2024.05.31発 南部アフリカ オーバーランド 31日間

2024.05.31発 南部アフリカ オーバーランド 31日間

アフリカ旅行を専門とする道祖神にとって、原点とも言うべきツアー。それが、アフリカをトラック1台で旅する、オーバーランドツアーでしょう。古くは、1932年にアフリカ大陸の最南端である南アフリカのアグラス岬からエジプトのカイロまで、トラック1台で8ヶ月かけて旅をしたというウェストン一家の旅が記録されています。そしてこれまで、長い年月を経て、多くの人々が色々なルートでオーバーランドに挑戦してきました。ある人はこう述べています。「オーバーランドの目的地は、他ならぬ、旅をするということである。」

2024年の道祖神のオーバーランドツアーは、2023年のルートを踏襲し、ジンバブエのビクトリアフォールズを起点に、ボツワナ、ナミビア、南アフリカという南部アフリカ4か国を巡る、総距離約5,200㎞の旅です。

道中には、野生動物との遭遇や、地元の人々との出会いがありました。また、トラックの故障などのトラブルもありました。こちらのレポートでは、今回の旅で見えたもの、その一端を主に写真を通してお伝えしたいと思います。

Day 1~Day 3:成田(日本)~ビクトリアフォールズ(ジンバブエ)

日本を出発し、まずはジンバブエのビクトリアフォールズへ。ここが今回のオーバーランドの出発地点です。元々、モシ・オ・トゥニャ(雷鳴轟く水煙)と地元の人々により呼ばれていた滝。それが、奴隷解放に向けて尽力した人物としても名高い、イギリス人探検家デービッド・リビングストンに西洋人として初めて発見されたのが1855年。水量が多い時期には、街のホテルからも高く巻き上がる水煙が観察できます。その景色を見ていると、遂にビクトリアフォールズに到着したのだ、という実感が沸いてきます。

街中のホテルからも、巻き上がる水煙が見える
街中のホテルからも、巻き上がる水煙が見える
これぞビクトリアフォールズ
これぞビクトリアフォールズ
滝に近づくと、まさに嵐
滝に近づくと、まさに嵐

Day 4~Day 8:カサネ(チョベ国立公園)~マウン~クワイ/モレミ動物保護区

ジンバブエのリビングストンを出発し、ボツワナとの国境を越え、チョベ国立公園への玄関口と知られるカサネを目指します。国境では、トラックのタイヤの消毒や旅行者の靴の消毒など、陸路国境越えならではの手続きが待っています。チョベ川のボートクルーズでは有名な象の川渡りにも遭遇。鼻を水面から突き出し、潜水艦の様に進む姿はチョベならでは。また、ボートクルーズの帰りには、綺麗な夕日を見ることができました。このカサネから、キャンピング生活が始まります。

靴の消毒中
靴の消毒中
これぞチョベ。ゾウの川渡り。
これぞチョベ。ゾウの川渡り。
沈むチョベの夕日。
沈むチョベの夕日。

カサネを離れ、かなり迂回しつつ、動物衛生検疫ポイントなどを通過しながら、マウンに移動します。ここでトラックを離れ、サファリカーに乗り換えて、モレミ動物保護区の足元、クワイに向かいます。

動物衛生検疫ポイント。こういったチェックポイントを時々通過します。
動物衛生検疫ポイント。こういったチェックポイントを時々通過します。
トラックの窓からはゾウの群れが。
トラックの窓からはゾウの群れが。
マウンでのキャンプ設営。
マウンでのキャンプ設営。
参加者が協力してテントを建てます。
参加者が協力してテントを建てます。

クワイでは、サファリ三昧の数日です。ヒョウ、ライオン、ゾウはもちろんのこと、リカオンやラーテル、アフリカン・ワイルド・キャットまで、本当に多くの動物を見ることができました。宿泊は、旅行者の滞在に合わせて大自然の中に事前にキャンプを設営する、常設型のキャンピングとなります。電気やインターネットなんてものは、もちろんありません。昼は燦々と輝く太陽の下、夜は満天の星空の下、大自然を満喫します。時々、キバシコサイチョウ等の野鳥や、さらにはゾウがキャンプ地を通過することも。これぞアフリカという体験をします。炊事や洗濯、シャワーのお湯の準備まで、クルーが一生懸命働いてくれました。

悠々と歩くゾウ。迫力があります。
悠々と歩くゾウ。迫力があります。
自信に満ちたようなライオンのオス。
自信に満ちたようなライオンのオス。
かなり探し回って、ようやく見つけたリカオン。
かなり探し回って、ようやく見つけたリカオン。
大自然の中のキャンピング。
大自然の中のキャンピング。
キャンプと言えば、焚火。毎日の様に楽しむことができます。
キャンプと言えば、焚火。毎日の様に楽しむことができます。

Day 9~Day 11:オカバンゴ・デルタ~シャカウェ(ボツワナ)~ルンドゥ(ナミビア)

今度は一転、小型飛行機でオカバンゴ・デルタの上を飛び、パン・ハンドルと言われる湿地の入り口のエリアに向かいます。空からオカバンゴ・デルタの壮大な景色を眺めることができました。そして、到着後、ハウスボートに宿泊しながら、オカバンゴ川を遡上していきます。ハウスボートから眺める景色は美しく、ビール片手に何時間も物思いに浸ける人、美しい景色を前に昼寝を楽しむ人、思い思いに時間を過ごします。

上空から眺めるオカバンゴ・デルタ。
上空から眺めるオカバンゴ・デルタ。
ハウスボートに到着。
ハウスボートに到着。
ボートからオカバンゴ川を望む。
ボートからオカバンゴ川を望む。

オカバンゴ川の旅を終え、ここで再度トラックと合流です。トラックのクルーとも5日ぶりの再会で、かつ、この数日がとても濃かっただけに、かなり懐かしい印象。ここから、まずはカラハリ西部に位置し、「砂漠のルーブル」との異名を持つツォデロ・ヒルズに向かい、サン人が描いたとされる岩絵を見学します。その後、ボツワナ最後のキャンプ地、シャカウェへ。脇を流れるオカバンゴ川にはワニの姿も。そして、ここのキャンプサイトから見た朝日が、この旅全体を通して、1番美しい朝日だったかもしれません。真っ赤に燃える様にオレンジ色に輝く朝日と、それを目の前に、テーブルを囲んで取る朝食。まさに最高の瞬間でした。

久々に再開したトラック、The Beast II。
久々に再開したトラック、The Beast II。
ツォディロの岩絵。
ツォディロの岩絵。
真っ赤に燃える様な朝日を前に囲む朝食。
真っ赤に燃える様な朝日を前に囲む朝食。

そしてナミビアへ入国します。歩いて国境を越え、まずは、ディヴンドゥの町に買い出しへ。その後、次のキャンプサイトのあるルンドゥへ移動します。ここでは夕方のサンセット・クルーズがお勧めです。雲一つない空の中、完全の形で夕日が彼方へ沈んでいきます。

いよいよナミビアに入国。
いよいよナミビアに入国。
ボートから見られる美しい夕日。
ボートから見られる美しい夕日。

Day 12~Day 14:エトーシャ国立公園

そのままナミビアを西に進み、次なる目的地は22,270㎢もの敷地面積を誇る、アフリカでも有数の動物保護区、エトーシャ国立公園です。ここに、キャンプ地を変えながら3泊します。ライオンのみならず、ヒョウやサイなど、多くの動物を見ることができました。特に夜間、キャンプサイト近くの水場でじっと待っていると、小さな子供を連れたサイの親子が水を飲みに現れました。サイの子供は比較的長く、2~4年程、母親と一緒に過ごすと言われています。こんな環境ですから、日々、命をかけて暮らしていることでしょう。暫くして、暗闇の中にすっと消えていく親子の姿を見て、自然と涙が溢れてきました。

ハネムーン旅行中か、ライオンのカップル。
ハネムーン旅行中か、ライオンのカップル。
何時間も見ていられそう。ゾウを眺める参加者。
何時間も見ていられそう。ゾウを眺める参加者。
水場に現れたサイ。暗くて写真に収めるのが難しい。
水場に現れたサイ。暗くて写真に収めるのが難しい。
エトーシャのキャンプサイト。
エトーシャのキャンプサイト。

Day 15~Day 16:オプウォ~エプパ

そこから、オチョやオプウォといった町を経由しつつ、ナミビアの北西、アンゴラとの国境にあるエプパまで進みます。オチョではスーパーなどを回って買い出しを行い、オプウォでは小高い丘で一泊しました。ここも夕日が美しく、オレンジ色に輝く夕日が大地や木々を照らしていました。そして、エプパでは、ヒンバの人々の村を訪問します。トウモロコシの粉や料理油などをお土産に持参します。同じくヒンバ人のガイドが村を案内し、ヒンバの伝統や文化、人々の暮らしを説明してくれました。

夕食前、団だんらんの時間。
夕食前、団だんらんの時間。
輝く夕日。
輝く夕日。
ヒンバの村へようこそ。
ヒンバの村へようこそ。
出迎えてくれた、村の方々。
出迎えてくれた、村の方々。
訪問中、近くでずっと遊んでいた女の子。
訪問中、近くでずっと遊んでいた女の子。

Day 17~Day 19:パームバッハ~メディーサ

ここから、ナミビアを一気に南下します。この日は調子よく走行中、突然、車体後部から異音が…。停車し確認すると、なんと車輪がバーストしていました。時には、こういうトラブルも起こりますが、みんなで協力して対処していくのがオーバーランドです。無事、タイヤ交換完了。

アクシデント発生。
アクシデント発生。
クルーのみならず、実は参加者の皆さんにも手伝っていただきました。
クルーのみならず、実は参加者の皆さんにも手伝っていただきました。
タイヤ交換完了。でも、ここに積むのが一番大変でした…。
タイヤ交換完了。でも、ここに積むのが一番大変でした…。

続いて、パームバッハに到着。ここにはライオン、ヒョウ、チーター等の大型肉食獣も生息していますが、砂漠に住むゾウ、砂漠ゾウや、アフリカでも有数のクロサイの一大生息地としても知られています。今回は残念ながら、砂漠ゾウは見られませんでした。しかし、キリンやスプリングボック、スティンボック等を度々見ることができましたし、さらに、サイを徒歩で追いかける、ライノ・トラッキングに挑戦することもできました。車を降り、大地に立って、動物たちと同じ目線でサイを見る。とてもワクワクする体験でした。また、中には2,000年を超えて生きるものもいるという植物、まさに生きた化石、ウェルウィッチアも観察することができました。

パームバッハのサファリカー。
パームバッハのサファリカー。
行く手にはサイ。
行く手にはサイ。
ウェルウィッチア。和名、奇想天外。
ウェルウィッチア。和名、奇想天外。

パームバッハを離れ、次の目的地、世界遺産トゥウェイフルフォンテーンへ。ここには、西暦1000年頃までに削られたとされる、岩石線画が残ります。キリンやゾウ、サイといった動物もさることながら、人間からライオンに変形するシャーマンを描いたとされるライオンマンが一番の見所でしょう。宿泊は、裏手の岩山から絶景が楽しめるキャンプサイトで。

世界遺産、トゥウェイフルフォンテーン。
世界遺産、トゥウェイフルフォンテーン。
ライオンに変身するシャーマンを描いたとされる、ライオンマン。
ライオンに変身するシャーマンを描いたとされる、ライオンマン。
この日のピクニック・ランチ。トゥウェイフルフォンテーンにて。
この日のピクニック・ランチ。トゥウェイフルフォンテーンにて。
岩山からの絶景。キャンプサイトも開放的で滞在も楽しめる。
岩山からの絶景。キャンプサイトも開放的で滞在も楽しめる。

Day 20~23:スワコップムント~セスリエム

ナミビアの南下を続け、いよいよナミブ砂漠観光の拠点、スワコップムントへ。ここでは、参加者の皆さんは、それぞれお好みで現地発着のオプショナル・ツアーに参加し、砂漠ならではのアクティビティを楽しみます。砂漠の小動物や昆虫を探すツアーから、砂漠を4WDで駆け抜けるドライビング・ツアー、そしてスカイ・ダイビングまで(天候に恵まれず、残念ながらスカイ・ダイビングはキャンセルになってしまいました)。なお、スワコップムント到着前には、20万頭以上のミナミ・アフリカ・オットセイが生息するというケープクロスも訪問しました。オットセイを間近で見ることができ、皆さん大興奮だった様子。

ひたすら続く道。トラックは今日も行く。
ひたすら続く道。トラックは今日も行く。
オットセイの大群。気持ちよさそうに寝ています。
オットセイの大群。気持ちよさそうに寝ています。
ボード・ウォークで眠る。愛らしい、の一言。
ボード・ウォークで眠る。愛らしい、の一言。
いよいよ、砂漠観光に出発。
いよいよ、砂漠観光に出発。
砂漠に住むヤモリ、パルマトゲッコー。
砂漠に住むヤモリ、パルマトゲッコー。

いよいよ、セスリエムに到着。ここを拠点に、最深部ソーサスフライを目指します。キャンプサイトにはオリックスの訪問もあり、また、木にはシャカイハタオリが巨大な巣を作っており、キャンプサイトにいるだけでも、砂漠滞在を堪能できてしまいます。しかし、やはりナミブ砂漠観光の一番のハイライトは何といっても最深部ソーサスフライでしょう。いつ来ても砂漠は美しい姿で出迎えてくれます。

ナミブ砂漠のキャンプサイト
ナミブ砂漠のキャンプサイト
巨大なシャカイハタオリの巣
巨大なシャカイハタオリの巣
キャンプサイトのゲスト、オリックス
キャンプサイトのゲスト、オリックス
砂丘をどんどんと登っていきます。
砂丘をどんどんと登っていきます。
ナミブ砂漠の遥か彼方に、朝日が顔を出す。
ナミブ砂漠の遥か彼方に、朝日が顔を出す。
デッドフレイへの入り口。ナミブ砂漠の主役と言えるでしょう。
デッドフレイへの入り口。ナミブ砂漠の主役と言えるでしょう。

Day 24~Day 25:ホバス(ナミビア)~ヴィオールズドリフト(南アフリカ)

そして、ついにナミビアでの最後のキャンプ地、ホバスに到着です。ホバスのすぐ近くには、アフリカ最大の渓谷、フィッシュ・リバー・キャニオンが位置しており、当然我々も渓谷を訪問しました。朝早かったせいか、渓谷には他の観光客の姿はなく、壮大な景色を自分達だけで楽しむことができました。あまりの雄大さに、ずっとここにいられそうな気さえしてきます。しかし、旅のゴールはもうすぐです。このまま、国境を通過し、いよいよ最後の訪問国、南アフリカに向かいます。

壮大なフィッシュ・リバー・キャニオンの景色
壮大なフィッシュ・リバー・キャニオンの景色
ついに南アフリカとの国境に到着した、The Beast II。
ついに南アフリカとの国境に到着した、The Beast II。
車体の色のせいで目立たないが、実はかなり埃まみれ。
車体の色のせいで目立たないが、実はかなり埃まみれ。

そして、ついに南アフリカに到着しました。オレンジ川沿いにあるキャンプサイトが、今回のオーバーランドツアーの最後のテント宿泊地となります。ここまでくると、テントの設営も撤去も流れる様にできるようになります。ヴィオールズドリフトでは、オレンジ川をカヌーで下るアクティビティも用意されています。しかし、添乗員の心に一番強く残っているのは、このキャンプサイトのシャワー・ルーム。掘っ建て小屋の様な簡素なシャワー棟ですが、そこから見られるのは、正に絵画のような景色。本当に素晴らしかったです。

最後のテント設営。手慣れたものです。
最後のテント設営。手慣れたものです。
オレンジ川をカヌーで下る。ゆっくりとのんびり進んでいきます。
オレンジ川をカヌーで下る。ゆっくりとのんびり進んでいきます。
シャワーから見える景色は、絵のような美しさでした。
シャワーから見える景色は、絵のような美しさでした。

Day 26~Day 31:シトラスダル~ケープタウン~日本

オリファンツ川の流れる渓谷沿いに位置し、南アフリカを代表する柑橘類の産地であるシトラスダルを経由し、旅の終着地、ケープタウンに向かいます。長旅を共にしたThe Beast IIですが、ナミビアを出た所で一度洗車し、また、南アフリカに入ってからは舗装路が続くので、すっかりリフレッシュした様子。それでも、ケープタウンの街中に着くと、やはり目立ちます。ケープタウンでは、もちろん喜望峰を訪問しました。こうして、一か月にも及ぶ長旅、「南部アフリカ オーバーランド 31日間 2024」は無事終了しました。色々なトラブルがありましたが、それらを乗り越えつつ、参加者全員で最終地点まで辿り着くことができたのは、ひとえに参加者の方々のご理解とご協力があったからだと思います。

通常、旅行には目的地があり、そこにある自然や文化遺産を訪問しながら、景色や風景、史跡等を見て楽しむことが多いかと思います。しかし、オーバーランドツアーは少し違い、トラック1台に乗り込み、参加者やクルーが協力しながら、時に困難を克服しながら旅を続けていきます。この旅の過程に、オーバーランドの意義があるのかもしれません。

風光明媚なシトラスダルの景色。
風光明媚なシトラスダルの景色。
ついにケープタウンに到着。約5,200㎞を走破した、The Beast II。
ついにケープタウンに到着。約5,200㎞を走破した、The Beast II。
憧れの、喜望峰。
憧れの、喜望峰。
ウォーターフロントの夕焼け。さようなら、ケープタウン。
ウォーターフロントの夕焼け。さようなら、ケープタウン。