2012.04.26発 ドラケンスバーグ・トレッキング11日間 前編

南アフリカとレソト王国にまたがる南北250kmの険しい山脈、ドラケンスバーグへトレッキングに行ってきました。
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ドラケンスバーグとはアフリカーンス語で“竜の峰々”、ズールー語でウクハランバといい“槍の障壁”という意味。3,000m級の断崖絶壁の連なりは1億8千万年前のゴンドワナ大陸分裂の形跡で、隆起によってできた日本のアルプスとは趣きがまったく異なっています。
インド洋から入ってくる大量の湿気をおびた空気を阻んで雨を降らし、浸食がはげしく、無数の尾根と沢がひだを作っていることが確かに竜を連想させます。
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ドラケンスバーグは複合遺産として世界遺産に登録されています。これは固有植物の多さ、希少動物の生息、原始のままの景観といった自然環境の価値だけではなく、サン(ブッシュマン)が残した洞窟壁画が約40,000点という規模で残されているためです。
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ドラケンスバーグがいだく太古の自然の景観を、野生動物の生活空間を、そしてわたしたちの祖先の記憶の世界を、6日間歩きまわりました。
日本から香港経由で南アフリカのヨハネスブルグへ、ヨハネスブルグから国内線でインド洋に面した港湾都市ダーバンへ。ダーバンから車で内陸へ向けて3時間半ほど車で走るとドラケンスバーグ山脈が眼前に迫ってきます。
南北に250kmの長さというのはかなりのもので、日本の北アルプスと南アルプスを足した長さに勝ります。今回のトレッキングでは北部ドラケンスバーグ、南部ドラケンスバーグのそれぞれのバックパッカーズロッジを拠点にして見所を巡りました。
一日目は世界第二位の落差を誇るトゥゲラフォールズへ。
滝のある断崖絶壁はとても登れないので車でずいぶん回り込みます。滝の始点を目指して2時間程度歩きます。ちょうど南アフリカの連休にあたり、パーティーのメンバーは多く、アフリカーナーや南アフリカ在住の中国人、インド人、ドイツ人、オーストラリア人など様々。登り方に国民性があらわれて興味深い。弁当を先走って食べだす中国人、猛スピードで登りそしてバテることを繰り返すインド人、日本の万歳のポーズが大好きでことあるごとに万歳を繰り返すオーストラリア人。初日に丁度いい、賑やかでのんびりとした雰囲気のトレッキングになりました。
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二日目は今回のツアーでもっともハードなカテドラルピーク登山。
カテドラルピークは「聖堂」の名のついた鋭鋒。日本では槍ヶ岳のような存在。朝は6時に出発し麓まで車で移動。車窓から遠目にピークが見えて、その鋭さに自信喪失ぎみ。(きつい山登りが気分でない場合はレソトへの一日ツアーにも参加できる。素朴なソト人の村に遊びに行って霊媒師に会ってみたり、岩絵を見に行ったり、これもなかなか魅力的です。)
カテドラルピークへの道は急登と平坦な道の繰り返し。グレイリーボックの群れを見つけたり、ケープバルチャーの旋回を眺めながらとにかく登ります。最後の方は急登ばかり。最後の最後は直登。ロッククライミングをしすぎて手の甲が人一倍厚くなったツワモノガイドに連れられてピークまでがんばる。カテドラルピークを登頂したならば遠慮なく自慢してください。
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この日、ロッジに帰ってくるころには総じて精魂尽きたという表情。ビールで乾杯するころにはいつの間にか参加者同士、ずいぶん仲良くなっているのに気が付きます。
後編へつづく
有冨