ケニアを含む東アフリカには、
実に多様な国々が集まっている。
野生の大地が広がるケニア・タンザニア、
IT分野の進出が目覚ましいルワンダ、NGOMA(太鼓)王国のウガンダ。
少し北に目を向けると、未だ伝統を生きているエチオピア、
超民主主義ソマリランドに、南部モガディシュなど、
個性的な色合いの国ばかり。今回は、そんな東アフリカの国々で
見聞きしたことを書き連ねてみたいと思う。
ウガンダの「ROLEX」
アフリカ最大のビクトリア湖を挟んだお隣の国、ウガンダには、私が個人的に愛してやまないものが1つある。それが「ROLEX」だ。もちろん高級腕時計のことではなく、「ROLEX=ROLL EGGS」。どこの道端の屋台でも食べられる、卵を使ったローカルフードのことだ。卵を多めに使ったチャパティ(クレープ状)の上に、トマト、キャベツ、玉ねぎなどを載せ、くるっと巻いて出来上がり。素朴な味だが、腹もちも良く、これを1~2本食べれば優に一食分くらいのボリュームがある。値段も50~70円とお手頃。ウガンダを訪れて小腹が空いた際は、ぜひトライしてほしい。
ROLEXだけではなく、ウガンダは屋台文化が充実しているのが羨ましい。日本で食べるようなレベルの焼き鳥が(塩味のみですが)1本10円くらいでどこでも売っているし、屋台で一杯ひっかける際には、ツマミにバッタの素揚げを齧るなんてのもポピュラーだ。どれもケニアでは見かけないものばかり。お隣同士の国なのに、ちょっとした小料理だけでも随分違うものだ。
タンザニアの新大統領
先頃、タンザニアでは大統領選挙が行われ、10年間の任期を終えた前大統領に代わって就任したのが、ジョン・マグフリ新大統領。この新たなリーダーが、初代ニエレレ大統領の再来と呼ばれるほどの節約家だ。12月9日はタンザニアの独立記念日。新大統領にとっては最初の大きなイベントだったが、すべての式典をなしにして、この日をコレラ対策の「国民掃除の日」にしてしまうという行動力!
お隣の国の新大統領はずいぶん感心な人だなあ、と思っていたら、3日後の12月12日は、我らがケニアの独立記念日。さて、タンザニアを見習ってどうでるのか?と半分くらい期待していたところ、例年以上に大掛かりでド派手な独立式典が、国立スタジアムを貸し切ってそれはもう盛大に行われた。思わず苦笑してしまうが、このケニアのぶれない態度が頼もしくもある(?)。
アフリカビールの王様「PRIMUS」
アフリカ好きの間でビールの話をすると避けて通れない名前が「PRIMUS」だ。個人的には、アフリカン・ビールの王様ではないかと思っている。旧宗主国ベルギーの血が入った、僅かにフルーティな味わいと、それでいてガツンと来る喉越し。乾燥した乾季の昼下がり、湿っぽい雨季の夜長、どんなシチュエーションでも一杯飲めば幸せな気持ちにさせてくれる。
「PRIMUS」は、コンゴ民主共和国(DRC)の一種アイコンとして知られている感もあるが、実は大本は東アフリカの小国ブルンジとルワンダである。隣り合ったこの小さな2カ国は、民族模様も文化もとても良く似ているのだが、順調に経済発展を遂げているルワンダと、今も混乱が絶えないブルンジ。2国の状況は対照的だ。個人的に会ったことのあるブルンジの人々は、皆礼儀正しく控えめで、思慮深く、でもひとたび音楽が鳴れば陽気に踊り出し…といった、愉快な人たちばかりだった。1日でも早くブルンジの地で現地の人々と、王様ビールの「PRIMUS」を酌み交わして語らう日が来ることを願う。
生野