150万頭とも200万頭とも言われるヌーの大群は、ケニアのマサイ・マラとタンザニアのセレンゲティの間を1年かけて1周、草を求めて大移動を行います。そして8月頃、ヌーがマサイ・マラに移動してくるこの時期に行われるのが、有名なヌーの川渡りです。道祖神では、今年もこの時期にマサイ・マラでサファリに特化したツアーを実施しました。果たしてツアー催行中、ヌーの大群はどこにいるのでしょうか?川渡りは見られるのでしょうか?肉食獣やビッグ5達は姿を見せてくれるのでしょうか?
ナイロビ~マサイ・マラ国立保護区
あいにくの曇り空のなか、サファリ旅行はスタート。それでも、大地溝帯に差し掛かると、少し明るくなり、綺麗な景色を見ることができました。足元には、イワハイラックスの姿も。マサイ・マラに到着すると、早速午後からサファリを開始。ゾウのファミリーと遭遇し、至近距離で写真を撮る事ができました。



この日は、鳥類を多く見かけました。アフリカハゲコウの集団に始まり、カエルか何かをハンティング中の(そしてどこか悲しそうな)アカガオジサイチョウ、ダチョウ、どこにいても絵になるライラックニシブッポウソウ等です。そして、さらにサファリの終了間際に、ライオンのファミリーを見つけることもできました。体の斑点からして、まだ小さな子供もいる様です。残念ながら熟睡中で、起き上がることはありませんでしたが、明日以降に期待です。




まずは、マラ川へ
サファリ2日目。今日は早朝からサファリを行います。何もないサバンナから、朝日がひっそりと浮かんできました。この日はヌーの川渡りで有名な、マラ川を中心にサファリを行います。キリンやシマウマ等の草食動物を横目にサバンナを進むと、昨晩狩ったというヌーを食すオス3頭と、メス複数頭のライオンのグループに遭遇しました。運よく、顔を上げるオスや歩き回るメスの写真を撮影することができました。


一方、川に到着するも、ヌーの影はなく、カバや野鳥がいるのみでした。ちょっと前に同じくマサイ・マラでサファリをしたというサファリ・ガイドは、その時は川渡りをしっかり見られたという事なので、ヌーのいくつかのグループが川を渡って行った直後だったのかもしれません。従って、この日はヌーを諦め、その他の動物を探します。すると、まだ小さい子供のキリンや、子連れのトピのファミリーを見ることができました。



ヌーを追いかけ、セレンゲティ国立公園(タンザニア)ボーダーへ
マラ川周辺にヌーの姿はなく、マサイ・マラを南下し、タンザニアのセレンゲティ国立公園とのボーダーに向かいます。キリンやアフリカクロトキ等を横目に進むと、ガイドから木の上を見る様にとの合図。視線を上に送ると、樹上にはインパラのメスか、比較的直近にハンティングされたと思しきアンテロープの死骸が残されていました。ハンターはヒョウであることは間違いないので、ヒョウを探して広大なサバンナでのサファリを始めます。そして、セレンゲティ国立公園とのボーダー付近に到着すると、ヒョウではありませんが、遂に見つけました。今回の主役であるヌーの群れです。恐らく、マラ川での川渡りを終え、セレンゲティに向かおうとする群れの一部でしょう。どこにいるのかと思っていましたが、ようやく、その一部を捉えることができました。ただ、近くに川はないので、残念ながら川渡りは期待できず、その場を後にします。
そして、その後も、ヒョウをメインのターゲットに据え、サファリを続けます。すると、やはり諦めないと良いことがあるものです。一念岩をも通すと言わんばかりに、木の上で休むヒョウを見ることができました。我々が見た獲物をハンティングした個体ではないかもしれませんが、ターゲットの動物を間近で見ることができました。




マラ西部からマラ東部へ
これまで、マサイ・マラ西部のロッジに宿泊していましたが、この日、マサイ・マラ東部のマラ川沿いに位置するテント型ロッジに移動します。高台の美しい景色ともお別れをし、一転、川沿いのロッジに宿泊します。



サファリを開始すると、早速ライオンのファミリーを発見。オスはいませんでしたが、小さな子供を連れています。うまく車を先回りさせることができたので、目の前をライオンのファミリーが歩いていきました。そして、サファリを続けると、やはり小さな子供を連れたゾウのファミリーにも遭遇しました。やはり、子供は可愛いですね。そして、泥水に浸かりつつスヤスヤ眠るハイエナにも遭遇。



午後のサファリでも、しっかり動物を見ることができました。木陰で休むヒョウ。水を飲むキリン。そして、夕方頃には、木の下で仲良さそうに眠るライオンのオス2頭と遭遇しました。兄弟でしょうか。




狙いをチーターへ
サファリを開始し、まずは木に留まるアオサギや川でハンティング中のアフリカトキコウを発見。暫く進むと、トピの親子とも遭遇しました。昨日に引き続き、子供をしっかりと見ることができました。そして、その先を行くと、サバンナで遠くを見つめている一頭のメス・ライオンと遭遇。付近に他のライオンや草食動物などはいませんでしたが、どこか一点を見つめているようでした。




ただ、今回のサファリでまだしっかり見られていない動物がいました。それがチーターです。その為、午後はチーターを探してサバンナを疾走します。すると、午後遅めに、ようやくチーターの元へ辿り着きました。それも、5頭のグループです。さらに、道沿いで休んでいた為、かなりの至近距離から観察することができました。実は、このあと動き出すかな、という期待もあり暫く粘っていたのですが、結局夕方になってもこの場を離れることはありませんでした。チーターをたっぷり観察し、今日のサファリは終了。ロッジに到着すると、サバンナの向こうに、燃えるような夕日が落ちていきました。





再びマラ川とその支流へ
早朝からサファリをスタート。すると、まずは珍しいことに、陸上を歩くカバを発見。早朝のサファリだからこそ見られるもので、早起きした甲斐がありました。その後も、ゾウのファミリーやライオンを見つつ、マラ川に向かいます。川に到着しますが、やはり、ヌーの姿はありませんでした。後から聞いた話ですが、この2週前まで、そしてこの翌週、マラ川でヌーの川渡りが見られたということでした。従って、今年のツアーは運悪く、ヌーのグループが川を渡りセレンゲティ側に移動し、また別のグループが川を越えにやってくる間の時期と重なってしまったのかもしれません。残念ですが、それが自然や野生動物というものなのかと思います。




気を取り直し、サファリを続けます。昼食はサバンナでのピクニック・ランチ。ここまでは普段通りと言って良いでしょう。しかし、この日はまさにお弁当を食べ始めたところ、1台のサファリカーがやって来て、「ライオンがこっちに来るぞ」と教えてくれました。すると僅か数十秒後、メスのライオンが1頭100mくらい先を歩いているではありませんか。最初は通り過ぎるのを待とうと思っていましたが、間髪を入れず、ライオンが2頭、3頭、4頭とどんどん集まってきました。さらにオス・ライオンも登場した為、昼食どころではありません。全員サファリカーに戻り、ライオン達が通り過ぎるのを待ちました。ライオンは暫くすると、また歩き出し、サバンナの向こうへ消えていきました。




午後、マラ川の支流に向かい、ヌーを探しますが、やはりこの辺りにも来ていませんでした。前述の様に、今年のツアーは、移動するヌーの群れの間にあたってしまった様で、ヌーの川渡りを目撃するチャンスはありませんでした。しかし、ライオンは毎日の様に見られましたし、ヒョウも近い距離から、何の障害物もない状態で写真を撮影することができました。さらにチーターに至っては、数メートルの距離から、1時間以上に渡って、のんびりと観察することができました。そういう意味では、良いサファリだったと言えるのかもしれません。
最後に、マラ川の支流で最後のサファリをしました。そこで、私たちへの餞別か、キリンのファミリーが一直線になって、我々の目の前で、テクテクと川を渡って行くではありませんが。キリンの川渡りとでも言えるでしょうか、珍しい光景です。
本当に、サファリでは予想のできないことが沢山起こります。時として、残念なことや、期待外れのこともありますが、それらを含めて、あるがままの自然や野生動物の姿を楽しむのが、サファリなのかと思います。またいつか、是非戻ってきたいと思う旅でした。
