2015.09.18発 サファリガイド加藤直邦さんと行くベストシーズンのケニア 10日間

今年は秋のシルバーウィークにマサイマラ・キャンプツアーへ行ってきました。
マサイマラはこの1週間ほど雨が降っていないようで、かなり乾燥して埃っぽくなっていました。強い風が雲を吹き飛ばし、お陰で夜になると満天の星空が見事でした。
さっそくサファリドライブへ出発です。
期待していたヌーの大移動群は西へ移動してしまったので見かけませんが、キリンやゾウなどの大型動物たちが悠々と生活しています。もちろんライオンやチーターも何度も色々な場所で見かけます。ほとんどの肉食動物たちがお腹いっぱいで休息していました。マサイマラの動物相の豊かさを象徴しています。
さらに半日サファリではタンザニア国境付近まで足を伸ばし、探し回った結果、念願のヒョウを観察することができました。しかもペアで日中デートをしていたのでかなり貴重な観察です。
9月のいいところは8月ほど観光客がいないので、のんびり観察できるのが魅力ですね。
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ツアーでは動物観察だけでなく、マサイの人たちとの交流も用意してあります。
今回マサイの村には4時間も滞在し、普段の村訪問では紹介してもらえない水汲み場の川へ案内してくれたり、家畜を販売するために消毒する施設も見学させてくれたりしました。
案内してくれたマサイの若者グループは学校へ通い携帯電話も持っていて、お客様とフェイスブックの友達申請していました。今では女性たちも携帯電話を所有しているそうです。便利なものは取り入れても自分たちの生活習慣は変えないところに彼らの伝統への誇りを感じます。
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マサイと一緒にキャンプ場周辺も歩きます。
車の中から動物を眺めるのと、自分で歩きながら動物に対面するのは一味違います。さすがマサイ、逸早く動物を探し出して教えてくれます。木々の上から顔を出すキリンも観察できました。
道中、ゾウの群れに行く手を阻まれてしまったときはマサイの表情が変わり、彼らの的確な誘導によって危険を回避できました。彼らの背中が非常に頼もしく感じました。
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さ らに足元の動物の足跡や糞を教えてもらったり、薬として利用している植物を紹介してくれたりします。マサイ語で「オセギ」と呼ばれる樹木の葉は硬くてザラザラしているのですが、マサイはこれをやすりに使って杖や棍棒を研磨します。この葉を使って女性参加者たちは爪を磨いてもらい大喜びです。
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マサイマラ滞在後半になると雨が降り出し、季節の変わり目を感じました。
いよいよ最終日、私たちはヌーの大移動群を追って長距離サファリへ出かけます。しかしマラ川周辺にはほとんど動物の姿がありません。今年は「ヌーの川渡りは観られないのか」と諦めていたところ、何処からか2~3百頭の少数群がやってきて突然川渡りを始めたのです!
急いで現場へ接近すると、すでに1頭のヌーが大きなワニに捕まっていました。そのヌーを横目に仲間たちが慌てながら泳ぎ過ぎていきます。腹を噛まれてしまったヌーはまだ脚が自由に動くので、何度も必死に岸へ上がろうとします。しかし最後には力尽きて、水の中へ引きずり込まれていきました。
私たちは野生で生きることの過酷さと、最後まで諦めなかったヌーの逞しさに感動しました。
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連泊5日間の思い出はまだまだ書ききれません。キャンプ場も快適でしたし、料理も毎回美味しくて大満足でした。マサイマラは何度訪れても期待を裏切らない最高の動物保護区だと思います。また次のお客様を連れて訪問できる日が待ち遠しいです!
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加藤直邦

2013.08.16発 ナチュラリスト加藤直邦さんと行くケニア10日間 夏休み特別版!

今年の夏も道祖神さんで主催していただいている夏のサファリキャンプツアーに出発しました。
今回はマサイ・マラ東部のオルケリ・キャンプサイトに5連泊という一箇所滞在型ツアーだったので、わずらわしい移動の準備や、長い移動によるタイムロスなどもなく、思いっきりサバンナを満喫できたと思います。サファリドライブによる動物観察では毎回違うエリアを訪れ、小さな鳥から大きなゾウの群れ、それにライオン、ヒョウ、チーター、サバールといったネコ科肉食動物など、期待を裏切らない遭遇率でした。さすがマサイ・マラです!
また、恒例になっているマサイ族の村訪問や、アフリカンクッキングなども初めてケニア旅行した方からサファリリピーターのお客様まで、楽しんでいただけたようです。
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今回特に印象深かったのは、マサイ族の戦士と一緒に歩くロングウォークです。
キャンプ場を出発し、動物の足跡や、薬になる植物の説明を受けながら近くの丘を登っていきます。
保護区の外のキャンプ場といっても、ここではシマウマやインパラなどの動物を沢山観察できます。ゾウやライオンさえ見たことがあるワイルドなアカシア林を歩きます。
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ときどき休息を取りながら、戦士たちは自生している樹木から僕らに杖を作ってくれたり、棍棒を作って使い方の練習も教えてくれたりしました。戦士の一人は実際に家畜を守るためにライオンと戦ったことがあるそうで、死闘のすえ3ヶ月入院したという生々しい体の傷を見せながら、いかに自分が勇敢だったか熱弁してくれました。そんな勇ましい戦士たちが僕らを守ってくれて、安心です。
丘への登り道は次第に狭くなり、細い谷になっていきます。そして谷の最上部では、自然に出来た岩の洞が姿を現しました。中に入るといい匂いのする柔らかい葉が敷き詰められ、焚き火をする暖炉があり、壁には様々な動物の絵が描いてあります。ここは「カケア」と呼ぶマサイ族の宿泊所だったの です。
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マサイ族は、乾季になって家畜に食べさせる草がなくなるとき、雨の降りやすい丘の上に家畜を移動するそうです。この仕事はマサイの戦士たちの役割で、村から離れた戦士たちはこの洞で寝泊りしながら乾季のあいだ家畜を守るのだそうです。洞の中はちょうどいい広さで、十分雨風はしのげそうです。今度は寝袋を持参して、実際に宿泊しながらマサイ族と語らい合う企画も面白そうだと思いました。
最後は丘のてっぺんまで登り、待っていた車と合流。ここでサバンナに沈む夕日を見ながら乾杯です!
そして薄暗くなってきたころ、ここからナイトサファリへ出発です。それぞれ自分の懐中電灯を目線に近づけて暗闇を照らすと、野生動物の目がキラキラと反射します。観察した動物は、木の上のガラゴ(夜行性のサル)や立ったまま眠るキリン、林で眠るインパラやヌーの群れでしたが、普段見られない夜間の動物の姿は印象的でした。
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今回私たちがウォーキングとナイトサファリを楽しんだエリアは保護区の外にあり、キャンプ場を所有するマサイ族のコミュニティーによる プライベートエリアです。よって、こちらでのアトラクションに参加すると保護区ではなくマサイ族に収入が入ります。そのお金は、近隣の小学校の維持費や、 今後の診療所の建設な どの費用になるそうで、同行してくれたマサイ族の戦士たちも協力的でした。このようなコミュニティーを活性化するプライベートエリアでのアトラクションも、新たなサファリの醍醐味として積極的に取り入れていきたいと思います。乞うご期待!
加藤直邦

2012.12.27発 ナチュラリスト加藤直邦さんと行くケニア 10日間

ジャンボー!サファリガイドの仕事に復活した加藤直邦です。
12月27日から1月5日までの年末年始を利用したケニア・キャンプサファリツアーに出かけてきましたので、そのレポートをいたします。
今回のお客様は、アフリカ旅行初めて方から、道祖神で何度も旅行しているリピーターさんまで幅広い層の方々が参加してくれました。
なかでも参加していただいた林弘道さんは、道祖神のサファリには欠かせなくなっている「動植物チェックリスト」の写真や情報を提供しているサファリのベテラン。今回は僕とのダブル・ガイドのような状況で、参加者の皆さんにとってはラッキーな境遇だったと思います。
最初に訪れたのはカカメガフォレスト国立保護区です。ここはウガンダに近いケニア西部に位置し、ケニア最大にして最後の熱帯雨林と呼ばれる貴重な地域になっています。そして私は去年まで青年海外協力隊として、ここで2年間ほど環境教育活動をしていたので、お客さんを一番案内したいところでした。
予定外だったのはナイロビからカカメガまでの移動時間で、早朝ナイロビを出発したのに保護区のキャンプサイトに着いたときは日が暮れていました。雨の中、ヘッドランプをつけてのテント設営に初日からちょっとハードな一日になってしまいました。
翌日からは、たっぷり水分を含んだ熱帯雨林の中を歩いて観察。
原生林に点在する巨木を巡りながら、頭上を飛び跳ねるサルや、恥ずかしがり屋の野鳥たちを観察しました。次の朝は早起きして丘を登り、森の向こうから顔を出す日の出を眺めました。強い日差しが森の樹木に当たると、水蒸気がモクモクと湧き上がり、私たちは雲海の上に立ったような気持ちいい光景を眺めました。森の新鮮な空気と、この壮大な景色を日本からのお客様に見せることができて、本当に良かったです。
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次は南へ移動。私が5年間住んでいたマサイマラ国立保護区へ出発です。
道中では、ささやかに建てられている赤道直下の看板で記念写真を取ったり、道端で焼いているトウモロコシを食べたり、紅茶の産地であるケリチョーで「茶摘み」を眺めながらお弁当を食べたりしました。
そしてマサイマラへ入ると、すごい大雨で草原が湖のようになっていました。例年だと雨の少ない時期なのですが、ケニアも世界的な異常気象の影響を受けているようです。草原でのテント設営が心配でしたが、幸いステイ先のキャンプ場は大丈夫でした。ここはなだらかな丘の上に位置していて、水捌けが良いようです。
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夜になると雨が降りますが、日中は気持ちの良いサファリ日和です。
3日間おこなったサファリドライブでは、大きな岩の上で休んでいるライオンファミリーや、一時間ねばって観察したチーターのハンティング。それに、日中堂々と草原を移動しているヒョウの親子を観察することができました。林さんの動物観察記録によると、今回のサファリツアー中に哺乳類は32種、鳥は約141種を観察できたとのこと。私たちが幸運だったこともありますが、マサイマラの生物多様性の高さに改めて感動しました。
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さらに印象的だったのが、マサイ族と一緒に散策するネイチャーウォークです。
雨が効を奏して保護区の外にあるキャンプ場周辺は、草食動物の好む緑の草原となり、保護区以上にキリンやシマウマの群れが徘徊していました。自分の足で歩くと動物たちとの目線が一緒なので新鮮です。ヌーたちは出産シーズンが始まろうとしていて、数頭の赤ちゃんも観察することができました。それにシマウマの糞を懸命に転がしているフンコロガシの姿に笑みがこぼれます。これだけ草食動物が集まってきたら肉食動物もやってくるのではないかと思っていたら案の定、翌朝のサファリドライブでライオン親子をキャンプ場のすぐ側で発見しました。
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今回のツアーでは、陸路で森深い熱帯雨林と、草原の広がるサバンナを訪れました。このように環境の異なる自然を同時に満喫できるケニアは、やっぱり何度訪問しても飽きない魅力的な国ですね。
加藤直邦