答える。
「頑張らなくっちゃ。レゴスはみんなが頑張るところなんだから。」
最後まで読んで、この話は著者のチママンダ・ンゴズィ・アディーチェの『私小説』ではないのかな、とも思いました。
きっと19歳でアメリカに渡った著者自身の人生が反映されているのだと思います。
著者は10年ほど前に有名になったTEDトークがあります。こちらも併せて視聴すると、よりこの本が楽しめるかもしれません。
【チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ: シングルストーリーの危険性】
https://www.youtube.com/watch?time_continue=997&v=D9Ihs241zeg
https://logmi.jp/business/articles/89836 (←スピーチの日本語訳)
この本については、まだまだ書きたいことがたくさんありますが、長くなりそうなのでこの辺で。
ここ数年読んだアフリカ関連書籍の中で、私の中では圧倒的にNO.1の一冊でした。
是非、おススメです。

by 生野