2024.08.23発 ヌー大移動の季節 マサイ・マラで徹底サファリ 10日間

150万頭とも200万頭とも言われるヌーの大群は、ケニアのマサイ・マラとタンザニアのセレンゲティの間を1年かけて1周、草を求めて大移動を行います。そして8月頃、ヌーがマサイ・マラに移動してくるこの時期に行われるのが、有名なヌーの川渡りです。道祖神では、今年もこの時期にマサイ・マラでサファリに特化したツアーを実施しました。果たしてツアー催行中、ヌーの大群はどこにいるのでしょうか?川渡りは見られるのでしょうか?肉食獣やビッグ5達は姿を見せてくれるのでしょうか?

ナイロビ~マサイ・マラ国立保護区

あいにくの曇り空のなか、サファリ旅行はスタート。それでも、大地溝帯に差し掛かると、少し明るくなり、綺麗な景色を見ることができました。足元には、イワハイラックスの姿も。マサイ・マラに到着すると、早速午後からサファリを開始。ゾウのファミリーと遭遇し、至近距離で写真を撮る事ができました。

大地溝帯の景色。
大地溝帯の景色。
早速出会った、ゾウのファミリー
早速出会った、ゾウのファミリー
かなり近い所から撮ることができました。
かなり近い所から撮ることができました。

この日は、鳥類を多く見かけました。アフリカハゲコウの集団に始まり、カエルか何かをハンティング中の(そしてどこか悲しそうな)アカガオジサイチョウ、ダチョウ、どこにいても絵になるライラックニシブッポウソウ等です。そして、さらにサファリの終了間際に、ライオンのファミリーを見つけることもできました。体の斑点からして、まだ小さな子供もいる様です。残念ながら熟睡中で、起き上がることはありませんでしたが、明日以降に期待です。

いつ見ても不気味な、アフリカハゲコウ
いつ見ても不気味な、アフリカハゲコウ
悲しそうですが、そうではないはず。ハンティング中のアカガオジサイチョウ。
悲しそうですが、そうではないはず。ハンティング中のアカガオジサイチョウ。
いつ見ても美しい、ライラックニシブッポウソウ。
いつ見ても美しい、ライラックニシブッポウソウ。
ぐっすりお休み中のライオン達。
ぐっすりお休み中のライオン達。

まずは、マラ川へ

サファリ2日目。今日は早朝からサファリを行います。何もないサバンナから、朝日がひっそりと浮かんできました。この日はヌーの川渡りで有名な、マラ川を中心にサファリを行います。キリンやシマウマ等の草食動物を横目にサバンナを進むと、昨晩狩ったというヌーを食すオス3頭と、メス複数頭のライオンのグループに遭遇しました。運よく、顔を上げるオスや歩き回るメスの写真を撮影することができました。

サバンナに浮かぶ、まん丸の朝日。
サバンナに浮かぶ、まん丸の朝日。
貫禄のあるライオンのオスとメス。
貫禄のあるライオンのオスとメス。

一方、川に到着するも、ヌーの影はなく、カバや野鳥がいるのみでした。ちょっと前に同じくマサイ・マラでサファリをしたというサファリ・ガイドは、その時は川渡りをしっかり見られたという事なので、ヌーのいくつかのグループが川を渡って行った直後だったのかもしれません。従って、この日はヌーを諦め、その他の動物を探します。すると、まだ小さい子供のキリンや、子連れのトピのファミリーを見ることができました。

マラ川でみつけたカバ。
マラ川でみつけたカバ。
まだまだ小さい、キリンの子供。
まだまだ小さい、キリンの子供。
薄暗くなって、移動中のトピのファミリー。
薄暗くなって、移動中のトピのファミリー。

ヌーを追いかけ、セレンゲティ国立公園(タンザニア)ボーダーへ

マラ川周辺にヌーの姿はなく、マサイ・マラを南下し、タンザニアのセレンゲティ国立公園とのボーダーに向かいます。キリンやアフリカクロトキ等を横目に進むと、ガイドから木の上を見る様にとの合図。視線を上に送ると、樹上にはインパラのメスか、比較的直近にハンティングされたと思しきアンテロープの死骸が残されていました。ハンターはヒョウであることは間違いないので、ヒョウを探して広大なサバンナでのサファリを始めます。そして、セレンゲティ国立公園とのボーダー付近に到着すると、ヒョウではありませんが、遂に見つけました。今回の主役であるヌーの群れです。恐らく、マラ川での川渡りを終え、セレンゲティに向かおうとする群れの一部でしょう。どこにいるのかと思っていましたが、ようやく、その一部を捉えることができました。ただ、近くに川はないので、残念ながら川渡りは期待できず、その場を後にします。

そして、その後も、ヒョウをメインのターゲットに据え、サファリを続けます。すると、やはり諦めないと良いことがあるものです。一念岩をも通すと言わんばかりに、木の上で休むヒョウを見ることができました。我々が見た獲物をハンティングした個体ではないかもしれませんが、ターゲットの動物を間近で見ることができました。

朝日を待ちわびていたかのように佇むキリンたち。
朝日を待ちわびていたかのように佇むキリンたち。
ごくごく最近ヒョウにハンティングされてしまった様です。
ごくごく最近ヒョウにハンティングされてしまった様です。
ようやく追いついたヌーの群れ。
ようやく追いついたヌーの群れ。
すやすや眠るヒョウ。気持ちよさそうです。
すやすや眠るヒョウ。気持ちよさそうです。

マラ西部からマラ東部へ

これまで、マサイ・マラ西部のロッジに宿泊していましたが、この日、マサイ・マラ東部のマラ川沿いに位置するテント型ロッジに移動します。高台の美しい景色ともお別れをし、一転、川沿いのロッジに宿泊します。

ロッジからの景色。双眼鏡で平原にいるライオンも見られたそう。
ロッジからの景色。双眼鏡で平原にいるライオンも見られたそう。
ロッジからマラ川を望む。
ロッジからマラ川を望む。
川にはカバの姿も。
川にはカバの姿も。

サファリを開始すると、早速ライオンのファミリーを発見。オスはいませんでしたが、小さな子供を連れています。うまく車を先回りさせることができたので、目の前をライオンのファミリーが歩いていきました。そして、サファリを続けると、やはり小さな子供を連れたゾウのファミリーにも遭遇しました。やはり、子供は可愛いですね。そして、泥水に浸かりつつスヤスヤ眠るハイエナにも遭遇。

子ライオン。メスのライオン達の後を追っていきます。
子ライオン。メスのライオン達の後を追っていきます。
子ゾウ。こちらもメスのゾウ達の後をしっかり追っていきます。
子ゾウ。こちらもメスのゾウ達の後をしっかり追っていきます。
ハイエナも、こういう姿は可愛いです。
ハイエナも、こういう姿は可愛いです。

午後のサファリでも、しっかり動物を見ることができました。木陰で休むヒョウ。水を飲むキリン。そして、夕方頃には、木の下で仲良さそうに眠るライオンのオス2頭と遭遇しました。兄弟でしょうか。

日陰で休むヒョウ。近くの木には仕留めた獲物が置かれていました。
日陰で休むヒョウ。近くの木には仕留めた獲物が置かれていました。
キリンの水飲み。かなり周囲を警戒しながら、恐る恐る水を飲んでいました。
キリンの水飲み。かなり周囲を警戒しながら、恐る恐る水を飲んでいました。
オス・ライオンの昼寝。豪快な寝相です。
オス・ライオンの昼寝。豪快な寝相です。
もう日は傾いていますが、動き出す気配はありません。
もう日は傾いていますが、動き出す気配はありません。

狙いをチーターへ

サファリを開始し、まずは木に留まるアオサギや川でハンティング中のアフリカトキコウを発見。暫く進むと、トピの親子とも遭遇しました。昨日に引き続き、子供をしっかりと見ることができました。そして、その先を行くと、サバンナで遠くを見つめている一頭のメス・ライオンと遭遇。付近に他のライオンや草食動物などはいませんでしたが、どこか一点を見つめているようでした。

木の上で堂々と構えるアオサギ。
木の上で堂々と構えるアオサギ。
顔いっぱい水に浸かりそうなアフリカトキコウ。
顔いっぱい水に浸かりそうなアフリカトキコウ。
仲睦まじいトピの親子。
仲睦まじいトピの親子。
キリっとした表情のメス・ライオン。ハエにたかられています…。
キリっとした表情のメス・ライオン。ハエにたかられています…。

ただ、今回のサファリでまだしっかり見られていない動物がいました。それがチーターです。その為、午後はチーターを探してサバンナを疾走します。すると、午後遅めに、ようやくチーターの元へ辿り着きました。それも、5頭のグループです。さらに、道沿いで休んでいた為、かなりの至近距離から観察することができました。実は、このあと動き出すかな、という期待もあり暫く粘っていたのですが、結局夕方になってもこの場を離れることはありませんでした。チーターをたっぷり観察し、今日のサファリは終了。ロッジに到着すると、サバンナの向こうに、燃えるような夕日が落ちていきました。

ようやく出会えたチーター達。
ようやく出会えたチーター達。
暑いのか車の陰に入ります。
暑いのか車の陰に入ります。
陸上最速なだけあり、かなり締まった体をしています。
陸上最速なだけあり、かなり締まった体をしています。
キョロキョロと周りを伺うチーター。
キョロキョロと周りを伺うチーター。
日が暮れる前に、サファリは終了となります。
日が暮れる前に、サファリは終了となります。

再びマラ川とその支流へ

早朝からサファリをスタート。すると、まずは珍しいことに、陸上を歩くカバを発見。早朝のサファリだからこそ見られるもので、早起きした甲斐がありました。その後も、ゾウのファミリーやライオンを見つつ、マラ川に向かいます。川に到着しますが、やはり、ヌーの姿はありませんでした。後から聞いた話ですが、この2週前まで、そしてこの翌週、マラ川でヌーの川渡りが見られたということでした。従って、今年のツアーは運悪く、ヌーのグループが川を渡りセレンゲティ側に移動し、また別のグループが川を越えにやってくる間の時期と重なってしまったのかもしれません。残念ですが、それが自然や野生動物というものなのかと思います。

早朝のカバ。川に戻る途中でしょう。
早朝のカバ。川に戻る途中でしょう。
子ゾウ。一生懸命、草を食みます。
子ゾウ。一生懸命、草を食みます。
こちらを見るメス・ライオン。昨日と違い、ハエはおらずきれい。
こちらを見るメス・ライオン。昨日と違い、ハエはおらずきれい。
マラ川。カバやクロコダイルが見られました。
マラ川。カバやクロコダイルが見られました。

気を取り直し、サファリを続けます。昼食はサバンナでのピクニック・ランチ。ここまでは普段通りと言って良いでしょう。しかし、この日はまさにお弁当を食べ始めたところ、1台のサファリカーがやって来て、「ライオンがこっちに来るぞ」と教えてくれました。すると僅か数十秒後、メスのライオンが1頭100mくらい先を歩いているではありませんか。最初は通り過ぎるのを待とうと思っていましたが、間髪を入れず、ライオンが2頭、3頭、4頭とどんどん集まってきました。さらにオス・ライオンも登場した為、昼食どころではありません。全員サファリカーに戻り、ライオン達が通り過ぎるのを待ちました。ライオンは暫くすると、また歩き出し、サバンナの向こうへ消えていきました。

サバンナでのピクニック。最高に贅沢な時間です。
サバンナでのピクニック。最高に贅沢な時間です。
この後、向こうにライオンが…。
この後、向こうにライオンが…。
通り過ぎたライオンを少し車で追いかけました。
通り過ぎたライオンを少し車で追いかけました。
オス・ライオン。近くで見るとやはり迫力があります。
オス・ライオン。近くで見るとやはり迫力があります。

午後、マラ川の支流に向かい、ヌーを探しますが、やはりこの辺りにも来ていませんでした。前述の様に、今年のツアーは、移動するヌーの群れの間にあたってしまった様で、ヌーの川渡りを目撃するチャンスはありませんでした。しかし、ライオンは毎日の様に見られましたし、ヒョウも近い距離から、何の障害物もない状態で写真を撮影することができました。さらにチーターに至っては、数メートルの距離から、1時間以上に渡って、のんびりと観察することができました。そういう意味では、良いサファリだったと言えるのかもしれません。

最後に、マラ川の支流で最後のサファリをしました。そこで、私たちへの餞別か、キリンのファミリーが一直線になって、我々の目の前で、テクテクと川を渡って行くではありませんが。キリンの川渡りとでも言えるでしょうか、珍しい光景です。

本当に、サファリでは予想のできないことが沢山起こります。時として、残念なことや、期待外れのこともありますが、それらを含めて、あるがままの自然や野生動物の姿を楽しむのが、サファリなのかと思います。またいつか、是非戻ってきたいと思う旅でした。

珍しい、キリンの川渡り。
珍しい、キリンの川渡り。

■ヌー大移動の季節 マサイ・マラで徹底サファリ 10日間

2025.02.01発 山形豪さんと行く 緑の季節のマシャトゥ 自然写真撮影ツアー 9日間

毎年恒例となっている2月のボツワナ、緑の季節のマシャトゥ動物保護区自然写真撮影ツアー、今年は1日〜9日の日程での開催となった。去年のボツワナは大旱魃で大きな被害が出ていたが、今年の雨季は一転、かつてないほどの大雨が降り続いたおかげでマシャトゥ全域は緑で溢れ、普段は枯れている川も水で一杯だった。

雨季は単に雨が降るだけではなく、水が突然増えることによる環境の激変が起きる時期だ。最初の大雨直後であればハマビシの黄色い花が辺り一面咲き乱れていたはずなのだが、今回はタイミングが2週間ほど遅かった。その代わりバッタなどの昆虫が大発生したタイミングだったため、それらを狙って数多くの鳥たちがやってきていた。特にシュバシコウ、アオハシコウ、アフリカハゲコウといったコウノトリ類が物凄い数いたし、アシナガワシのような比較的珍しい猛禽も撮ることができた。いずれも渡り鳥なので、乾季にマシャトゥで彼らを見ることはない。

緑が多いということは草食獣たちにとっては子育てをするのに絶好の条件なわけで、インパラやヌーの多くが生まれて間もない赤子を連れていた。そして肉食獣にとっては捕らえやすい獲物が突然増えることを意味する。普段ライオンやチーターのおこぼれを狙うか、小鳥や爬虫類などを捕らえているセグロジャッカルまでもがインパラの子を追いかけていた。彼らがあのように本気で走る姿を見たのは初めてだった。

マシャトゥは大型肉食獣の数が多いことでも知られており、今回もライオン、ヒョウ、チーター、ブチハイエナは問題なく撮ることができた。特にヒョウに関しては、誰がどこに縄張りを作っているかまで常時把握されているので、毎回複数の個体に出会うことができる(今回は4頭だった)。マシャトゥに通い始めて今年で15年目になるが、ヒョウに出会えなかったことは一度もない。一方チーターはテリトリーではなくホームレンジと呼ばれる広大なエリア内を放浪しながら暮らすのでいつも出会えるわけではないが、首尾良く4頭の子を含むチーター家族に、それも美しい光の中で遭遇した。

マシャトゥはいつ行っても実に楽しい場所だが、特に雨季は動物たちのコンディションが良く、活性の高さも際立っているので撮影条件は非常によいと常々感じている。

雨が良く降り緑豊かなマシャトゥの川辺
雨が良く降り緑豊かなマシャトゥの川辺
マシャトゥはアフリカゾウの数がとても多いことでも有名
マシャトゥはアフリカゾウの数がとても多いことでも有名
はるばるヨーロッパから渡ってきたシュバシコウ
はるばるヨーロッパから渡ってきたシュバシコウ
生まれて間もないインパラの子供がたくさんいた
生まれて間もないインパラの子供がたくさんいた
インパラの子を全力で追うセグロジャッカル
インパラの子を全力で追うセグロジャッカル
夕暮れ後に出会ったライオン親子
夕暮れ後に出会ったライオン親子
巨大なマシャトゥの木でくつろぐ若いオスのヒョウ
巨大なマシャトゥの木でくつろぐ若いオスのヒョウ
遠くにいる草食獣が気になるヒョウ
遠くにいる草食獣が気になるヒョウ
早朝、寝ぐらに戻る前のブチハイエナ
早朝、寝ぐらに戻る前のブチハイエナ
日没直前、インパラを貪るチーター親子
日没直前、インパラを貪るチーター親子
大サバンナを見下ろしながら酒を飲むのもマシャトゥの楽しみ方の一つ
大サバンナを見下ろしながら酒を飲むのもマシャトゥの楽しみ方の一つ
バオバブの木の前での集合写真
バオバブの木の前での集合写真

■自然写真家 山形 豪さんと行く 自然写真撮影ツアー

2024.11.16発 ケニア、ジンバブエ、ナミビア、南アフリカ周遊ハネムーン

2024年11月16日発のハネムーン手配旅行でケニア、ジンバブエ、ナミビア、南アフリカに行かれた、ポニョ様からのレポートです。

私はかねてから、「アフリカで朝日と夕日が見てみたい」、「大地を感じたい」、「砂漠の静けさを感じたい」と思っており、新婚旅行の候補にアフリカを希望していた。旦那の友人が2名も(それもハネムーンで!) 道祖神さんにお世話になったと聞き、リモートで打ち合わせをすることに。休める時期、日数を相談しつつ、見たい動物や行きたい場所の話までみっちりと。気づけばアフリカ以外考えられなくなっていた。夫婦の希望を詰め込んだ旅行を企画して頂き、今でも思い返す貴重なハネムーンとなった。

1日目

関空からナイロビ空港へ。長時間のフライトに身構えていたが、エミレーツ航空の手厚いサービスのおかげで快適に過ごすことが出来た。飛行機の天井に星空が登場する遊び心に旅のテンションは高まる。経由地のドバイには4時間ほど滞在できたので、空港内を散策。1億ドルが当たる宝くじに惹かれたが、一口500ドルと聞き断念……。どなたか挑戦してほしい。

ナイロビ空港では、フェスタスさんとジョンさんが出迎えてくれた。心なしか強く感じる日差し、沢山の車と人でアフリカに到着したことを実感。お二人は英語と日本語を交えて、ホテルまでの道中でケニアのことを紹介して下さった。途中、スーパーマーケットによってケニア産のお酒やチョコレートを購入。ウガリの元になる粉の大きな袋を見たり、惣菜コーナーを覗いたりと早くも現地の食文化に触れることができた。オレ・セレニ・ホテルは非常に清潔で食事も美味しく、快適だった。館内のインテリアが気に入り、この旅のお土産探しのヒントにしよう、と夫婦で盛り上がった。

空港のターミナル。想像以上に都会的。狩りをするチーターのモニュメントがお出迎え。
空港のターミナル。想像以上に都会的。狩りをするチーターのモニュメントがお出迎え。
ホテルからの粋なサプライズ
ホテルからの粋なサプライズ

2日目

ジョンさんのお迎えでマサイ・マラ国立保護区へ。長時間のドライブも、町の様子やサファリのことを話していたらそれほど気にならない。空港からホテルまでの景色から一変して、いわゆるアフリカっぽい景色(牛を追う子供、カラフルな建物、路上に溢れる人など)が見られケニアの多彩さに気づかされる。

車からの景色。カラフルな家とごちゃっと積まれたタイヤ。
車からの景色。カラフルな家とごちゃっと積まれたタイヤ。

途中のトイレ休憩で立ち寄ったお土産屋で気に入ったものを見つけ、価格交渉に挑戦。日ごろ値段が付いたものしか買わないので何が正解か分からない。悪戦苦闘しながらお会計を終えると結構な時間が経っていた。夕方にサファリが控えているのだから時間管理をしなくてはいけなかったな、と反省。

保護区に入ってすぐにシマウマやガゼルに遭遇し、「とうとうサファリに来たんだ!」と感動。と同時に、無心で草を食べる彼らにとってはこれが日常なんだな、と思うなど興奮と冷静さが同居する不思議な感覚を持った。サファリの草むらは日本と同じ匂いがした。ロッジで昼食後、少し休憩して夕方のサファリへ。大本命のチーター(しかも家族)を見つけて、出来るだけ近づいてくれるジョンさん。我々しかいないため、見たい動物は飽きるまで見せてくれる。車の天井を持ちあげてイスの上から望遠鏡で覗くと、毛づくろいをしている様子が良く分かる。その後はライオンも夕日も見られて大満足の1日だった。

毛づくろい中のチーター家族
毛づくろい中のチーター家族

3日目

この日はお弁当を持って夕暮れまでみっちりサファリを楽しんだ。せっかくだからBIG5を制覇しようとなり、ヒョウを探しに。ヒョウは木の上にいることが多く見つけるのが難しいそうだが、子供が母親とじゃれて木の下から川辺あたりを行ったり来たりしていて見つけることができた。チーターよりも大柄で肉厚な、セクシーな印象。ゾウの親子の水浴びやヌーの大移動で有名な川も案内してもらった。川にはワニがいて、大移動でやってきたヌーを食べるそう。1匹食べれば1年越せると聞いてワニの生命力の高さに驚いた。お昼は木の下にテーブルを出して、お弁当を広げた。サファリに足を着けられる日が来るなんて、と興奮。そして何よりも、ジョンさんと仕事や家族について話した時間がとても有意義で忘れがたいものだった。ケニアに今ある価値観、それに対するジョンさんの考えを聞いてどう感じたか話して、また話が広がって、とガイドとお客の関係を超えて人として繋がることができたように感じた。広大なサバンナを見ながらこんな話をしてるなんて人生って感じだな~と思ったのをよく覚えている。

ライオンを囲むジープ
ライオンを囲むジープ
青空の下でランチタイム
青空の下でランチタイム

午後はクロサイを狙って移動。道中で水牛の群れにも遭遇した。クロサイは従来の慎重な性格と、乱獲によって数が減っているため滅多に見られないそう。無事目撃したのだが、サイ自体をあまり見た記憶がないからか見つけた感動よりも、あれがクロサイかという新たな知識を得た感が強かったのも個人的には面白かった。

凛々しい雄ライオン
凛々しい雄ライオン

夜はロッジのバーの方が勧めてくれたダワー(スワヒリ語で薬という意味らしい)というカクテルを頂く。レモンと蜂蜜をウォッカで割ったもので、この旅で一番お気に入りのドリンクとなった。

4日目

今日でサファリは最後。あわよくばチーターが走る姿を見て、ライオンの鳴き声が聞きたいと伝えるも、狩りは早朝や夜中が多く、ライオンが吠えるのも縄張りの主張のためなので夜中のことが多く難しいだろうね、とのこと。少々落ち込むも期待するのはタダだしな、と思っていたところジョンさんのおかげでどちらも奇跡的に遭遇することができた。昨日とは別の場所にいたチーター親子を見つけ、見やすい位置に車を停車。何度見ても美しいモデルのような小さな頭、すらっとした肢体。草むらにごろりと横たわる様子は一見可愛くも見えるが、ひとたび目が合えば印象はガラリと変わる。射すくめられるような迫力があるのだ。しなやかに変化するチーターの表情や動きに目を奪われ観察をしていると、どうやら2匹が移動するらしいぞ、今から狩りをするかもしれない、と言われ後を追う事に。慎重に獲物との距離を縮める2匹。こちらも注意深く見ていないと見失ってしまうほど草木に溶け込んでいる。パッと飛び出して獲物へ一直線――残念ながら失敗に終わった。意外だったのが、チーターも狩りに失敗するのだという事。インパラは歩幅も大きく、十分な距離があれば逃げ切れるようだった。あきらめが早いのにも驚いたが、これは体力を温存するためとか。効率良く無駄なく生きている姿が印象的だった。肉食動物は草食動物の群れを観察して、年老いたものや病気があるものに狙いを定めるとジョンさんから聞いた。命を次世代につないでいくことが最も大事な野生動物において、老い先短いもの・繁殖能力の低いものから狙われ死んでいくことは、群れにいる他の命を助ける、意味のある死でもあるんだな、と感じた。ただ生きてるだけに見えた動物たちの世界が合理的な秩序の上に成り立っていると知って、自分の世界が少し広がった気がした。

奇跡的にチーターが目の前に来てくれた!
奇跡的にチーターが目の前に来てくれた!
射すくめられる迫力があるチーター
射すくめられる迫力があるチーター
寝転がるとかわいい
寝転がるとかわいい

5日目

初日のホテルに向けて朝から移動。ティピリクワニ・マラ・キャンプとはお別れ。食事はどれも美味しく(メインをケニア料理か西洋料理どちらにするか選べたのも良かった)、最終日まで飽きることはなかったし、部屋も隅々まで快適で想像以上にリラックスできた。帰り道の路上には子供が多くいるように感じられ、進学率や出生率について話した。妊娠、家の手伝い、周りの友達につられて通学を辞めてしまうなどで、大学進学率は1%程度だそうだ。一方で大学に通って都市部で働く人々は段々と子供を持たなくなっているらしい。日本と違うところと似ているところ。ケニアはこれからどんな運命を辿るんだろう、と思った。ホテルに到着すると疲れていたのかすぐに寝てしまった。

一番お気に入りのフライドチキン
一番お気に入りのフライドチキン

6日目

早朝にホテルを出発し空港へ。ジョンさんとの別れは意外とあっさりで拍子抜けしたが、これが旅だよな、と思った。ここからヴィクトリアフォールズ空港へ。到着してもなかなか人が降りず後方席の我々も座って待つことに。清掃員が来て掃除が始まったので、海外は乗客が降りる前に掃除を済ませるんだな、効率が良いのか悪いのか分からないなと思っていたところ、急に添乗員に名前を呼ばれ訳も分からず飛行機を降りた。よくよく話を聞くと、我々が載っていた飛行機はケープタウンが最終目的地でヴィクトリアフォールズ空港では4名しか降りないそうだ。そんな電車みたいに途中下車する前提の飛行機があるなんて、と人生で初めての出来事に驚くとともに、とてつもない海外旅行っぽさにわくわくした。早く仕事を終えたいのであろう税関職員のプレッシャーも気にならないほど新鮮で面白い出来事だった。

その後は送迎車に乗ってホテルへ。非常に高級感のある素敵なホテルで、ユーモラスなマネージャーがチャーミングだった。お祝いのシャンパンも冷蔵庫の飲み物も全部飲んで良いよ!という太っ腹ぶりに感動。ヴィクトリアフォールズから立ち上る水煙をベランダから眺めながら身支度をして滝へ。久々の歩いての観光、運動に充実感を覚えつつ、徐々に火照る身体。滝のゴゴゴという音を聞きながらビュースポットを巡り、所々で滝の水蒸気を浴びる。昨日までとは違うアドベンチャーにときめいて、残り2つの滝も見に行こうね、と約束した。滝を見た後はホテル裏にあるアートマーケットを散策したり、観光客でにぎわう店で夕食を取ったりした。夕食を注文した後に大雨と雷が落ちて店が停電。いつ復旧するかも分からないと言われ、ろうそくの炎の中で食事をすることなったのも、停電でも作れるメニューに変更してくれと言われたのも面白くて海外旅行の醍醐味が凝縮された一日だった。

徒歩15分くらいでヴィクトリアフォールズに到着
徒歩15分くらいでヴィクトリアフォールズに到着
とてつもない水しぶきの量。虹も見られた!
とてつもない水しぶきの量。虹も見られた!

7日目

朝食後に昨日のアートマーケットをふらふらしていたら、運命的な出会いをしたので思い切って絵を購入。玄関に飾って毎日眺めるほど気に入っている。飛行機でウィントフックへ。これまでの2か国よりも建物や道路が整っている印象。ホテルはこの旅の中で一番質素でザ・ホステルという感じ。ホテル近くなら歩いても大丈夫とのことだったので、近くのスーパーへ。虫のお菓子が売っていて驚いた。土曜日は午後からお酒の販売が出来なくなるらしく、泣く泣く購入を断念。ホステルに併設されたレストランでラグビーの試合を観戦しながら夕食を取ったが、気づかぬうちにエスカルゴを頼んで完食していた……。

スーパーで見つけた虫のおかし
スーパーで見つけた虫のおかし
気づかず食べていたカタツムリ
気づかず食べていたカタツムリ

8日目

ナミブ砂漠のガイドとロビーで待ち合わせ、出発。ダメ元で有名な高台にあるホテルを見たいと言ったら立ち寄ってくれた。レンガ造りの精巧な建物が多く、全体的にヨーロッパ色が強いと思っていたら旧ドイツ領とのこと。占領国の特性が出るのは興味深いと思う反面、生活の隅々にまで根付くほどの支配だったのかと思うと複雑な気持ちに。ロッジまでの道中は後半から映画でしか見たことがないような岩と砂ばかりの道で、アップダウンも激しく、ジェットコースターのようなスリルを味わえる。(乗り物酔いのしやすい方は注意)

高台のホテルからの眺め
高台のホテルからの眺め

ロッジは砂漠にあるとは思えないほどお洒落で快適。空調もWi-Fiも問題ない。水道をひねった直後は水が熱くて驚いたがしばらくすれば冷水に変わる。日中は40℃以上になるので出歩けないが、ホテルのプールで泳ぐのもまた一興。砂漠のプール!なんて贅沢!と思いながら出たり入ったりを繰り返した。夕方ごろから夕日見物へ。ガイドに砂丘のふもとまで連れていってもらう。初めて登る砂丘の感覚に四苦八苦しながら、展望の良さそうな場所を目指す。日の入りの方角的に地平線に沈む夕日は見られなかったが、砂丘を自由に探索できただけで大満足。少ししっとりした赤茶色の砂。砂嵐。風で出来た波打つような砂の模様。憧れていたものが沢山溢れていて胸がいっぱいだった。ロッジに戻って日没の空を観察してから夕食を食べた。時間とともに変わる空の色がどれも美しかった。夕食はビュッフェで、色々な動物の肉をその場でBBQ調理してくれる。虫のおかずもあって恐々挑戦。味は……ぜひ現地でお確かめください。砂漠に面したテラス席をゲットしたので、満点の星を見ながらのディナーとなった。砂漠の夜は冷えるのでフリースとダウンベストが欠かせなかった。

砂漠のプール。極楽。
砂漠のプール。極楽。
夕日で赤く染まるナミブ砂漠
夕日で赤く染まるナミブ砂漠
日没と夜の間の空
日没と夜の間の空
右下が虫のおかず。味は……。
右下が虫のおかず。味は……。

9日目

日の出を見るために早朝にデッドフライへ。朝日に染まる砂丘がピンク色に見えた。デッドツリーという立ったまま枯れている木を鑑賞。時間が経っても立ち続ける木もさることながら、全ての音が消え去ったような静かな空間に圧倒された。木からは香木のような良い匂いがした。いくつか砂丘を見学したあと、デューン45に登った。砂に足を取られないように足元を見ながら歩いていると、気づけばかなり高いところまで登っていた。歩幅程度の広さしかない道なき道、勿論手すりもなく踏み外せば砂の斜面を滑り落ちるかもしれない。一気に怖くなって固まる私。降りたくても方向転換ができない。震える気持ちを奮い立たせて、90度回転しながら景色を目の端に捉える。本当に砂しかないんだ。あと半回転。ビューっと吹き付ける風の音が聞こえる。へっぴり腰でなんとか地上に戻ってきた。砂丘を乗り越えて反対側から戻って来る人もいて、私にもう少し勇気があれば、と残念に思った。

朝日に染まる砂丘。
朝日に染まる砂丘。
デッドツリー。音が消えたかのように思える静かな場所。
デッドツリー。音が消えたかのように思える静かな場所。
風でできた砂の模様
風でできた砂の模様
デューン45。遠くに見える黒い点が人。
デューン45。遠くに見える黒い点が人。

ウィントフックへ戻る間にガイドのMCと同い年だと判明し、一気に打ち解けた。もっと早くから自己開示したらよかったな、と反省しつつ気づけば夕食を一緒に取ることに。観光客に一番人気というレストランに連れて行ってくれるという。動物のはく製や昔の地図などが所狭しと並んでいて、さながらテーマパークのよう。料理はサラダにBBQ(シマウマやワニなど変わり種あり)もハンバーガーもなんでもあった。まずは生ビールで乾杯。仕事や恋愛のことを話して、文化や当たり前の違いに驚いて……学生時代の留学生との飲み会を思い出す楽しいひと時だった。ビール1杯くらいならこの国では飲酒運転にならない、という彼の言葉を信じてホテルに送ってもらった。別れは寂しかったが、それ以上に良い出会いに恵まれたことが嬉しかった。

10日目

最後の目的地ケープタウンへ出発。あいにくの強風でテーブルマウンテンまでのケーブルカーが休止しており、ウォーターフロントとタウンの散策に変更した。ウォーターフロントにはお洒落なレストランやお土産屋が立ち並び、今までとは違う都会的な雰囲気に新鮮さを覚える。肉料理に飽きていた私は、念願のシーフードと白ワインのマリアージュに早くも夢見心地。港に泊まるヨットや美術館を楽しんだ後は、ボカープ地区まで散歩した。街中も比較的安全そうだったが、所々緊張感のあるエリアもあったため人通りの多い大通りを選んで歩く。ボカープ地区には色とりどりの壁をした家が立ち並んでいて、どこで写真を撮っても絵になった。パレスチナ問題に対する主張が書かれた壁もあり、しばし国際問題に思いを馳せる。ウォーターフロントは夜間も出歩けたので、夜景を見ながら久々の夜遊びを楽しんだ。

ウォーターフロントの入り口。美しい街並みにテンションアップ。
ウォーターフロントの入り口。美しい街並みにテンションアップ。
色とりどりの壁
色とりどりの壁
夜景も綺麗
夜景も綺麗

11日目

最終日は、ケープ半島を堪能できる乗り合いツアーに申し込んだ。我々以外の3組は、偶然にも全員イギリスから来ているとのことだった。アットホームな雰囲気に日本のバスツアーとは異なる空気を感じながら、近くの老夫婦とおしゃべり。日本のことやハネムーンのことを話したのだが、むこうの方々のつかず離れずのコミュニケーション能力にはつくづく感心した。お互いの人となりを知って、楽しいツアーにしようとする姿勢がとても新鮮だったし、実際ツアーは楽しくて別れる時は少し寂しくなってしまった。私もあんな風になれたらな、と思いながら日本で生活しているほど衝撃的だった。喜望峰からは美しい海が臨めて大航海時代に思いを馳せられたし、砂浜でのびのびと過ごすケープペンギンはとても愛らしかった。極め付けはカーステンガーデンボッシュ国立植物園だ。とにかく広大で見どころが沢山あり、全然時間が足りなかった。国花であるプロテアの花が見たくて、園内を縦横無尽に駆け巡ったのも良い思い出だ。時間が許せば1日中散策できたと思う。大充実の半日ツアーを終え、最後の晩餐を楽しんだ。

喜望峰の先端
喜望峰の先端
見飽きることがないケープペンギン
見飽きることがないケープペンギン
ずっと見たかったプロテア
ずっと見たかったプロテア

翌日は日本へ向けて出発。空港へ向かうタクシーからは綺麗なテーブルマウンテンが見えた。

生命の神秘もアドベンチャーもリゾートも海外らしさも感じられるアフリカ。一生忘れられないハネムーンになったのは言うまでもなく、必ずまた訪れると決意するほどの魅力にあふれた大地だった。

2024.05.31発 南部アフリカ オーバーランド 31日間

アフリカ旅行を専門とする道祖神にとって、原点とも言うべきツアー。それが、アフリカをトラック1台で旅する、オーバーランドツアーでしょう。古くは、1932年にアフリカ大陸の最南端である南アフリカのアグラス岬からエジプトのカイロまで、トラック1台で8ヶ月かけて旅をしたというウェストン一家の旅が記録されています。そしてこれまで、長い年月を経て、多くの人々が色々なルートでオーバーランドに挑戦してきました。ある人はこう述べています。「オーバーランドの目的地は、他ならぬ、旅をするということである。」

2024年の道祖神のオーバーランドツアーは、2023年のルートを踏襲し、ジンバブエのビクトリアフォールズを起点に、ボツワナ、ナミビア、南アフリカという南部アフリカ4か国を巡る、総距離約5,200㎞の旅です。

道中には、野生動物との遭遇や、地元の人々との出会いがありました。また、トラックの故障などのトラブルもありました。こちらのレポートでは、今回の旅で見えたもの、その一端を主に写真を通してお伝えしたいと思います。

Day 1~Day 3:成田(日本)~ビクトリアフォールズ(ジンバブエ)

日本を出発し、まずはジンバブエのビクトリアフォールズへ。ここが今回のオーバーランドの出発地点です。元々、モシ・オ・トゥニャ(雷鳴轟く水煙)と地元の人々により呼ばれていた滝。それが、奴隷解放に向けて尽力した人物としても名高い、イギリス人探検家デービッド・リビングストンに西洋人として初めて発見されたのが1855年。水量が多い時期には、街のホテルからも高く巻き上がる水煙が観察できます。その景色を見ていると、遂にビクトリアフォールズに到着したのだ、という実感が沸いてきます。

街中のホテルからも、巻き上がる水煙が見える
街中のホテルからも、巻き上がる水煙が見える
これぞビクトリアフォールズ
これぞビクトリアフォールズ
滝に近づくと、まさに嵐
滝に近づくと、まさに嵐

Day 4~Day 8:カサネ(チョベ国立公園)~マウン~クワイ/モレミ動物保護区

ジンバブエのリビングストンを出発し、ボツワナとの国境を越え、チョベ国立公園への玄関口と知られるカサネを目指します。国境では、トラックのタイヤの消毒や旅行者の靴の消毒など、陸路国境越えならではの手続きが待っています。チョベ川のボートクルーズでは有名な象の川渡りにも遭遇。鼻を水面から突き出し、潜水艦の様に進む姿はチョベならでは。また、ボートクルーズの帰りには、綺麗な夕日を見ることができました。このカサネから、キャンピング生活が始まります。

靴の消毒中
靴の消毒中
これぞチョベ。ゾウの川渡り。
これぞチョベ。ゾウの川渡り。
沈むチョベの夕日。
沈むチョベの夕日。

カサネを離れ、かなり迂回しつつ、動物衛生検疫ポイントなどを通過しながら、マウンに移動します。ここでトラックを離れ、サファリカーに乗り換えて、モレミ動物保護区の足元、クワイに向かいます。

動物衛生検疫ポイント。こういったチェックポイントを時々通過します。
動物衛生検疫ポイント。こういったチェックポイントを時々通過します。
トラックの窓からはゾウの群れが。
トラックの窓からはゾウの群れが。
マウンでのキャンプ設営。
マウンでのキャンプ設営。
参加者が協力してテントを建てます。
参加者が協力してテントを建てます。

クワイでは、サファリ三昧の数日です。ヒョウ、ライオン、ゾウはもちろんのこと、リカオンやラーテル、アフリカン・ワイルド・キャットまで、本当に多くの動物を見ることができました。宿泊は、旅行者の滞在に合わせて大自然の中に事前にキャンプを設営する、常設型のキャンピングとなります。電気やインターネットなんてものは、もちろんありません。昼は燦々と輝く太陽の下、夜は満天の星空の下、大自然を満喫します。時々、キバシコサイチョウ等の野鳥や、さらにはゾウがキャンプ地を通過することも。これぞアフリカという体験をします。炊事や洗濯、シャワーのお湯の準備まで、クルーが一生懸命働いてくれました。

悠々と歩くゾウ。迫力があります。
悠々と歩くゾウ。迫力があります。
自信に満ちたようなライオンのオス。
自信に満ちたようなライオンのオス。
かなり探し回って、ようやく見つけたリカオン。
かなり探し回って、ようやく見つけたリカオン。
大自然の中のキャンピング。
大自然の中のキャンピング。
キャンプと言えば、焚火。毎日の様に楽しむことができます。
キャンプと言えば、焚火。毎日の様に楽しむことができます。

Day 9~Day 11:オカバンゴ・デルタ~シャカウェ(ボツワナ)~ルンドゥ(ナミビア)

今度は一転、小型飛行機でオカバンゴ・デルタの上を飛び、パン・ハンドルと言われる湿地の入り口のエリアに向かいます。空からオカバンゴ・デルタの壮大な景色を眺めることができました。そして、到着後、ハウスボートに宿泊しながら、オカバンゴ川を遡上していきます。ハウスボートから眺める景色は美しく、ビール片手に何時間も物思いに浸ける人、美しい景色を前に昼寝を楽しむ人、思い思いに時間を過ごします。

上空から眺めるオカバンゴ・デルタ。
上空から眺めるオカバンゴ・デルタ。
ハウスボートに到着。
ハウスボートに到着。
ボートからオカバンゴ川を望む。
ボートからオカバンゴ川を望む。

オカバンゴ川の旅を終え、ここで再度トラックと合流です。トラックのクルーとも5日ぶりの再会で、かつ、この数日がとても濃かっただけに、かなり懐かしい印象。ここから、まずはカラハリ西部に位置し、「砂漠のルーブル」との異名を持つツォデロ・ヒルズに向かい、サン人が描いたとされる岩絵を見学します。その後、ボツワナ最後のキャンプ地、シャカウェへ。脇を流れるオカバンゴ川にはワニの姿も。そして、ここのキャンプサイトから見た朝日が、この旅全体を通して、1番美しい朝日だったかもしれません。真っ赤に燃える様にオレンジ色に輝く朝日と、それを目の前に、テーブルを囲んで取る朝食。まさに最高の瞬間でした。

久々に再開したトラック、The Beast II。
久々に再開したトラック、The Beast II。
ツォディロの岩絵。
ツォディロの岩絵。
真っ赤に燃える様な朝日を前に囲む朝食。
真っ赤に燃える様な朝日を前に囲む朝食。

そしてナミビアへ入国します。歩いて国境を越え、まずは、ディヴンドゥの町に買い出しへ。その後、次のキャンプサイトのあるルンドゥへ移動します。ここでは夕方のサンセット・クルーズがお勧めです。雲一つない空の中、完全の形で夕日が彼方へ沈んでいきます。

いよいよナミビアに入国。
いよいよナミビアに入国。
ボートから見られる美しい夕日。
ボートから見られる美しい夕日。

Day 12~Day 14:エトーシャ国立公園

そのままナミビアを西に進み、次なる目的地は22,270㎢もの敷地面積を誇る、アフリカでも有数の動物保護区、エトーシャ国立公園です。ここに、キャンプ地を変えながら3泊します。ライオンのみならず、ヒョウやサイなど、多くの動物を見ることができました。特に夜間、キャンプサイト近くの水場でじっと待っていると、小さな子供を連れたサイの親子が水を飲みに現れました。サイの子供は比較的長く、2~4年程、母親と一緒に過ごすと言われています。こんな環境ですから、日々、命をかけて暮らしていることでしょう。暫くして、暗闇の中にすっと消えていく親子の姿を見て、自然と涙が溢れてきました。

ハネムーン旅行中か、ライオンのカップル。
ハネムーン旅行中か、ライオンのカップル。
何時間も見ていられそう。ゾウを眺める参加者。
何時間も見ていられそう。ゾウを眺める参加者。
水場に現れたサイ。暗くて写真に収めるのが難しい。
水場に現れたサイ。暗くて写真に収めるのが難しい。
エトーシャのキャンプサイト。
エトーシャのキャンプサイト。

Day 15~Day 16:オプウォ~エプパ

そこから、オチョやオプウォといった町を経由しつつ、ナミビアの北西、アンゴラとの国境にあるエプパまで進みます。オチョではスーパーなどを回って買い出しを行い、オプウォでは小高い丘で一泊しました。ここも夕日が美しく、オレンジ色に輝く夕日が大地や木々を照らしていました。そして、エプパでは、ヒンバの人々の村を訪問します。トウモロコシの粉や料理油などをお土産に持参します。同じくヒンバ人のガイドが村を案内し、ヒンバの伝統や文化、人々の暮らしを説明してくれました。

夕食前、団だんらんの時間。
夕食前、団だんらんの時間。
輝く夕日。
輝く夕日。
ヒンバの村へようこそ。
ヒンバの村へようこそ。
出迎えてくれた、村の方々。
出迎えてくれた、村の方々。
訪問中、近くでずっと遊んでいた女の子。
訪問中、近くでずっと遊んでいた女の子。

Day 17~Day 19:パームバッハ~メディーサ

ここから、ナミビアを一気に南下します。この日は調子よく走行中、突然、車体後部から異音が…。停車し確認すると、なんと車輪がバーストしていました。時には、こういうトラブルも起こりますが、みんなで協力して対処していくのがオーバーランドです。無事、タイヤ交換完了。

アクシデント発生。
アクシデント発生。
クルーのみならず、実は参加者の皆さんにも手伝っていただきました。
クルーのみならず、実は参加者の皆さんにも手伝っていただきました。
タイヤ交換完了。でも、ここに積むのが一番大変でした…。
タイヤ交換完了。でも、ここに積むのが一番大変でした…。

続いて、パームバッハに到着。ここにはライオン、ヒョウ、チーター等の大型肉食獣も生息していますが、砂漠に住むゾウ、砂漠ゾウや、アフリカでも有数のクロサイの一大生息地としても知られています。今回は残念ながら、砂漠ゾウは見られませんでした。しかし、キリンやスプリングボック、スティンボック等を度々見ることができましたし、さらに、サイを徒歩で追いかける、ライノ・トラッキングに挑戦することもできました。車を降り、大地に立って、動物たちと同じ目線でサイを見る。とてもワクワクする体験でした。また、中には2,000年を超えて生きるものもいるという植物、まさに生きた化石、ウェルウィッチアも観察することができました。

パームバッハのサファリカー。
パームバッハのサファリカー。
行く手にはサイ。
行く手にはサイ。
ウェルウィッチア。和名、奇想天外。
ウェルウィッチア。和名、奇想天外。

パームバッハを離れ、次の目的地、世界遺産トゥウェイフルフォンテーンへ。ここには、西暦1000年頃までに削られたとされる、岩石線画が残ります。キリンやゾウ、サイといった動物もさることながら、人間からライオンに変形するシャーマンを描いたとされるライオンマンが一番の見所でしょう。宿泊は、裏手の岩山から絶景が楽しめるキャンプサイトで。

世界遺産、トゥウェイフルフォンテーン。
世界遺産、トゥウェイフルフォンテーン。
ライオンに変身するシャーマンを描いたとされる、ライオンマン。
ライオンに変身するシャーマンを描いたとされる、ライオンマン。
この日のピクニック・ランチ。トゥウェイフルフォンテーンにて。
この日のピクニック・ランチ。トゥウェイフルフォンテーンにて。
岩山からの絶景。キャンプサイトも開放的で滞在も楽しめる。
岩山からの絶景。キャンプサイトも開放的で滞在も楽しめる。

Day 20~23:スワコップムント~セスリエム

ナミビアの南下を続け、いよいよナミブ砂漠観光の拠点、スワコップムントへ。ここでは、参加者の皆さんは、それぞれお好みで現地発着のオプショナル・ツアーに参加し、砂漠ならではのアクティビティを楽しみます。砂漠の小動物や昆虫を探すツアーから、砂漠を4WDで駆け抜けるドライビング・ツアー、そしてスカイ・ダイビングまで(天候に恵まれず、残念ながらスカイ・ダイビングはキャンセルになってしまいました)。なお、スワコップムント到着前には、20万頭以上のミナミ・アフリカ・オットセイが生息するというケープクロスも訪問しました。オットセイを間近で見ることができ、皆さん大興奮だった様子。

ひたすら続く道。トラックは今日も行く。
ひたすら続く道。トラックは今日も行く。
オットセイの大群。気持ちよさそうに寝ています。
オットセイの大群。気持ちよさそうに寝ています。
ボード・ウォークで眠る。愛らしい、の一言。
ボード・ウォークで眠る。愛らしい、の一言。
いよいよ、砂漠観光に出発。
いよいよ、砂漠観光に出発。
砂漠に住むヤモリ、パルマトゲッコー。
砂漠に住むヤモリ、パルマトゲッコー。

いよいよ、セスリエムに到着。ここを拠点に、最深部ソーサスフライを目指します。キャンプサイトにはオリックスの訪問もあり、また、木にはシャカイハタオリが巨大な巣を作っており、キャンプサイトにいるだけでも、砂漠滞在を堪能できてしまいます。しかし、やはりナミブ砂漠観光の一番のハイライトは何といっても最深部ソーサスフライでしょう。いつ来ても砂漠は美しい姿で出迎えてくれます。

ナミブ砂漠のキャンプサイト
ナミブ砂漠のキャンプサイト
巨大なシャカイハタオリの巣
巨大なシャカイハタオリの巣
キャンプサイトのゲスト、オリックス
キャンプサイトのゲスト、オリックス
砂丘をどんどんと登っていきます。
砂丘をどんどんと登っていきます。
ナミブ砂漠の遥か彼方に、朝日が顔を出す。
ナミブ砂漠の遥か彼方に、朝日が顔を出す。
デッドフレイへの入り口。ナミブ砂漠の主役と言えるでしょう。
デッドフレイへの入り口。ナミブ砂漠の主役と言えるでしょう。

Day 24~Day 25:ホバス(ナミビア)~ヴィオールズドリフト(南アフリカ)

そして、ついにナミビアでの最後のキャンプ地、ホバスに到着です。ホバスのすぐ近くには、アフリカ最大の渓谷、フィッシュ・リバー・キャニオンが位置しており、当然我々も渓谷を訪問しました。朝早かったせいか、渓谷には他の観光客の姿はなく、壮大な景色を自分達だけで楽しむことができました。あまりの雄大さに、ずっとここにいられそうな気さえしてきます。しかし、旅のゴールはもうすぐです。このまま、国境を通過し、いよいよ最後の訪問国、南アフリカに向かいます。

壮大なフィッシュ・リバー・キャニオンの景色
壮大なフィッシュ・リバー・キャニオンの景色
ついに南アフリカとの国境に到着した、The Beast II。
ついに南アフリカとの国境に到着した、The Beast II。
車体の色のせいで目立たないが、実はかなり埃まみれ。
車体の色のせいで目立たないが、実はかなり埃まみれ。

そして、ついに南アフリカに到着しました。オレンジ川沿いにあるキャンプサイトが、今回のオーバーランドツアーの最後のテント宿泊地となります。ここまでくると、テントの設営も撤去も流れる様にできるようになります。ヴィオールズドリフトでは、オレンジ川をカヌーで下るアクティビティも用意されています。しかし、添乗員の心に一番強く残っているのは、このキャンプサイトのシャワー・ルーム。掘っ建て小屋の様な簡素なシャワー棟ですが、そこから見られるのは、正に絵画のような景色。本当に素晴らしかったです。

最後のテント設営。手慣れたものです。
最後のテント設営。手慣れたものです。
オレンジ川をカヌーで下る。ゆっくりとのんびり進んでいきます。
オレンジ川をカヌーで下る。ゆっくりとのんびり進んでいきます。
シャワーから見える景色は、絵のような美しさでした。
シャワーから見える景色は、絵のような美しさでした。

Day 26~Day 31:シトラスダル~ケープタウン~日本

オリファンツ川の流れる渓谷沿いに位置し、南アフリカを代表する柑橘類の産地であるシトラスダルを経由し、旅の終着地、ケープタウンに向かいます。長旅を共にしたThe Beast IIですが、ナミビアを出た所で一度洗車し、また、南アフリカに入ってからは舗装路が続くので、すっかりリフレッシュした様子。それでも、ケープタウンの街中に着くと、やはり目立ちます。ケープタウンでは、もちろん喜望峰を訪問しました。こうして、一か月にも及ぶ長旅、「南部アフリカ オーバーランド 31日間 2024」は無事終了しました。色々なトラブルがありましたが、それらを乗り越えつつ、参加者全員で最終地点まで辿り着くことができたのは、ひとえに参加者の方々のご理解とご協力があったからだと思います。

通常、旅行には目的地があり、そこにある自然や文化遺産を訪問しながら、景色や風景、史跡等を見て楽しむことが多いかと思います。しかし、オーバーランドツアーは少し違い、トラック1台に乗り込み、参加者やクルーが協力しながら、時に困難を克服しながら旅を続けていきます。この旅の過程に、オーバーランドの意義があるのかもしれません。

風光明媚なシトラスダルの景色。
風光明媚なシトラスダルの景色。
ついにケープタウンに到着。約5,200㎞を走破した、The Beast II。
ついにケープタウンに到着。約5,200㎞を走破した、The Beast II。
憧れの、喜望峰。
憧れの、喜望峰。
ウォーターフロントの夕焼け。さようなら、ケープタウン。
ウォーターフロントの夕焼け。さようなら、ケープタウン。

ナミビア、砂と風と水を巡る旅

2024年12月27日出発「ナミブ砂漠訪問 ナミビア・キャンプ 10日間」にご参加された、K.Ueno様からのレポートです。

ナミブ砂漠の起源は、遥かドラケンスバーク山脈からオレンジ川と大西洋の寒流により運ばれてきた砂で、大西洋から吹き込む南西風が内陸に砂丘を形成し長い年月をかけて風化した結果と言われています。あの、レソトホース&トレッキングツアーから5年。このような山―川―海、そして風の競演が生み出された砂漠の世界を、久々の“道祖神的な旅のスタイル”で楽しんできました。時は2024/25の年越し、長期休暇がとれる巡り年です。

旅は標高1655mに位置する首都・ウィンドフックから、カーゴトレーラーをハイエースがガタゴト引っ張る総勢10名のキャラバンで出発です。前半は、緑の残る高地からグレートエスカーブメントを超え、ナミブ・ナウクルフト国立公園内のセスリエム・キャンプサイトまで移動します。グレートエスカーブメントとは、太古の昔にゴンドワナ大陸から南アフリカ大陸が分離したときに形成された造山活動帯の残り。地下深部で形成された花崗岩や石英が露出する地質学的にも大変興味ある景観が広がります(写真1)。花崗岩(グラナイト)は圧縮強度が高いといわれており、そういえばウインドフックで見た教会もこの岩で構築されていました。半乾燥の大地にはところどころで地下水をくみ上げるための風車と貯水槽が建っています(写真2)。キャンプサイトでは強風と格闘しながらのテント設営となりました。砂まみれとなる事は覚悟していたのですが、このような強風は想定していませんでした。しかし、テントの組み立ては簡単で、準備されたマットレスも寝心地十分、清潔なトイレ・温水シャワーと冷えたビールが楽しめるバーが整う快適なキャンプサイトでした(写真3)。それにしても、午前中に見られるポコポコとした雲はアフリカ特有で写真映えします(写真4)。朝・夕の日差しを受けたデッドフレイの残る砂丘トレッキングには、国立公園内のこのサイトが便利との事。砂丘景観は多くのガイドに紹介されていますので省略しますが、午後から気温は急上昇し夕方には強風が吹きだしますので(写真5)、砂丘登攀の際は引き返せる十分な体力と熱中症への配慮が必要です。

写真1
写真1
写真2
写真2
写真3
写真3
写真4
写真4
写真5
写真5

砂漠というと地上に目が行きがちですが、キャンプサイト近くには峡谷(英語ではgorge)があり、絶壁に囲まれた散策路に沿って半地下探検が楽しめました(写真6)。そして、数10mの谷底まで降りると、なんと水面が顔を覗かせているではありませんか。あの風車も、きっとこのような地下水脈から水をくみ上げているのでしょう。道理で、キャンプ場のプールは飛び上がるほど冷たかったです。それにしても、こんなに深い渓谷を抉るほどの水の流れはいつ生じるのでしょうか?この疑問は、旅の後半で解き明かされることになります。

写真6
写真6

旅の中盤は、ビーチリゾートで有名な沿岸都市、スワコプムントへ移動します。南北に広がるナミブ砂漠を、かなりのガタガタ道で迂回です。そんな一面の岩石砂漠で、のそのそと走る黒い二本足の生き物に遭遇。ダチョウです(写真7)。彼らはこんなところで何をしているのでしょうか?遠方の車列を仲間だと思い近づいてきたのでしょうか?少なくとも我々の車列よりすぐれた高速移動で走り去っていきました。海岸に近づくと一気に気温は低下し、塩田の工場(写真8)やピンクの羽が美しいフラミンゴ(写真9)が車窓から見られるようになります。ウォルビスベイで4WDに乗り換え、ナミブ砂漠と大西洋が出会うサンドイッチハーバーに向かいます。この砂砂漠ではまったく予期していないアドベンチャーが待ち受けてました(写真10)。普通はGのかかる乗り物というとジェットコースターや飛行機なのですが、砂漠の斜面を利用してこんなに(過激に、、)飛び回る4WDに乗ったことはありません。ツアーのスタート前に海岸でドリンク休憩がありますが、くれぐれもビールなどをたしなまれないように。

写真7
写真7
写真8
写真8
写真9
写真9
写真10
写真10

サンドイッチハーバーの砂丘は純白で、海からの強風が吹き荒れています。大西洋上の高気圧が南西風を生じているのですが、セスリエムでも午後から特に強風が生じている事を考えると、もしかしたらこの風は日中に内陸が加熱されて寒流との気温差(気圧差)により生じる海風かもしれません。日変化を伴い定常的に生じるこの風が沿岸の砂を絶えず内陸に運び、風化して色が変色していくのでしょう。一方、寒流上では下層雲が起ちやすく(日本では釧路の霧や東北地方のヤマセが有名)、明け方はこれが霧となって海岸沿いに立ち込めます。実は、この霧水は生態系にとって重要な水資源のはずですが、雨量としてはカウントされないので、ガイドブックでは雨が降らない事になってしまいます。欧風の街並みを残すスワコプムントのホテルにはクリスマスの飾りつけが美しく残り、旅の疲れが癒されました。翌朝のハーバーは荒波と海霧にかすむ桟橋(写真11)が、カリフォルニアの海辺の町を彷彿させました。であれば、この海霧がどこかで消えて、あの灼熱の乾燥地帯の境界が存在するはずです。案の定、スワコプムントから内陸に車を走らせること1時間で、下層の雲が見事に消失する前線が現れました(写真12)。この先は灼熱の台地となることを知っている現地ガイドは車を止め、アウトドアキャラバンならではの昼食休憩が始まります。

写真11
写真11
写真12
写真12

旅の終盤は、エトーシャ国立公園でのサファリが目玉です。途中でヒンバ族の集落やサン族の残した壁画(写真13)を見学しました。砂岩に刻まれた絵は、昔この地域にも多様な動物が生息していたことを連想させ、その自然環境を生活の糧としていた民族が国政により観光業に従事せざるを得なくなった歴史を考えさせられました。これはアフリカに限ったことではありません。途中のガスステーションで、地元の黒人系労働者と会話する機会がありました。近くの高山でウランを採掘しているとの事。日本もその一部を輸入していますね。道祖神的な旅では、こういった地元の人(今回のガイドさんもスワコプムント在住だった)と話をするのも楽しいものです。さて、サファリの方はと言うと、水辺が拡大する雨季は動物たちの分布が散ってしまうらしく、大物に出会う事はできませんでした。しかし、ウインドフックへの帰路で思わぬ気象と遭遇します。前日からどうも空模様が怪しく、地平線が日中から暗かったのですが、ハイウェーを南下するうちに急に嵐が到来したのです(写真14)。最初は大粒の雨でしたが、急に風が強くなり視界が利かなくなりました。慌てて路肩に車を小一時間止めると、気温が急激に下がり、風雨が車を揺らしました。積乱雲からのダウンバースト(降雨とその蒸発に伴い上空から引きずりおろされる冷気が作り出す前線)が砂を巻き上げながら到来したのではないかと想像しています。あたりは一面の水溜まりと化しました(写真15)。これだけの水量があれば普段水の流れないワジを潤し、セスリエムでみたような峡谷も刻まれることでしょう。この嵐をもたらした多量の水蒸気も大西洋から流れ込んできたのでしょうか?世界各地の様々な風土を作り上げている自然の仕組みに興味は尽きません。

写真13
写真13
写真14
写真14
写真15
写真15

本レポート作成に当たっては、“ナミビアを知るための53章(明石書店、水野・永原編著)”を参考にしました。ツアーを安全に実施していただいた添乗員・現地ガイドの方と、毎日の旅を楽しく盛り上げてくれた参加者の皆さんにお礼を申し上げます。Baie dankie! (K.Ueno)

■ナミブ砂漠訪問 ナミビア・キャンプ 10日間