2015年11月28日発『カラハリ・トランスフロンティア公園でサファリ 8日間』にご参加いただいた、日比野 倉氏 様からのツアーレポートです。
ガラガディ・トランスフロンティア公園
日本ではあまり知られていないボツワナと南アフリカに跨る越境公園の情報は、トラベルサイトでも非常に少なく、行ってみたい衝動にかられ出かけることにした。
ボツワナのカラハリという乾燥地帯で、行く前から、例年にない干ばつという情報が流れていたのと、SNSには、欧人の写真家がその公園で撮った痩せ細ったスプリングボックがアップされていた為、かなり過酷な状況になっているのかと想像して行った。ヨハネスブルグから国内線でアピントンという南アフリカ北西部の街まで行き、そこから公園入口のトゥヴィーリフィーレンまでの250キロ程を車で走る。南部アフリカは、直線の道があり、120キロ~100キロのスピードで走りぬけて行く。人家はほとんど無く、プライベートファームが広がっている。2時間半ほどで公園入口に到着した。
ここで入園手続きとボツワナの入国手続きを行う。ゲムズボックの像が前に立つ建物の中で事務的な手続きを行うが、入園日、時刻、名前、パスボート№、公園側の管理№等を記入し、入国手続きは、カードに記入したが、パスポートチェックは無く、ボツワナ入国のスタンプが押印されることはなかった。
宿泊するロッジの迎えの車が来て、20キロ程公園内を進んだ小高い丘の上にロッジまでゲームドライブをしながらゆっくりと進んだ。時折、ゲムズボックが道を横切って走っていく。路は白っぽい砂地で赤っぽい砂丘が連なり、アカシアが点在する景色が続く
日没近くに、ロッジのある丘の下で、ライオンが群れで移動していた。こんなに近くにいるとは・・・・やはり、ロッジのSNSサイトにアップされていた画像通りであった。砂地のプライベートロードを上って行くと、ロッジの玄関前に到着。赤っぽい砂地の丘に建てられたロッジTa Shebube(タ・シブベ)。ロッジのマネージャーは、初老っぽく見えるノルウェー人の小太りの女性でヨタヨタと歩いていて出迎えてくれた。ロッジのレクチャーがあり、夜は一人で部屋から出ないようにと、窓は開けて寝ないように、昼間でもロッジのテラスから砂地へ降りて写真を撮ったりしないように注意があった。近くに動物がいるから、ロッジ敷地内に入ってくる為、特に肉食獣が危険であるからという理由だ。
夕食は20時頃から、前菜、メイン(肉料理)、デザートのコース料理で味付けは、わるくはなかった。部屋に戻り、室内灯のスイッチを入れる。LED電球を使用しているから、結構明るい。室内だけでなく、テラスにも設備されていた。しばらくすると、外からライオンの声が聞こえ出した。窓からライトを照らしてみたが、居場所はわからない。ライトを照らすと声がしなくなるのだが、しばらくするとまた鳴き声が聞こえてきた。
2日目
レセプションのテラスから日の出を眺め、シリアルとコーヒーで軽い食事をしてから、ゲームドライブに出かけた。低い太陽光の中、くっきりと月が映える青空のもと一頭のオスライオンを見かけた。ゲムズボック、ブルーワイルドビースト、スプリングボックなどの草食動物は頻繁に見ることができる。ドライバーが、小高い丘の上を歩いていたカラカルを発見してくれたが、写真として収めるには遠かった。
アカシアの木が点在するプライベートロードを走行していた時、ミミズクを発見。東アフリカでは見たことがなかった。その後木の又部分に座っているアフリカン・ワイルドキャットをドライバーが見つけた。南部アフリカでの方が見かける機会は、東アフリカよりはあると聞いていたが、今回初めてアフリカで見た。その後も他の木にいるのを2回見ることができたのは収穫だった。
この公園は、点在するアカシアの木とカラハリの赤っぽい砂丘が連なる地形だから、動物は発見し易いがオフロードはできないので、動物までの距離がある場合は、かなりの望遠レンズでないと思うような撮影はしにくい。国境沿いのメイン道かプライベートロードを行き来して観察するから行ける場所は限られてくる。ただ、ソーラーシステムで地下水をくみ上げる水場が作られているので、そこに集まる動物を観察できる為、朝、夕なら、ライオンはやってくるし、ジャッカルも時々見ることができた。
太陽が高くなり、かなり暑くなってきたので、ロッジに戻りパスタのブランチを摂り、日中は、シャワーを浴びて、のんびりと過ごした。シャワーは、プロパンガスが設置されているので、いつも熱いお湯が出るのでありがたい。ときおり強い風が吹くとカラハリの砂が部屋に舞い込んでくるし、竜巻も発生する。
午後からは、ボツワナのハポローネから来た3人のゲストと同乗のゲームドライブとなった。ジャパニーズと言うと一人が、「シンジ、カガワ」と名前を出した。ヨーロッパでもアフリカでも知られている日本人は、プロのサッカー選手だ。イタリアで中田が活躍した頃は、エジプトで「ナカ~ダ、ナカ~ダ」と子供に声をかけられたことがあった。首相の名前なんて誰も知られていないのが事実だ。
午後は、車から降りることが可能なベンチとトイレのある休憩所までメイン道を走った。
周囲の地面には、巣穴らしき穴が多数あるのだが、ミーヤキャットもジリスも出てきそうにないのでアカシアの木に止まっている鳥を撮影。鳥の種類も多い公園である。
3日目
5時過ぎに起きてレセプションへ行くと、前の砂地に新しい動物の足跡があり、スタッフの説明によるとジャネットということだった。夜中に色々な動物がやってくるようで、ウサギやジャッカル、ライオンはよく来ているようだ。今日も日の出を眺めて、軽い食事をしてゲームドライブに出る。
雲が、発生してきたが、雨が降るような雲ではなかった。砂地の道を走り、砂丘の峰から東の方向を眺めるが何も動く物は見えなかった。今回、カラハリに来た目的は、ミーヤキャットを撮りたいという目的があり、出会える機会を待っていた。
太陽が出てくると、体を温めに巣穴から出でくるらしいので、そのタイミングで観察していれば機会はありそうだったが、この日は雲が太陽を隠して薄日だった。
プライベートロードをゆっくり探しながら行くと3頭のミーヤキャットを発見。
初めて見る野生のミーヤキャット、巣穴から出てきたばかりのようだ。薄曇りで太陽光が弱いので思ったような撮影はできなかった。
水場に行くと、ダチョウが来ていて水を飲んでいた。ダチョウの水飲みシーンは、なかなか見ることはできない。南部アフリカの公園には、人工的水場が作られているので、そこに行けば動物の観察がし易いが、不自然といえばそうなのだが。
メイン道を北へ移動中、遠く離れたアカシアの木陰にチーターが休んでいたのを見つけた。そばにプライベートロードが通っている場所だった。
ドライバーが、その場所に行く為に、砂地の部分を直進しようとしたので、オフロードはやめようと言って遠回りさせ、チーターのいる場所にゆっくり近づいた。
しばらくすると、遠くを歩いていたスプリングボックに視線を向けると、立ち上がり速足になりハンティングに向かった。ドライバーは、追いかける為に車を走らせようとしたが、ハンティングを邪魔したくなかったので車を止めさせた。遠くにあるアカシアの木の下に舞い上がる砂煙が上がったのを見て、チーターがハンティングをしたことを確認した。
ケニアのマサイ・マラでは、日中、チーターを発見すると多数の車が追いかけまわす為、チーターのハンティングチャンスを失うことになり、生息数にも影響することになってしまった。ゆっくりとチーターがハンティングをした場所に車を移動させてみると、アカシアの木陰でスプリングボックに齧り付いていた。
午後のゲームドライブは、日差しが強く暑いので17時前頃に出かけた。プライベートロードを移動中、丸い白い物を見つけたので車を止めて、よく見るとダチョウの卵だった。その後、水場へ向かうとライオンの群れが来ていた。ここへ来れば朝夕は、ライオンが来ている可能性は高い。
4日目
この日も空には雲が増えていた。
ドライバーに昨日ミーヤキャットの居た場所に、もう一度行ってほしいと伝えて出かけた。
太陽光は雲に隠れてかんばしくないが、昨日行った場所に行くと、ミーヤキャットは巣穴から出てきて活動し始めたところだった。穴を掘り、音を立ててオオヤスデを食べている捕食シーンを見ることができた。
トイレとベンチのある休憩スペースに向う途中で、道の脇に一頭のオスライオンが、寝ていたが、このライオンが、しばらくしてから起きて休憩スペースに来るとは思わなかった。休憩スペースに着いて、コーヒータイムにしようとテーブルにカップとポットを準備しようとした時、先ほど見たオスライオンが、こちらに向かって歩いてきた。ドライバーが急いで離れようと言うので、50~60メートル離れた他のベンチに移動したらオスライオンは、テーブルの下に潜り込んで寝てしまった。どうやら日陰を探していたらしい。この場所から離れる時、車でライオンの傍に行くが、車の音に動ずることなくしっかり寝ていた。
午後からは、ドイツ人のゲスト5名と同乗してのゲームドライブとなった。ロッジからプライベートロードに入り少し走ると、一頭のオスライオンが寝ていた。しばらくすると、起き上がり砂丘の峰に上がっていった。昼寝を邪魔したようだ。
メイン道をベンチのある休憩スペースの方へ車を走らせていったが、ゲムズボック、スプリングボックはよく見かけた。ドライバーは、ヒョウがいないかとアカシアの木を探していたが、姿を見ることは無く、陽が沈んでからロッジへ戻った。
5日目
5時過ぎにレセプション前のテラスに行くと、ドイツ人のゲストたちが、太陽の昇る方向を見ていた。遠くに雨を降らしている雲が見えたが、雲はこちらへは来そうにもなかった。ロッジを出てメイン道を水場の方向へ行くと、期待通りライオンがいた。
この公園は、自分の車でドライブしている南アフリカから来たと思われる白人系をよく見かけるし、撮影をしている人もちらほら見かけた。アジア系の旅行者は、全く見ることはなかった。プライベートロードには、一般車は入れないことになっているが、気にせず入ってくるので、向かい合わせになると前に進めない時もあった。
ライオンを見てから、公園の南アフリカ領域へ向かう道に入っていくが、なかなか動物は見当たらなかった。赤い砂地に草の生えた景観が続く道を1時間程走ったが、これといって動物は見当たらず、元に引き返した。メイン道を戻っていくと草食動物は、よく見かけた。ロッジへ戻る途中、陽が高くなって暑かったが、一頭のミーヤキャットが砂丘の峰に立っていた。
ロッジへ戻り食事を摂ってから、ドイツ人のゲストたちと公園入り口へゆっくりと向かった。彼らは、別のグループと一緒に他の場所に移動すると言っていた。私は、アピントンへ戻る為、出園手続きをして迎えの車を待った。来た時と同じドライバーがやってきて、また、ほぼ直線の道をアピントン空港まで走り、夕刻の便でヨハネスブルグへ戻った。
トランスフロンティア公園は、カラハリの風が作った赤っぽく連なる砂丘と点在するアカシアの景観に動物が生息している。東アフリカのサバンナとは違った風景の中で哺乳類や鳥類の観察ができる場所だ。南部アフリカでは、ソーラーシステムで地下水を汲み上げる人工的水場が作られているので、朝夕は、そこに動物が集まってくる。
■カラハリ・トランスフロンティア公園でサファリ 8日間
■南アフリカに行くツアー・旅行
■ボツワナに行くツアー・旅行
■サファリ・動物がテーマのツアー・旅行