2010.08.14発 湾岸西アフリカ4ヶ国訪問ダイジェスト15日間 その3

いよいよ4ヶ国目、最後のナイジェリアへと向かいます。国境でまたもやスタッフと車が変わります。「陸路、ナイジェリア入国」アフリカ大陸の旅行ルートの中でも、話題に事欠かない難所です。たっぷり2時間、様々な難癖をつけてくる役人達をなだめ、すかし、根気よく面倒なやり取りを続けて、ようやく無事に突破する事ができました。事前に皆様には伝えていたものの、やはり全員どっと疲れてしまいました。。。
晴れてナイジェリア入国後は、一路アベオクタという街へ向かいます。この街は、この地に住むヨルバ人の言葉で「岩の下」という意味が有ります。その名の通りオルモ・ロックという巨大な岩を中心に街が広がっています。このオルモ・ロックは街のシンボルでもあり、ヨルバ人にとっての聖地のひとつであり、岩に沿うように多くの祠が作られ、ヨルバの神々が祀られています。現在でも、このオルモ・ロックはアベオクタの人々にとって、大切な聖地であると同時に、人気スポット(?)ともなっています。大きな岩の上まで行くと、アベオクタの街が一望出来る為、他所からの観光客だけでなく、地元の人々も良く訪れる名所となっています。岩の頂上まで登るのは結構大変ですが、何とエレベーターまでが備え付けられています。
また、この街はナイジェリアきっての文化都市でもあり、伝説の闘う歌手フェラ・クティや、ノーベル賞作家の詩人ウォーレ・ショインカなど世界的な人物を輩出している土地でもあります。他にも、藍染めの産地としてもしられ、とても質の良い藍染め製品を手に入れる事も出来ます。
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翌日は、アベオクタを出発して、オショボの街へと向かいます。オショボの街は、たくさんのアート・ギャラリーやアート・スクールがあり、静かで緑の多い町です。郊外にはヨルバの神々を具象化して祀ってある原生林が広がり、この「オショボの森」はユネスコの世界遺産にも登録されています。森の中には、2~3年前に亡くなったオーストリア人の女性彫刻家、スーザン・ウェガーさんの作品が幾つも置かれています。不思議と森の景観にあっていて、本当にこの森に住むヨルバの神々が実体を持って世に出て来たような気さえします。森の奥には社もあり、そこにはこの聖なる森の守部の人達が今でも住んでいます。更に最奥部には聖なる河が流れ、その河辺には豊穣の女神『オシュン』の石像が両手を広げて佇んでいます。毎年、この8月の時期には、この聖なる河の水を汲みに世界中からヨルバの神々を信仰する人々が集まり、一大フェスティバルが開かれます。
普段は静かで緑に包まれたオショボの街も、この時ばかりは他のナイジェリアの街同様カオスが訪れます。森の奥から、神聖な太鼓の音が昼夜を問わず鳴り響き、各地から集まってくる王族や神官達の出で立ちも見物です。
アフリカ大陸にお祭りは数あれど、この「オショボ・フェスティバル」は必見です!直前まで、なかなか日程が決まらないのが辛いところですが、ご興味のある方は是非、道祖神までご相談ください。
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さて、オショボの森にも別れを告げて、向かった先が今回の旅行の最終目的地でもある「ラゴス」の街です。ナイジェリア最大の都市にして、人口1000万人を超える、アフリカでも3本の指には入る大都市です。
「コンクリートジャングル」という言葉がこれほど良く似合う街は他には知りません。ほんの少し滞在しただけで、この街の喧騒と混沌に中てられて、ふらふらになってしまいそうです。この街を歩いてみると、剥き出しの鉄筋ビルが無秩序に建ち並び、朝から晩までぎっしりと車が渋滞し、怒号とクラクションが響きわたり、道端のスピーカーからは割れそうな勢いで音が鳴っています。騒音・怒声・喧騒・腐臭・その他諸々が一体となって、人間の生活音でポリリズムが奏でられています。とにかく、人間がただ日々を生きているパワーに圧倒され、清潔も不潔も、浄も不浄もないような何だか良く分からないギラギラしたエネルギーが渦巻いています。 ナイジェリア最大の商業都市で、西アフリカ経済の中心地と言っても過言ではありません。
と、同時にナイジェリア大衆文化の中心地でも有ります。ラゴスは、世界中で愛されているアフロビート音楽の発祥の地でもあり、「ノリウッド」と呼ばれる一大映画産業の街でもあります。他にも、独特の造形感覚で知られているブロンズ彫刻も、アートとしてレベルが高く、20世紀の美術に与えた影響は大きいと言われています。また、いわゆるカラフルな布地を使ったアフリカンファッションでも、ラゴス発のデザインは洗練されていて、街ゆく人々のファッションからも目が離せません。
伝統文化・現代文化が共に高いレベルで混在している、有数のアートの街でもあります。経済、文化、政治、貧困、犯罪、貿易そういった様々な要素が、混沌と入り混じっているラゴスの街そのものが、このナイジェリアという国の縮図なのかもしれません。
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とても内容の“濃厚な”西アフリカ湾岸4ヶ国の締め括りにふさわしい街でした。そして、このラゴスからドバイ経由で日本へと帰路につくのですが、それも一筋縄では行かず、またも出国時にたっぷりとナイジェリアの役人達に苛められてしまったのでした。しかし、何はともあれこの「タフさ」が、つくづくアフリカ旅行の魅力だと思います。
道中のトラブルにイライラさせられる事も多かったですが、訪れる街・見るもの、得体の知れない妖しさに溢れ、食べるもの、着るもの、住む家までもが、形容しがたい魅力に包まれていました。
決して快適な旅行ではなかったかも知れませんが、「これぞアフリカ!」と人に自慢できる旅になったのではないかと思っています。
皆様も、真っ黒くて濃ゆい西アフリカの旅へ是非、一度覗いてみてください。
生野