2012.04.28発 インドへトラに会いに行こう!! 8日間スペシャル

このGWに、インドへトラを見に行くツアーへ、添乗員として同行させていただきました。
御承知の通り、アフリカ大陸でトラを観察する事はできません。
諸説ありますが、トラのルーツは中国にあり、シルクロードを経て東アジアへ、そこからまた北や東に生息分布を広げて、各環境に適応して亜種ができたとされる説が有力です。
亜種として分類されている9種の内、すでに3種は絶滅しているとされ、残る6種も現在急速に数を減らしています。
インドには亜種の一つベンガルトラが生息し、30年以上前から、国を挙げてトラの保護活動に取り組んできていますが、それでも年々全体的には数を減らしています。
今回訪問したバンダウガル国立公園は、保護活動が上手く行っている公園の一つです。公園内の観光客が立ち入る事のできるエリアを制限したり、また昨年からは、サファリの回数を減らして、トラへのストレスを減らす試みも行われています。
そんなバンダウガル国立公園までのアクセスは、日本からはいくつかルートがありますが、最も一般的なのは、エアーインディアを使ったルートです。成田空港からはデリーまで直行便、関西空港からは、香港を経由して、デリーへ向かいます。
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搭乗された方はご存知の通り、機内食はカレー食一辺倒です(流石に朝は違いますが)!
ただ、それがすこぶる美味しく、個人的にはエアーインディア搭乗の際の大きな楽しみの一つです。もちろん、機内エンターテイメントも充実しています(特にインド映画!)。
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到着後は、翌早朝のフライトに備えて、空港近くのホテルで休息を取ります。
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翌朝、エアインディアの国内線で、ジャバルプールへ。
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空港からは、専用車で一路、バンダウガル国立公園のある町、を目指します(約3時間半)。
国立公園のメインゲートから車で5分圏内に位置する、TIGERDEN LODGEに到着です。
緑いっぱいの庭に、ホスピタリティーあふれるスタッフがお出迎えしてくれます。
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滞在中、早朝、夕方の2回(※現在公園のルールで、毎週水曜日は、午後は閉園)のゲームドライブを行います。ゲームドライブ以外の日中は、暑いので、基本的にはお部屋で過ごしていただいたり、ロッジに併設されているスパでマッサージを受けていただく事も可能です。
早朝、ゲートの開門待つサファリカーが勢揃いします。
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開門と同時にゲームドライブの開始です。
皆さんのお目当ては何と言っても、トラ!ですが、公園内は、トラの他にも、36種の哺乳類と、15種の爬虫類、250種の鳥に、120種の蝶が生息しています。
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今回は、ジャッカルやワイルドキャットを見たお客様もいらっしゃいました。
ヒョウもいるようですが、なかなかお目にかかる事はできないようです。
変わった所では、こんな鳥も。
どこにいるか分かりますでしょうか?
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実際この鳥の目の前(2メートル前)で、ひたすらガイドが指を指す方向を5分間くらい凝視して、ようやく見つける事ができました。ヨタカの一種(インドヨタカ)で、あまり高くない木の傍に居る事が多いようですが、走る車からそれを咄嗟に見つけるガイドの目の良さには脱帽です。
そして、お目当てのトラを見る事ができました!
威風堂々に道を闊歩する王者の足取りは、圧巻の一言です!
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トラに出会えた事は、ひとえに、シカやサルのアラームコール(トラ・ジャッカル・ヒョウなどの捕食獣に対する警戒の声)に用心深く耳を澄まし、トラの足あとを辿り、知識と経験に裏打ちされた勘を頼りにトラを探すドライバー達の技量によるものだと思います。
ケニアやタンザニアでのゲームドライブを体験された皆さまにも、また一味違った緊迫感の漂うインドのゲームドライブは、お勧めです!
冒頭でも書いた通り、野生のトラは年々数を減らしています。
トラが減る大きな原因の一つは、トラの皮や内臓(漢方薬として中国等に密輸されている)などの目的のための密猟です。公園を訪れたつい6ヶ月程前にも、この公園からそう遠くはない、カジュラホにある国立公園で、密猟のためにトラが15頭殺されてしまったそうです。
バンダウガル国立公園は、密猟に対する取り締まりは厳しく行っているためにその被害は少ないそうですが、この公園では、別の問題が起こっています。
それは、周辺に住む住民との摩擦です。
公園のエリア周辺には、バッファゾーン(緩衝地帯)が設けられていますが、そのエリア内に住む人達も多く、実際に公園の敷地内から2メートルくらいの高さの岩壁一枚を隔てて、すぐそばに民家のある場所も目にしました。
公園内のトラは、しばしば近隣の家や町に現れて、家畜や人を襲う事があり、被害に合った人達は、その復讐のために、毒などでトラを殺す事もあったそうですが、現在はトラによる被害があった時などは、国が補償金を出しているために、住民の不満は押えられているそうです。また、バッファゾーンや近隣に住む住人には、離れた場所へ移住をさせる政策(住民の納得できる補償金を付けて)も国によって進められています。
上記の様な様々な試みによって、この公園だけで見ると、トラの数は微増ですが増えていて、インド国内でトラを観察する事のできる可能性が高い公園の一つとなっています。
良好な公園環境と、優秀なドライバー達によって、今回も幸運にもトラを観察する事ができましたが、現在トラたちが置かれている環境を考えると、予断を許さない状況です。もしかすると近い将来に、本や映像の中でしか、彼らの偉大な姿を目にする事ができなくなるのかもしれません。
そんなトラや多様な生物達に会いにインドへ行きませんか?
6月からは、モンスーンのために、公園はクローズします。
10月から、また公園は開園しますが、弊社では、トラの見やすい時期(3月~5月)に絞ってツアーを設定しています。
来年は、また少しでもトラの数が増えている事を祈りつつ、トラツアーは、しばしのお休みとなります。
興味を持たれた方は、2013年度のツアーに是非ご参加ください!
荒木