2010.08.21発 南部アフリカ オーバーランド・キャンピング23日間 その1

オーバーランドとは、国境を越え、国をいくつもまたいでの旅のこと、特に長い期間をかけ陸路で走破する場合に、そう呼びます。
最近では、南米や北・中米などを舞台にしたものも多くあるようですが、もともと旅行用語?としては、伝統的なカイロ~ケープタウン(イギリス植民地のスローガンと同様ですが・・・)というルートから発生したようです。
アフリカという巨大な、変化に富んだ大陸を旅するには、まさにうってつけの方法ではあるのですが、このカイロtoケープですと、最短でも100日以上かかってしまうため、アフリカ大陸の中でも最もオーバーランドの旅に適した南部アフリカ4カ国(南アフリカ、ナミビア、ボツワナ、ジンバブウェ)をチョイスして作られた、現行のツアーでは弊社最長の23日間、しかもそのうち16泊はキャンプというツアーに同行させていただきました。
長丁場かつ盛りだくさんでしたので、レポートも長くなりがちですが、ポイントを絞ってお届けします。
ケープタウン到着!
旅の出発点はケープタウン。冬がそろそろ明けるかという時期で、灼熱の日本と比較すると非常に寒く、私たちの到着した日は激しい雨がときおり道路をたたく、どんよりとした肌寒い日でした。
雨にもめげず気を取り直して、到着した日しか観光の時間がないケープ半島に出発。個人的には訪問したかった『カーステンボッシュ植物園(固有種だらけの植物園で世界遺産)』は今回の予定に入っておらず、半日観光としては定番の喜望峰、ケープ・ポイントを巡り、サイモンズ・タウンのアフリカとは思えないオランダ風の街並みを車窓に眺め、ペンギンで有名なボルダーズビーチへ。
ケープ半島ではダチョウを目にしましたが、あまりの寒さと夕方だったせいもあり、すでにペンギンの皆様はご帰宅されたようで、普段ならごった返しているボルダーズビーチには3匹のペンギンしかいませんでした。残念!
「喜望峰」はあまりにも有名ですが、ヴァスコ・ダ・ガマとの関連で語られることが多く、ヨーロッパ人として初めて到達したバルトロメウ・ディアスの名前は日本の方には知名度が低いように思います。ヴァスコ・ダ・ガマがヨーロッパ人として初めて到達した、と思っている方も多いかもしれませんね。ディアスの船は嵐のせいで13日間漂流し、大陸最南端のアグラス岬に先に着いてしまい、ヨーロッパへの帰路に立ち寄ったのが歴史的事実、とご存知の方はさらに少ないのではないでしょうか?それゆえに当初は「嵐の岬」と名付けられていたらしいですね。実際に『喜望峰(Cabo da Boa Esperança=Cape of Good Hope)』と名付けたのは、報告を聞いて将来のポルトガルの繁栄を確信した国王ジョアン2世だったそうです。
ケープ・ポイントも喜望峰も寒く(フリースとカッパが要るほど)晴れ間は少ししかのぞきませんでしたが、これから北上し日に日に暑くなって乾燥していくだろうことを思えば、貴重な雨のケープタウンでした。
01
ナマクアランド~オレンジ・リバー
ケープタウン出発後は、珍しく晴れ上がった空をバックに霧に包まれたテーブルマウンテンを写真に収め、スーパーマーケットでビール・ワイン等の買い出しを済ませ、一路ナミビア国境に程近いナマクアランドの1都市スプリングボックへ向かいます。
これから春を迎える西ケープの穀倉地帯とワイン用のぶどう畑、入植者たちの苦労と勤勉さ(ともちろん使用人であった黒人達の苦労)を物語る非常に美しい農園風景を眺めながらひたすら北上します。
ナマクアランドといえば、8月中旬にデイジーをはじめとする600種類もの花が咲き乱れることで知られていますが、駐在員からの情報によれば、雨と日照時間が足らずほとんど咲いていないとのこと。とはいえ、ナマクアの花畑はこのツアーの見どころの一つでもあるので、それでも希望は捨てずに一面のお花畑を期待しました。が・・・やはり花は全く咲いていませんでした。自然が相手のため、仕方ないといえば仕方ないのですが、非常に残念でした。
このナマクアのキャンプ場が、今後長く続くキャンプの初日でしたが、ご参加者の方々は慣れている方もそうでない方も非常に飲みこみが早く協力的で、「協力して、なるべくご自身で張って下さい」などとお願いせずともテキパキとテントを設営していただきとても助かりました。夕食が出来上がる前からすでにたき火を囲んで一杯。食後も続けて一杯また一杯。キャンプならではの至福の時を思い思いに過ごされていました。
ナマクアでのキャンプは、まだケープタウンから1日の距離しかなくかつ乾燥した気候のため、夜と明け方はかなり冷え込みました。
翌日はナミビアとの国境オレンジ・リバーへ。このツアー随一の快適な芝生のキャンプ場でした。
このツアーの特徴は、オプショナルのアクティビティー参加が可能な訪問地では時間を取って、オプショナルリストの中から選択してアクティビティーに申し込めることですが、ここオレンジ・リバーではオレンジ川を下るカヤッキングにご参加された方々がいらっしゃいました。ダイアモンドをナミビアに輸出して(いるかのようにナミブ砂漠に運んで)いるオレンジ川をゆったり下るこのアクティビティーも結構楽しめたようです。
02
オレンジ・リバー~フィッシュ・リバー・キャニオン
3日間過ごした南アフリカを後にし、非常にシンプルな手続きを終えナミビアに入国。現地滞在21日間のうち9日間を過ごすナミビアはこのツアーのメインの一国で、非常にキャンピングツアーに向いている国でもあります。ナミビア初日のこの日は、ダートの道を走りに走って世界第2の大きさを誇る峡谷(第1はもちろんグランド・キャニオン)フィッシュリバー・キャニオンへ。この峡谷は温泉で有名でHOBASという街にはスパがあることで知られていますが、それとは別に峡谷を下った底にも、所々温泉が湧いている場所があるのですが、今回は時間もなく断念。残念でしたが、峡谷のサンセットにはなんとか間に合い、荘厳な日没の風景を目に焼き付けることができました。
世界で最も乾燥した場所の一つナミビアでのキャンプですが、南部のここフィッシュリバー・キャニオンではまだまだ朝晩は冷え込み、100%快適、とは言いがたいキャンプでした。が、ここまで数日間キャンプを続けると、1日のリズムのようなものができてきて、テント設営の手際もみなさんどんどん良くなり、コックの美味しい食事を十分楽しめる余裕も出てきました。
03
その2へつづく
羽鳥