風まかせ旅まかせ Vol.23 ケニアのサバンナで映画撮影

3月14日から、さだまさし氏原作の映画『風に立つライオン』が、全国で上映されている。人気俳優の大沢たかお氏を主人公に、石原さとみさん、真木よう子さんといった人気女優が出演するケニアを舞台にしたヒューマンドラマだ。すでにご覧になった方も多いと思う。
2014年2月頃から、弊社もこの映画に関わらせていただいた。企画書をもとに、ケニアでこの映画の撮影ができるのか?プロデューサーと何度も打ち合わせを重ねた。航空機、ビザをはじめとした様々な許可関係、車両や宿泊、通訳、セキュリティ、コーディネーター、これに加えてケニア側の出演者のオーディションや機材の準備など現地関係者は多忙を極め、弊社でも膨大な作業の一部をお手伝いさせていただいた。弊社スタッフの羽鳥はコーディネーターとして本隊に同行し、日本から渡航した60人以上の撮影スタッフとともに、サバンナに1カ月以上通った。ナイロビ駐在員の生野も、出入国の手伝いや買い物の同行など日常業務に加えての忙しい日々を乗り切ってくれた。
映画に出演した子供たちは全員が素人。ナイロビに住む小学生で、皆驚くほどの演技力だった。特に少年兵役のンドゥングには驚かされた。同様にマサイの人々も皆エキストラで俳優は一人もいない。主人公が赴任する野戦病院は、原作上ではスーダン国境に近い、ケニア北西部のロキチョキオ郊外という設定だが、そこは首都ナイロビから千キロ以上も離れた、車で2日以上かかる大変な田舎にある。実際の映画撮影はナイロビの南西部ンゴングヒルを越えた、車で1時間半ほどのサバンナ地帯で行われた。灌木が広がり、マサイの集落が点在するマサイランドと呼ばれる、時折キリンやインパラなども見かける典型的なサバンナだ。舞台となった野戦病院は地区の小学校で、夏休み期間中の校舎を借り、その校庭にテントを幾つも張った。
映画はハッピーエンドでは終わらない。しかし、映画のテーマにあるとおり、命のバトンは引き継がれたのだろう。唯一残念なのは、広大なサバンナの景色をあの大画面でもう少し見たかった。と思うアフリカファンは多いのではないだろうか!?
写真 : ンゴングヒルの麓。撮影地の小学校と撮影スタッフたち

道祖神

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